書籍カテゴリー:臨床薬学|基礎薬学

医薬品の安全性

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医薬品の安全性

1版

  • 国立医薬品食品衛生研究所所長 長尾 拓 編

定価:4,860円(本体4,500円+税8%)

  • B5判 323頁
  • 2004年4月 発行
  • ISBN978-4-525-72641-6
  • ISBN4-525-72641-5

概要

医薬品開発の早期にヒトでの毒性を予測することは重要であり,またタンパク質医薬の安全性,特に原材料,製造過程における感染防止も注目される.本書は毒性学を基本とし,製造レベル,患者レベルの安全性に関わる先端的な内容も織り込み,さらに食品の安全性にも言及.薬学生,薬に関わる研究者,薬に関心のある方にお薦めの1冊.

序文

薬理学やトキシコロジーでは,薬は毒であり,適切な量を用いることによって薬の役割を果たすと教える.
医薬品は品質,有効性および安全性を国によって厳しく審査されて,はじめて治療に用いられる特殊な商品である.医薬品の安全性は開発を意識したときに始まり,承認を得て医療に使われる全ての段階が行政の規制のもとにある.
最近は,患者レベルでの安全性の比重が高まっている.しかし,動物でのみ,しっかりした科学的毒性試験が行えるので,この段階をさらに有効活用することが今後とも重要である.その例として,開発の早期にヒトでの毒性を予測するトキシコゲノミクスを紹介している.また,タンパク質医薬の種類が増し,その安全性,特に原材料や製造過程における感染防止も注目される.薬の相互作用やいろいろな意味での患者の個人差も学問の進歩やゲノム解析技術の応用の対象になっており,部分的ではあるが管理可能になりつつある.本書は,しっかりした毒性学を基本とし,製造レベル,患者個人レベルの安全性に関わる先端的な内容も織り込んである.さらに,食品の安全性の考え方を知ることは,医薬品の安全性の視野を拡げる一助となろう.
本書は,医薬品の安全性についてリーダー的な大学の先生方に加えて,わが国における医薬品の品質や安全性の科学的行政に深く関わっている,国立医薬品食品衛生研究所のメンバーが執筆者に加わっているのも大きな特徴である.そして,学生,薬に関わる職業人,薬に関心のある市民に医薬品の安全性がどのように確保されているか,現状を紹介するものである.

2004年 早春 長尾 拓

目次

第1章 薬の安全性とは
I. 医薬品安全性の認識
II. 非臨床の動物試験
III. 動物試験とヒトへの類推
IV. 臨床試験
V. GMP, GLP, GCP
VI. 有害反応
VII. 有害反応に影響を及ぼす要因
VIII. 相互作用
IX. 医薬品の安全性確保のために
X. トキシコゲノミクス

第2章 医薬品の毒性試験
I. 安全性試験
II. 医薬品毒性試験法
III. 試験結果の解析・評価
IV. 動物実験代替法

第3章 バイオロジクスの品質と安全性評価
I. バイオロジクス概論
II. バイオロジクスの品質・安全性確保

第4章 薬の毒性とその予測
I. 薬物反応・毒性発現の種差
  II. 薬物代謝に影響する因子
III. 毒性試験結果のヒトへの外挿
IV. 医薬品の健康人臨床試験における有害作用
  V. 許容量の設定

第5章 薬物代謝と毒性
  I. 薬物代謝の機構
II. 薬物代謝に伴う薬理活性の変化
III. シトクロムP450の誘導や阻害と薬効・毒性の変化
IV. 薬物代謝と毒性
V. 薬理遺伝学

第6章 遺伝毒性
I.遺伝毒性とは
II. DNAに与える傷害の種類と修復
III. 発がん・遺伝的疾患における遺伝子変化の役割
IV. 遺伝毒性検出方法
  V. 遺伝毒性試験法の問題点
VI. 医薬品と遺伝毒性

第7章 発がん性
  I. 発がん性化学物質の歴史
II. 発がん物質の分類
III. 化学発がん機構
IV. 発がん性物質の代謝活性化とDNAの修飾
V. 医薬品による発がん
VI. 発がん性化学物質の検索法
VII.IARCによる発がん性評価

第8章 生殖発生毒性
I. 生殖発生毒性とは
II. 薬と先天異常
III. 生殖発生毒性試験
IV. 動物試験の評価

第9章 臓器毒性
I. はじめに
II. 血液毒性
III. 肝毒性
IV. 腎毒性
V. 神経毒性
VI. 感覚器障害
VII. 心臓毒性

第10章 免疫毒性
I. はじめに
II. 免疫毒性
III. 非臨床免疫毒性試験
  IV. 薬物アレルギー
  V. 非臨床アレルゲン性試験
  VI. おわりに

第11章 薬物依存性
I. 薬物依存と関連用語
  II. 精神的依存,身体的依存および耐性
III. 依存性薬物の種類
  IV. 薬物依存と乱用
V. 薬物依存の形成機構
  VI. 薬物依存各論
VII. 依存性試験
VIII. 依存性薬物使用にあたって

第12章 薬の相互作用と毒性
I. 薬物の併用
II. 物理化学的相互作用
III. トランスポーターが関与する相互作用
IV. 薬物代謝の変化を介する相互作用
V. 血漿タンパクとの結合による相互作用
VI. 薬力学的相互作用

第13章 医薬品の安全性管理と適正使用
I.市販前医薬品の安全性情報とその活用
II. 市販後医薬品の安全対策
III. 薬剤疫学
IV. 医薬品の適正使用のための研究

第14章 食品の安全性
I.食品中の自然毒
II.食物アレルギー物質
III.保健機能食品