カテゴリー: 臨床薬学
医師主導治験 STARTBOOK
1版
昭和大学 教授/研究推進室 室長 内田英二 編集
九州大学ARO次世代医療センター 須崎友紀 著
エイツーヘルスケア株式会社 川村芳江 著
定価
2,750円(本体 2,500円 +税10%)
- A5判 120頁
- 2016年1月 発行
- ISBN 978-4-525-70441-4
省令やガイドラインだけではわからない医師主導治験を成功させるためのノウハウ満載!
医師主導の臨床試験(治験を含む)の実施はゼロから知りたい臨床試験・医師主導治験だけではなく,多くの問題に自ら治験を実施する者を中心として対応する必要がある.しかし,長年企業治験に慣れた医療機関の医師や研究者・協力者は,直面して初めていろいろ悩むことが多い.本書では,医師主導治験を実施するためのポイントを簡潔にまとめた.
- 序文
- 目次
序文
今まで,医薬品の開発はそれを生業とする企業(製薬企業)がシーズの発見から,非臨床試験,臨床試験(治験)を実施して承認申請し製造・販売してきた.治験の実施は1997年に出された厚生省令第28号(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)に基づいて実施されている.2003年に省令の一部改正が行われ医師主導治験の規定の整備がなされたことにより,医薬品の開発に医師が治験依頼者の立場(自ら治験を実施しようとする者)で直接関与できるようになった.
近年,製薬企業が開発経費や営業利益の観点から承認申請を控えていた医薬品に関して,医師主導型の治験を実施しその結果を製薬企業が承認申請に使用する形が増えている.これらの多くは,既に別の効能効果によって承認され医療現場で使用されている医薬品の適応拡大を目的としたり,海外で製造・販売されている医薬品に関して日本で承認を取得する場合などである.特に,小児の疾患や難病に対する医薬品は罹患する人の数が限られており,企業の販売利益の観点からは敬遠されていた領域(セラピューティックオーファン)であった.
医師や患者及びその家族にとっては,少しでもよい治療法が選択できる社会環境が望ましいことであり,その治療法が公(国)に認められたものであることはさらに望ましいことである.患者にとっては医薬品・医療機器へのアクセスのしやすさや保険償還による経費負担の軽減も期待されることであり,医師にとっては適応外使用ではなく堂々とジュネーブ宣言の1節である「私は,良心と尊厳をもって私の専門職を実践する」ことができる.
本書は,医師主導治験のマネジメントを数多く実施した二人の著者が,医師主導治験の企画・立案・実施・報告を成功させるために現場が理解しておくべきことをわかりやすくまとめたものである.省令ガイダンスやガイドラインだけからは得られない知見がそこかしこにあり,医師主導治験に係わる人にとって大変参考になる書である.
2015年11月
昭和大学 教授/研究推進室 室長
内田英二
近年,製薬企業が開発経費や営業利益の観点から承認申請を控えていた医薬品に関して,医師主導型の治験を実施しその結果を製薬企業が承認申請に使用する形が増えている.これらの多くは,既に別の効能効果によって承認され医療現場で使用されている医薬品の適応拡大を目的としたり,海外で製造・販売されている医薬品に関して日本で承認を取得する場合などである.特に,小児の疾患や難病に対する医薬品は罹患する人の数が限られており,企業の販売利益の観点からは敬遠されていた領域(セラピューティックオーファン)であった.
医師や患者及びその家族にとっては,少しでもよい治療法が選択できる社会環境が望ましいことであり,その治療法が公(国)に認められたものであることはさらに望ましいことである.患者にとっては医薬品・医療機器へのアクセスのしやすさや保険償還による経費負担の軽減も期待されることであり,医師にとっては適応外使用ではなく堂々とジュネーブ宣言の1節である「私は,良心と尊厳をもって私の専門職を実践する」ことができる.
本書は,医師主導治験のマネジメントを数多く実施した二人の著者が,医師主導治験の企画・立案・実施・報告を成功させるために現場が理解しておくべきことをわかりやすくまとめたものである.省令ガイダンスやガイドラインだけからは得られない知見がそこかしこにあり,医師主導治験に係わる人にとって大変参考になる書である.
2015年11月
昭和大学 教授/研究推進室 室長
内田英二
目次
1.「医師主導治験」とは
「治験」と「臨床試験」と「臨床研究」の違い
1)治験とは
2)医師主導治験と企業治験の違い
3)医師主導治験
治験に関する規制
1)ヘルシンキ宣言
2)医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律
3)ICHガイドライン
4)GCP
2.非臨床試験を知ろう!
