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カテゴリー: 臨床薬学  |  免疫・アレルギー学

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薬剤過敏症

1版

日本医薬品安全性学会 理事長/福山大学薬学部 教授 宇野勝次 著

定価

2,640(本体 2,400円 +税10%)


  • A5判  221頁
  • 2016年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-72141-1

謎に包まれた「薬剤過敏症」の本質に迫る!!

薬剤過敏症は未だ謎に包まれており,臨床現場での管理が難しい医薬品の有害作用の1つです.
本書では薬剤過敏症を4つの視点,(1)原因薬検出の視点,(2)発現機構の視点,(3)薬物(アレルゲン)側の視点,(4)生体(過敏症患者)側の視点から解析して,薬物過敏症の本質に迫りました.

  • 序文
  • 目次
序文
 医薬品が社会に多大な貢献をもたらし,今日の人間社会に必要不可欠な存在であることは周知のことである.その一方で,医薬品が数々の有害事象を生みだし,人々にとって悪しき存在であったことも事実である.今日の薬物治療で,医薬品の安全性の確保は医療従事者にとって責務である.
 医薬品は主作用と有害作用という「光と影」を併せ持っており,適正な薬物療法は医薬品の「光と影」の調整が重要であり,医薬品の「影」に焦点を当て,いかにして「光」を輝かさせ,「影」を薄めるかを探究することが医薬品の安全性の向上につながる.
 医薬品の有害作用の発現機序は,中毒性副作用と特異体質性副作用に大別され,さらに特異体質性副作用は代謝障害性副作用とアレルギー性副作用(薬剤アレルギー)に分けることができる.薬剤過敏症は,薬剤アレルギーと同義語として用いられる場合も多いが,一部に「偽薬剤アレルギー」として代謝障害性副作用を含有する.
 アレルギー性副作用は免疫学,代謝障害性副作用はゲノム薬理学が基盤であり,免疫学はサイトカイン,ケモカイン,Th1/Th2バランス,制御性T細胞,Th17細胞,細胞内シグナル伝達物質と転写因子の解明など,ゲノム薬理学は多くの薬剤有害反応と遺伝子多型の関連性の解明など急速な進歩を遂げているが,薬剤過敏症は未だ謎に包まれており,臨床現場での管理が難しい.
 そこで,本書では薬剤過敏症を4つの視点,すなわち原因薬検出の視点,発現機構の視点,薬物(アレルゲン)側の視点,および生体(過敏症患者)側の視点から解析して,薬物過敏症の本質に迫りたいと考える.医療従事者や研究者が薬剤過敏症を理解するうえで,本書が一助となれば幸いである.

2016年 早春
宇野勝次
目次
序章 薬剤過敏症に迫る
 Ⅰ 薬物の副作用,有害反応および有害事象
 Ⅱ 医薬品の有害作用の発症原因と発症機序
 Ⅲ 医薬品副作用に関するアンケート調査

1章 薬剤過敏症の起因薬検出の視点
 Ⅰ 薬剤有害反応の臨床解析
  1. 薬剤有害反応の解析法(FDA方式)
  2. 有害反応原因薬検出のためのキーワード(要素方式)
  3. 要素方式による有害反応原因薬の検出の有用性
  4. その他の有害反応原因薬検索のアルゴリズム
  5. 薬剤有害反応の臨床解析チャート
 Ⅱ アレルギー起因薬同定試験
  1. アレルギー起因薬同定試験の種類
  2. アレルギー起因薬同定試験の有用性
  3. アレルギー起因薬同定試験の限界性

2章 薬剤過敏症の発現機構の視点
 Ⅰ 薬剤アレルギーの発現機構
  1. 抗原形成
  2. 免疫反応
  3. 炎症・障害反応
 Ⅱ 偽薬剤アレルギーの存在
  1. 漢方薬過敏症
  2. 薬剤性ショック
  3. インフュージョンリアクション
  4. 他の偽薬剤アレルギー
 Ⅲ 有害反応の発症機序の臨床解析
  1. アセトアミノフェンによる肝障害
    -中毒性副作用か? アレルギー性副作用か?
  2. イソニアジドによる肝障害
    -代謝障害性副作用か? アレルギー性副作用か?

3章 薬物(アレルゲン)側の視点
 Ⅰ アレルギー頻度
 Ⅱ アレルゲン性
 Ⅲ アジュバント
  1. 細菌感染によるアジュバント効果
  2. フルオレセインによるアジュバント効果
  3. アジュバント効果を有する薬剤
 Ⅳ イムノモジュレーター
  1. イムノモジュレーターとしてのマクロライド
  2. その他のイムノモジュレーター(漢方薬)
 Ⅴ 過敏症・構造相関
  1. β-ラクタム系抗菌薬のアシル側鎖構造と過敏症状の相関性
  2. その他の薬剤と過敏症状の相関性
 Ⅵ 交差アレルギー
  1. 交差アレルギーの概念
  2. β-ラクタム系抗菌薬の交差アレルギー
  3. その他の抗菌薬の交差アレルギー
  4. 抗菌薬以外の薬剤の交差アレルギー

4章 生体(患者)側の視点
 Ⅰ 標的臓器(過敏症状)
  1. 各種過敏症状の発現頻度
  2. 各種過敏症状におけるアレルギー反応の関与
  3. 各種過敏症状の臨床的特徴と発症機序
 Ⅱ 随伴症状
  1. 発疹(皮疹)
  2. 発 熱
  3. 瘙痒感
  4. 好酸球増多
 Ⅲ 潜伏期間
 Ⅳ 加 齢
  1. 加齢とアレルギー起因薬同定試験
  2. 加齢と薬剤アレルギーの頻度
  3. 加齢と薬剤アレルギーの発現率
  4. 加齢と薬剤アレルギーの潜伏期間
  5. 加齢とリンパ球の反応性
  6. 加齢と薬剤アレルギー症状
  7. 加齢とアレルギー起因薬
  8. 高齢者の薬剤アレルギー(加齢による薬剤アレルギーの変化)
 Ⅴ 性 差
 Ⅵ アレルギー体質
  1. アレルギー疾患と薬剤アレルギー
  2. 薬剤アレルギー既往歴と薬剤アレルギー
  3. 遺伝子多型と薬剤アレルギー
 Ⅶ 感染症(ウイルス感染症を中心に)
  1. “アンピシリン疹”と薬剤アレルギーの関係
  2. DIHSと薬剤アレルギーの関係

5章 薬剤過敏症研究への期待
 Ⅰ 薬剤アレルギーの発現仮説
 Ⅱ 薬剤アレルギーの特異性仮説
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