書籍カテゴリー:衛生・公衆衛生学

健康と環境の科学

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教養課程の医学教科書
健康と環境の科学
人類の明るい未来を目指して

1版

  • 帝京大学名誉教授 三浦 悌二 著
  • 鹿屋体育大学教授 志村 正子 著
  • 東京都立短期大学教授 菅又 昌実 著

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

  • A5判 204頁
  • 2003年3月 発行
  • ISBN978-4-525-61101-9
  • ISBN4-525-61101-4

概要

人の健康は環境に影響されている.環境には,物理・化学的な環境と,生物学的なもの および 人による社会的な環境とがある.環境の質は健康な生活のための快適さとして表現され,生命の質のQOLの基盤となるものである.このような視点から最新の情報を盛り込み,やさしく 健康の今と未来を解き明かす.一般学生の教養の教科書としても,最適である.

序文

今の時代は人類の歴史の上で大きな転換点なのでしょう.1万年前からの地域文化の創造,2千年前には後世にまでその思想の伝わる偉大な哲学者・宗教家の続出と,それを支持した東西世界における大帝国の出現.500年前には火薬を伴う大航海の時代となり,グローバル化が始まりました.20世紀になるとエネルギー原の転換が起こって変化は加速され,地球環境の汚染が目立ってきました.それと共に,人口の激増と少子化による人口減退という逆行する二大潮流の衝突が見え始めています.環境,食料,資源,人口,そのどれにも持続可能な発展が望ましいのですが,実現は難しいのです.
世界人口の増加と,技術の発達により,健康を守るための条件にも変化が起こり,方法にも進歩がありました.一方では,産業界での厳しい競争のために,環境の保全や生活の安全が無視され,深刻な自然環境の汚染が進行し,大規模な公害病が起こったのです.今ではそれが地域の事件から地球の問題となり,世界人類を挙げて取り組まなければ,その解決は到底望めないのです.
それなのに,世界の各地では民族や宗教の違いによる争いの絶えることがありません.エネルギーや水資源も世界の一部に偏在しているために,それを巡る争いは一層激しくなるでしょう.緊急とされる地球温暖化の対策でさえ,世界各国が一致してと取り組むはずなのに難航しています.それでも,海水位の上昇,気候変動による砂漠化は進行しています.そのことを忘れずにおきながら,差し当たってはそれぞれが身近な地域の健康を目指すことが,目下の責務であろうかと思います.
こうした問題の解決には,個別的な対策だけではなく,問題の根源を探り実際に健康問題が発生する以前に,その出現を予測して予防的な対策をとることこそが望ましいのです.それを可能にするのが未来学としての衛生学の本領だと思います.
本書は初め,大学生らしい常識としての「保健衛生概論」のつもりで1977年に刊行されたものが土台になっています.1991年には読者の範囲を広げて「テキスト保健学」と改題しました.今回は未来学としての衛生学を環境の中での健康に焦点を当てて書き加え,21世紀に際し諸君に生きた衛生学を伝えて,未来を担うために役立つようであってほしいと考えました.
ここに書かれたことから,健康と環境を巡る多くの問題に疑問を感じ,問題の根源に潜む原理を思うことによって衛生学の心を学び,未来の健康を実現するための知恵として活かして頂けることを願っています.

2003年1月 著者ら

目次

I.序 論
1. 健康の科学
a.健康とは何か
b.健康観の変遷
c.健康の指標
2. 病 気
a. 病気とは何か
b. 病気の原因
II.環境と健康
1. 環境の生態
a. 環境の成り立ち
b. 環境の循環
c. 環境の恒常性
2. 環境と生命
a. 生命の発生
b. 環境と生物の進化
c. 大進化と大絶滅
3. 環境の病態
a. 農 業
b. 農業の近代化
c. 都市の発達
d. 地球環境の変化
4. 環境と健康
a. 温熱環境
b. 季節と健康
c. 生体リズム
d. 化学的環境
e. 地域と健康
5. 公害と職業病
a. 環境の汚染
b. 職場での危険
6. 微生物との共存
a. 微生物と環境
b. 感染症と伝染病・感染経路
c. 不顕性感染
7. 生態圏と感染症
a. 人畜共通感染症
b. 感染症の盛衰
c. 無菌動物
III.健康のための技術
1. 環境の整備
a. 空調の技術
b. 上水道
c. 都市の下水道
d. 清 掃
2. 疾病の予防
a. 伝染病の予防
b. 流行対策
c. 予防接種
d. 結核の予防
3. 生活習慣の改善
a. 食糧と栄養
b. 老年病の予防
c. 運動・体育と健康
4. 医療の技術
a. 保存療法
b. 診 断
c. 消毒法
d. 外科的療法
e. 救急医療
f. 生殖医療
g. 薬
h. 統合医療
i. 終末期の医療
IV.成長と老化
1. 発育と発達
a. 胎児期
b. 双生児
c. 乳児期
d. 幼児期
2. 成長と成熟
a. 身体の発育
b. 初経の発来
c. 青年期
3. 老 化
a. 壮年期
b. 老年期
c. 高齢者の福祉
4. 死をめぐる健康
a. 寿 命
b. 死 因
c. 生と死の判定
d. 自 殺
e. 安楽死
f. 死者の健康
V.人類の未来
1. 人口の変動
a. 人口の増加
b. 人口の配分
c. 出 生
d. 日本人口の将来
2. 人口の抑制
a. 自然環境による出生の抑制
b. 身体的な出生の抑制
c. 社会的な出生の調節
d. 人工的な出生の抑制
3. ヒトの未来
a. ヒトへの進化
b. 日本人の誕生
c. 新人類への歩み