書籍カテゴリー:臨床薬学

臨床精神薬学
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薬剤師レジデントライブラリー
臨床精神薬学

1版

  • 名城大学薬学部 教授 野田 幸裕 編
  • 東邦大学薬学部 教授 吉尾 隆 編

定価:3,456円(本体3,200円+税8%)

  • A5判 416頁
  • 2013年4月 発行
  • ISBN978-4-525-70701-9

概要

本書は精神科薬剤師業務をはじめるにあたり必要な基礎知識から業務の裏付けとなる根拠までを解説した書籍となっている.
構成として,精神科専門薬剤師認定試験にも対応できるよう,精神疾患に加え一部の神経疾患も項目として加えた.さらに,大部分の内容は精神科専門薬剤師により執筆されており,臨床の現場に即した内容となっている.

序文

 うつ病や統合失調症などの「精神疾患」患者は年々増え,「がん」,「脳卒中」,「心筋梗塞」,「糖尿病」の「4疾病」をはるかに上回っており,厚生労働省は,重点的に対策に取り組んできた「4疾病」に「精神疾患」を新たに加えて「5疾病」とする方針を決めている.今後,ますます精神科医療が注目され,精神科薬剤師の役割に大きな期待がかかるものと思われる.精神科専門制度が導入されて以来,これまで5年間に認定された精神科専門薬剤師は21名(平成24年4月現在),精神科薬物療法認定薬剤師は223名(平成24年10月現在)となっており,精神科領域を担当する病院薬剤師のエキスパートは年々増加しつつある.
 一方で,保険薬局薬剤師などの非専門薬剤師にも精神科処方を熟知した対応が求められているが,その対応で悩む薬剤師は少なくない.精神科薬剤師をサポートする書籍として南山堂から,精神科領域における標準的な薬剤師
業務を解説した『薬局」臨時増刊号「精神科薬剤師業務標準マニュアル」や精神科患者への服薬管理に役立つ強化書(教科書)として『薬剤師の強化書 精神科薬物療法の管理』が発刊されている.両書籍は,あるレベルにまで
到達している読者にとって大変有用な書籍ではあるが,初学者にとってはハイレベルな解説になっている部分もある.その他,精神疾患を扱う書籍としては,病態生理学や薬理学などの基礎的な解説はあるが,精神疾患に特化した病態と治療を統合した臨床的な「治療学」に関するものは見あたらない.
 本書では,最初に精神科領域で扱う疾患の分類と薬物(向精神薬)の基本的な作用機序について解説している.次いで臨床で遭遇する13精神疾患に加え,一部の神経疾患の病態,成因,治療方法や治療薬の作用点を示したイラストを掲載し,視覚的に示すことで,理解と知識の定着を図ることができるようにした.ケーススタディにおいては,なぜその薬を投与するのか,服薬説明のポイント,注意すべき副作用などを解説している.それ以外にも,がん疾患での緩和医療における向精神薬の使い方,心理教育と服薬指導,薬効・副作用の評価方法,精神保健福祉法についても臨床系薬学教員を中心に医療現場で実際に業務を行っている専門性の高い薬剤師が協力して解説を加えた.薬学的知識としては,かなり基本的な内容から最新の情報まで広く,しかも非常にわかりやすくコンパクトに書かれている.したがって,これから精神科領域に携わろうとする薬剤師や薬学生にも最適のテキストになるものと思われる.臨床現場における参考書としてだけでなく,薬学教育にも活用していただけると幸甚である.

