書籍カテゴリー:臨床薬学|基礎薬学

図解 薬害・副作用学
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みてわかる薬学シリーズ
図解 薬害・副作用学

1版

  • 鈴鹿医療科学大学薬学部教授・学部長 川西正祐 編集
  • 武蔵野大学薬学部教授/名古屋市立大学名誉教授 小野秀樹 編集
  • 静岡県立大学薬学部教授 賀川義之 編集

定価:4,860円(本体4,500円+税8%)

  • B5判 376頁
  • 2013年8月 発行
  • ISBN978-4-525-72071-1

概要

薬害を時系列でまとめ、得られた教訓をわかりやすく解説!
副作用ははじめて学ぶ学生も一目で分かるようビジュアル化!
重大な副作用と頻度の高い副作用がすぐにわかる医薬品リストも収載!
薬剤師・薬学生にぜひ読んでいただきたい薬害・副作用学のこれまでにない解説書!

序文

 6年制薬学教育は,患者に必要とされ,患者の役に立つ薬剤師の養成を目指し,薬学教育機関では,「薬害・医療過誤・医療事故防止に関する教育が医薬品の安全使用の観点から行われていること」を求められている.
 本来,薬学とは「より有効で安全な薬物療法を探求する総合科学」であるが,薬物の有効性(主作用)に重点がおかれ,薬物の安全性(副作用)はそれに比べて軽視されてきた.ほとんどの医薬品には期待される薬効以外に副作用が存在するが,「薬害」は,医薬品そのものだけでなく,薬事行政,製薬企業,医療関係機関およびそれらに関わる人々の複合的要因による被害であり,本来であれば防ぐことが可能であったにもかかわらず,対処が不十分なためにその被害が拡大したものである.多くの薬害事件の経験をふまえて薬事行政が改善されたにもかかわらず,薬害は現在に至るまで繰り返し起こっている.
 そのような状況の下,薬害防止・副作用軽減の中心的役割を担うことを,6年制薬剤師は期待されている.近年になり,薬剤師の業務は,医薬品の適正使用のために,これまでのような医薬品交付時の服薬指導だけでなく,フィジカルアセスメントを駆使した患者の状況把握による副作用の早期発見,近年の医療の高度化・多様化に順応した適切な薬剤管理指導などへと多岐に拡がっている. 平成22年4月に厚生労働省から,「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて」の最終提言がなされ,薬害事件や健康被害の防止のためには,薬害事件の歴史,健康被害,救済制度,および医薬品の適正使用に関する生涯教育の必要性が述べられている.また,かねてより文部科学省は薬害教育の充実を薬系大学に要望してきた.現在では,薬害や医療安全対策に関する教育は,薬学教育コア・カリキュラムにおける基本事項として認識されつつあるほど薬学教育で重要視されており,今後,薬害・医療安全教育の充実,向上を求められることは間違いない.
 このような背景のなかで,薬害・副作用の防止の要望に応える薬学教育に適する書籍はほとんどみられなかった.そのため,薬害と副作用に関する体系的な内容を目指し,本書をまとめた.1章では,薬害の歴史的変遷をはじめとして,医薬品と副作用についての基礎的な内容をまとめた.そして,副作用について,幅広い視点から理解できるように,2章「臓器における代表的な副作用」,3章「薬剤による副作用」としてまとめた.
 本書は,薬学生を対象としているが,できる限り図表を多く用いて,医療従事者を目指すもの,あるいは薬害に関心のある方々にも理解できるようにまとめている.「薬害・副作用学」と題した本書が,今後の医薬品の安全使用に貢献することを願ってやまない.
 最後に,本書の編集に多大なご尽力をいただきました南山堂編集部諸氏に深く感謝申し上げます.