医薬品開発に必要な非臨床試験
薬理学的試験
薬物動態試験
毒性試験
1)一般毒性試験(単回投与毒性試験,反復投与毒性試験)
2)特殊毒性試験
3)製剤の品質安定性試験
3.医師主導治験をはじめる前に
臨床試験の種類
開発戦略の立案
試験計画の確認
治験実施医療機関の実施体制の確認
4.医師主導治験の準備から承認までのプロセスの確認
医師主導治験の準備から承認までの業務
外部委託業者(CRO)への業務の委託
5.医師主導治験の準備をしよう
医師主導治験の準備に関する業務
治験調整医師・治験調整委員会が行うべき治験の準備
1)治験実施のための資金確保
2)非臨床試験の実施状況の確認
3)薬事戦略相談(個別面談・事前面談・対面助言)
4)治験薬の製造・入手
実施体制の構築(CROとの契約含む)
1)自ら治験を実施しようとする者・自ら治験を実施する者
2)治験調整医師・治験調整委員会
3)治験調整事務局
4)治験薬提供者
5)モニタリング
6)監 査
7)症例登録と割付
8)データマネジメント
9)統計解析担当者(生物統計家)
10)メディカルライティング担当者
11)効果安全性評価委員会
12)中央判定委員会
業務手順書の作成
治験実施計画書の作成
治験薬概要書の作成
補償・賠償保険への加入
説明文書・同意文書(雛形)の作成
治験実施申請書に添付するその他資料(雛形)の作成
臨床試験の登録
利益相反(COI)状況の確認
治験審査委員会(IRB)への申請準備
治験計画届書の作成及びPMDAへの提出
治験薬・治験資材の搬入
臨床検査等の精度管理
6.医師主導治験の管理(実施)
医師主導治験実施の管理に関する業務
治験実施医療機関の実施体制
1)治験責任医師
2)CRC
3)治験事務局・IRB 事務局
4)治験審査委員会(IRB)
5)その他支援体制
スタートアップミーティング
7.安全性情報の収集は?
重篤な有害事象の発生時
治験安全性最新報告(DSUR)の作成
8.治験終了から承認申請
治験終了届
文書または書類の保管
統計解析
総括報告書の作成
申請資料作成と承認申請
医師主導治験が終了したら
【column】
・再生医療等の安全性の確保等に関する法律
・原薬の輸入手続きが必要な場合
・保険外併用療養費制度
・被験者の負担軽減費
・CDISC
「治験」と「臨床試験」と「臨床研究」の違い
1)治験とは
2)医師主導治験と企業治験の違い
3)医師主導治験
治験に関する規制
1)ヘルシンキ宣言
2)医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律
3)ICHガイドライン
4)GCP
2.非臨床試験を知ろう!
医薬品開発に必要な非臨床試験
薬理学的試験
薬物動態試験
毒性試験
1)一般毒性試験(単回投与毒性試験,反復投与毒性試験)
2)特殊毒性試験
3)製剤の品質安定性試験
3.医師主導治験をはじめる前に
臨床試験の種類
開発戦略の立案
試験計画の確認
治験実施医療機関の実施体制の確認
4.医師主導治験の準備から承認までのプロセスの確認
医師主導治験の準備から承認までの業務
外部委託業者(CRO)への業務の委託
5.医師主導治験の準備をしよう
医師主導治験の準備に関する業務
治験調整医師・治験調整委員会が行うべき治験の準備
1)治験実施のための資金確保
2)非臨床試験の実施状況の確認
3)薬事戦略相談(個別面談・事前面談・対面助言)
4)治験薬の製造・入手
実施体制の構築(CROとの契約含む)
1)自ら治験を実施しようとする者・自ら治験を実施する者
2)治験調整医師・治験調整委員会
3)治験調整事務局
4)治験薬提供者
5)モニタリング
6)監 査
7)症例登録と割付
8)データマネジメント
9)統計解析担当者(生物統計家)
10)メディカルライティング担当者
11)効果安全性評価委員会
12)中央判定委員会
業務手順書の作成
治験実施計画書の作成
治験薬概要書の作成
補償・賠償保険への加入
説明文書・同意文書(雛形)の作成
治験実施申請書に添付するその他資料(雛形)の作成
臨床試験の登録
利益相反(COI)状況の確認
治験審査委員会(IRB)への申請準備
治験計画届書の作成及びPMDAへの提出
治験薬・治験資材の搬入
臨床検査等の精度管理
6.医師主導治験の管理(実施)
医師主導治験実施の管理に関する業務
治験実施医療機関の実施体制
1)治験責任医師
2)CRC
3)治験事務局・IRB 事務局
4)治験審査委員会(IRB)
5)その他支援体制
スタートアップミーティング
7.安全性情報の収集は?
重篤な有害事象の発生時
治験安全性最新報告(DSUR)の作成
8.治験終了から承認申請
治験終了届
文書または書類の保管
統計解析
総括報告書の作成
申請資料作成と承認申請
医師主導治験が終了したら
【column】
・再生医療等の安全性の確保等に関する法律
・原薬の輸入手続きが必要な場合
・保険外併用療養費制度
・被験者の負担軽減費
・CDISC