書籍カテゴリー:医学・医療一般

生命倫理への招待
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生命倫理への招待

第5版

  • 旭川医科大学名誉教授 塩野 寛 著
  • 旭川医科大学教授 清水惠子 著

定価:2,052円(本体1,900円+税8%)

  • A5判 230頁
  • 2015年3月 発行
  • ISBN978-4-525-52015-1

概要

【最新の事例を加えて改訂第5版を刊行】
医学の進歩により人の誕生から死にいたる全ての過程で,従来の倫理観ではとらえきれない,種々の問題に直面せざるを得ない状況となっている.全ての医療従事者のために,生命の誕生(生殖補助医療・出生前診断)から死の倫理(脳死・終末期医療)までを,時に実例をあげてわかりやすく解説.

序文

改訂5版序

 2010年に第4版の改訂をされたこの本も,新たに第5版のはこびとなった.
 医学の進歩は目覚ましく,再生医療関係ではiPS細胞,ES細胞などが日常の話題になっている.
 一方,生殖医学では,胎児診断によって「産む」,「産まない」という選択が可能となり,これに伴って障害を持つ胎児の生命の価値,生命の質が問われている.
 生を絶つ問題においては尊厳死や安楽死の問題も,議論が続いている.
 生命倫理は常に医療を制約するのでなく,患者の健康と福祉を目指しながら,社会の疑問に答えるものであることは言うまでもない.本書がその役に立つことができるなら,筆者らの望外の喜びである.

2015年1月
大雪の札幌の自宅で

塩野 寛

目次

はじめに
1.生命倫理のながれ
2.医師の倫理
3.看護の倫理 
診療の補助/療養上の世話
4.医療倫理の必要性 
5.現代の医療倫理 
6.医療倫理の今後 

■1 生命誕生と医学の介入
1.生命への介入 
生命倫理と法
2.人工授精 
歴史と現状/人工授精の適応/AIDの追跡調査/人工授精と倫理
3.体外受精 
代理母/体外受精の倫理/夫婦間以外の体外受精の容認/
根津医師の場合
4.顕微授精 
顕微授精の倫理
5.再生医療とクローン人間 
人工多能性幹細胞(iPS細胞)/幹細胞/ES細胞/胎児由来細胞/
クローン人間
6.生殖技術と新しい倫理問題 
ウォーノック報告/生殖技術と法的問題
7.生殖技術の商品化 
精子銀行/卵子の市場/代理母
8.日本の現状 
日本産科婦人科学会/国の法的整備/孫を代理出産/代理出産の戸籍

■2 生を絶つことへの医学の介入
1.胎児と人 
生命の発生/堕 胎/どこから「人」か
2.人工妊娠中絶 
女性の自己決定権と胎児の生命権/生命の質による選択
3.選別出産 
胎児診断(出生前診断)/選別出産の難しさ/絨毛診断と受精卵診断/母体血清マーカーテスト
4.減数手術 

■3 死への医学の介入
1.死とは 
心臓死,肺臓死,脳死/死と法律/死亡時刻/死亡診断書,死体検案書
2.脳死の生命倫理 
脳死判定/脳死判定のいろいろ/臓器移植法の改正/本人の意思と家族の意思/
脳死からの臓器移植のための社会的条件/移植患者の心理的問題点/生体からの臓器摘出/
生体からの臓器摘出の法的問題点/病気腎移植/脳死と死亡時刻/脳死判定基準/家族との話し合い/
救急医のジレンマ/終末期医療に関する指針/脳死の所有論
3.人殺しの死 
嬰児殺の法的取り扱い/普通殺人/自 殺/自殺関与・同意殺人/
遺体と死体/日本人の遺体へのこだわり
4.安楽死 
安楽死の歴史/現代の安楽死/安楽死と尊厳死/安楽死容認の動き/
対応能力が欠けている患者の安楽死/安楽死の分類/安楽死の賛否両論/
日本の裁判例/外国の裁判例/安楽死と緩和医療/慈悲殺/小児の長期人工呼吸器の延命治療
5.尊厳死 
人権運動と生命維持装置の開発/生命の質(QOL)/植物状態患者/
カレン事件/ナンシー・クルーザン事件/尊厳死は殺人/
リビング・ウィル(生前宣言)/尊厳死法を制定する上での問題点
6.医療と宗教 
エホバの証人の輸血拒否/主な事件/輸血拒否への医療機関の対応/
患者の自己決定権と医師の裁量権