2013年7月 川西 正祐

目次

1章 総説

1 薬害の歴史的変遷
 Ⅰ 薬害とは
 Ⅱ ペニシリンによるアナフィラキシー・ショック死(ペニシリン事件)
 Ⅲ サリドマイドによる胎児先天異常(サリドマイド事件)
 Ⅳ クロロキンによる網膜症(クロロキン事件)
 Ⅴ キノホルムによるスモン(スモン事件)
 Ⅵ 非加熱血液製剤によるHIV 感染症(薬害エイズ事件)
 Ⅶ フィブリノゲン製剤によるC型肝炎(薬害C型肝炎事件)
 Ⅷ ソリブジンとフルオロウラシルとの相互作用(ソリブジン事件)
 Ⅸ ヒト乾燥硬膜によるクロイツフェルト・ヤコブ病(医原性CJD事件)
 Ⅹ ゲフィチニブによる間質性肺炎(イレッサ事件)

2 医薬品の安全性評価

3 用量関連性・非用量関連性副作用
 Ⅰ 薬物中毒
 Ⅱ 薬物アレルギー
 Ⅲ 発がん性
 Ⅳ 催奇形性(胎児毒性)
 Ⅴ 薬物依存
 Ⅵ 薬物耐性

4 薬物相互作用

5 副作用発現に影響をおよぼす要因
 I 一般的素因
 Ⅱ 個人的素因(トキシコゲノミクス)


2章  臓器における代表的副作用

1 薬剤性血液障害
 1 無顆粒球症
 2 再生不良性貧血
 3 血小板減少症
 4 血栓症・血栓塞栓症
 5 薬剤性貧血
 6 血栓性血小板減少性紫斑病
 7 播種性血管内凝固症候群

2 薬剤性腎・泌尿器障害
 1 急性腎不全
 2 ネフローゼ症候群
 3 間質性腎障害
 4 抗利尿ホルモンの作用および分泌障害
 5 尿路機能障害(蓄尿障害および排尿困難)

3 薬剤性精神障害
 1 悪性症候群
 2 薬剤惹起性うつ病
 3 セロトニン症候群
 4 アカシジア
 5 幻覚・妄想,せん妄
 6 その他

4 薬剤性神経障害
 1 末梢神経障害
 2 遅発性ジスキネジア
 3 薬剤性パーキンソニズム
 4 けいれん
 5 白質脳症
 6 急性脳症,インフルエンザ脳症,ライ症候群
 7 ギラン・バレー症候群

5 薬剤性循環器障害
 1 心室頻拍
 2 うっ血性心不全

6 薬剤性消化器障害
 1 薬剤性肝障害
 2 偽膜性大腸炎
 3 消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)
 4 麻痺性イレウス
 5 薬剤性膵炎(急性膵炎)

7 薬剤性呼吸器障害
 1 間質性肺炎
 2 好酸球性肺炎
 3 喘息発作

8 薬剤性内分泌障害
 1 偽性アルドステロン症
 2 甲状腺機能低下症
 3 甲状腺中毒
 4 高血糖

9 薬剤性感覚器障害
 1 緑内障
 2 聴覚障害
 3 視覚障害
 4 手足症候群
 5 味覚障害

10 薬剤性皮膚障害
 1 接触性皮膚炎
 2 スティーブンス・ジョンソン症候群
 3 中毒性表皮壊死症
 4 薬剤性過敏症症候群

11 薬剤性筋・骨格障害
 1 横紋筋融解症
 2 ミオパシー(ミオパチー)
 3 骨粗鬆症

3章  薬剤による副作用
 1 中枢神経系に作用する薬
 2 自律神経系に作用する薬
 3 知覚神経系・運動神経系に作用する薬
 4 循環器系に作用する薬① 心・血管系用薬
 5 循環器系に作用する薬② 高血圧薬
 6 呼吸器系に作用する薬
 7 内分泌系に作用する薬
 8 消化器系に作用する薬
 9 血液・造血器系に作用する薬
 10 代謝系に作用する薬
 11 炎症・アレルギーに作用する薬
 12 抗悪性腫瘍薬
 13 抗菌薬
 14 抗ウイルス薬
 15 抗真菌薬(抗原虫・寄生虫薬)
 16 漢方薬、健康食品

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