2013年2月

名城大学薬学部 教授 野田 幸裕 
東邦大学薬学部 教授 吉尾 隆

目次

序 章 精神科薬物療法の管理
1 精神科薬物療法が抱えている問題点
2 精神科薬物療法の管理
 ・情報の収集と提供
 ・処方適正化への関与
 ・クロザピン投与への関与
 ・ベンゾジアゼピン常用量依存を予防するために

Chapter 1 精神疾患・向精神薬の基本
1 精神科の疾患分類
 精神疾患とは
 ・精神症状
 ・精神疾患の分類
 主な精神疾患:ICD-10 精神および行動の障害
 ・症状性を含む器質性精神障害
 ・統合失調症,統合失調型障害および妄想性障害
 ・気分・感情障害
 ・神経症性障害,ストレス関連性障害
 ・生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
 ・成人の人格および行動の障害
 ・知的障害(精神遅滞)
 ・心理的発達の障害
 ・小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害
 ・パーキンソン病
2 向精神薬の分類と作用メカニズム
 ・抗精神病薬
 ・抗うつ薬
 ・気分安定薬
 ・抗不安薬
 ・睡眠薬
 ・精神刺激薬
 ・抗パーキンソン病薬
 ・認知症治療薬
 ・抗酒薬

Chapter 2 精神疾患における薬物療法の基本
1 統合失調症
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
 ・第二世代(非定型)抗精神病薬の薬学的管理
2 気分障害:うつ病・躁うつ病
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
3 心因性精神障害
 A 神経症
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・服薬指導の留意点
 B 心身症
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・服薬指導の留意点
 C 人格障害
 ・精神医学の基本
 ・治療薬・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
4 薬物依存症
 A 薬物依存症のしくみ
 ・精神医学の基本
 ・薬物治療
 ・服薬指導の留意点
 B アルコール依存症
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
 C ベンゾジアゼピン依存症
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
 D 化学物質(覚せい剤・麻薬)依存症
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
5 摂食障害
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
6 睡眠障害
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・服薬指導の留意点
7 小児の精神障害
 A 精神遅滞(知的障害)
 ・精神医学の基本
 ・薬物治療
 ・治療薬
 ・服薬指導の留意点
 B 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
 C 広汎性発達障害:自閉性障害・アスペルガー障害
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
8 器質性精神障害(神経疾患に伴う精神症状)
 A アルツハイマー型認知症
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
 B レビー小体型認知症
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点
 C パーキンソン病
 ・精神医学の基本
 ・治療薬
 ・薬物治療
 ・典型的な処方とその解析
 ・服薬指導の留意点

Chapter 3 緩和ケアにおける向精神薬の使い方
1 緩和医療とがん疾患
 ・情報開示後におけるがん患者の心理反応
2 緩和医療における精神的支持療法
 ・せん妄
 ・適応障害
 ・うつ病
3 鎮痛補助薬としての向精神薬
 ・鎮痛補助薬の分類と使い方
 ・鎮痛補助薬

Chapter 4 心理教育と薬剤管理指導業務
1 心理教育
 ・ストレス‐脆弱性モデル
 ・感情表出(Expressed Emotion:EE)
 ・心理教育
 ・家族心理教育
 ・SST
 ・服薬自己管理モジュール
 ・福島医大版服薬管理自己モジュール
2 薬剤管理指導業務
 ・アドヒアランスの向上
 ・認知行動療法を用いた服薬指導の例
 ・まとめ

Chapter 5 精神科薬物治療における薬効・副作用の評価
1 精神科医療における評価尺度
 ・薬剤師が評価尺度を活用する必要性
2 精神症状に関する代表的な評価尺度
 ・精神疾患全般に関する評価尺度
 ・統合失調症に関する評価尺度
 ・気分障害に関する評価尺度
 ・認知症に関する評価尺度
 ・精神科に従事する薬剤師が活用すべき評価尺度

Chapter 6 精神保健福祉に関する法律
1 精神科医療の現状と特徴
 ・精神科医療の現状と特徴
 ・精神科医療の変化
2 心神喪失者等医療観察法(医療観察法)
 ・心神喪失者等医療観察法の背景
 ・心神喪失者等医療観察法の概要
 ・指定入院医療機関
 ・指定通院医療機関
 ・精神科医療の水準向上(心神喪失者等医療観察法の附則3条)
3 心神喪失者等医療観察法と薬剤師
 ・心神喪失者等医療観察法における薬剤師の役割