■4 生と死のケア
1.ターミナル・ケア 
ターミナル・ケアの目的/ターミナル・ケアと法律上の義務/
ターミナル・ケアにおけるナースの役割
2.ホスピス 
ホスピスの歴史/日本のホスピス/ホスピスの型/在宅ホスピス/
ビハーラ
3.ターミナル・ケアとQOL 
癌患者におけるQOL/QOLの評価/QOL評価の実際/
QOL重視の末期癌医療/末期癌医療の基本的原則/癌医療とQOL
4.看護からみた生と死のケア 
過去・現在・未来/看護師と患者の支える関係/医師と違う看護師と患者の関係
5.死の臨床 
死と患者の心理/希 望/死のパターン分類/死の恐怖と不安/
平安に死ねることへの援助の条件

■5 インフォームド・コンセント
1.インフォームド・コンセントとは 
インフォームド・コンセントの歴史/日本医師会「生命倫理懇談会」の報告書/
欧米と日本の社会的背景の違い/家族か本人か/インフォームド・コンセントの例外
2.パターナリズム 
わが国における医の倫理観―医は仁術/パターナリズムへの批判/
現代のパターナリズム
3.医師の裁量権 
告知を決定する者/告知における家族の役割/告知内容の裁量/
告知後の治療の裁量/精神的援助の裁量/良きサマリア人法
4.病名告知 
告知はケース・バイ・ケース/信念の告知/医療技術としての告知/
告知のチェックポイント/間接的な告知/病名を隠す
5.末期医療と告知 
延命治療/痛みに対する援助/望ましい死への援助
6.看護とインフォームド・コンセント 
患者を熟知する/自己決定できる人,できない人/
病名告知の有無と死の準備/医師との協力
7.法律からみたインフォームド・コンセント 
必要な理由/説明すべき内容・程度/説明が不要な場合/看護師とインフォームド・コンセント/
インフォームド・コンセントの問題点/新しい手術承諾書
8.インフォームド・コンセントの裁判例 
9.新薬の開発と倫理的問題 
第1相試験の倫理的問題点/第2,第3相試験における倫理的問題/
対照試験における倫理的問題
10.遺伝子診断の応用と人権 
遺伝子解析とその応用/遺伝子治療/就職・保険への応用/DNA鑑定

■6 医療と法と倫理
1.医療行為と倫理 
2.医の倫理と法 
3.看護と倫理 
4.看護と法 
保健師助産師看護師法/看護師業務/保健師業務/助産師業務/准看護師
5.看護業務と医療事故 
チーム医療における看護師の役割/医師と看護師の業務の相互関係/
看護師の注意義務/過失判定の基準
6.医療事故の防止 
医療事故はなぜ多くなってきたか/医療事故の起きる理由/医療事故防止体制/事故発生時の対応/看護師自身の向上心
7.看護と裁判事例 
点滴注射ミスによる死亡事故/湯たんぽ火傷事故/錠剤投与における業務上過失致死被告事件/牛乳点滴事件/都立広尾病院事件

付 録
1.ヒポクラテスの誓い 
2.ICN 看護師の倫理綱領 
3.看護者の倫理綱領 
4.母体保護法(抄) 
5.脳死判定の実施マニュアル 
6.尊厳死の宣言書 
7.患者の権利章典
8.ヘルシンキ宣言
9.患者の権利宣言 
10.インフォームド・コンセントに関するアメリカ合衆国大統領委員会報告の概要 

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