もっとわかる薬物速度論
添付文書の薬物動態パラメータを読み解く
1版
中外製薬株式会社 加藤基浩 著
定価
2,090円(本体 1,900円 +税10%)
- A5判 125頁
- 2010年10月 発行
- ISBN 978-4-525-72731-4
薬物速度論に興味を持ち,もっと理解したい,利用したい方を対象とした,医薬品添付文書の薬物動態パラメータを読み解くための解説書.薬物動態の基礎知識や統計にも触れ,添付文書の具体的な6つの例をあげてわかりやすく解説.薬学生,大学院生は勿論,薬剤師,製薬企業の動態研究者の方にもお薦めしたい1冊.
- 序文
- 目次
序文
本書は,添付文書やインタビューフォーム等に記載されている薬物動態情報を理解し,利用したい方を対象に執筆した解説本です.前著「薬物動態の基礎はじめての薬物速度論」(2008年)は,タイトルどおり,はじめて薬物速度論の勉強をしようという薬物動態研究者,メディシナルケミスト,薬理学者を対象に執筆しました.そのなかに「医療関係者へ」という章を設け,自分なりに病院・薬局薬剤師の人向けに,「添付文書の読み方」という項を執筆しました.4ページ程度なのですが,この部分について臨床現場の先生方から評価されていると感じる経験を何度かしました.私も以前から薬物動態パラメータの見方について解説した本があってもいいのではと思っていました.そこで今回,添付文書の読み方を中心に執筆してみました.私は非臨床で薬物動態研究を行っていますので,動物のデータしか扱っていません.しかし,基本的に薬物動態パラメータの読み方は,非臨床も臨床も違いはありません.添付文書が特別というわけでなく,読み方は同じです.ですから,臨床の方ばかりでなく,非臨床で薬物動態研究をされている方にも役立つのではないかと思っています.ひとりよがりになっていなければよいのですが….
1章には,なぜ薬物動態がむずかしいか考えたことをまとめてみました.薬物動態はむずかしいとよく言われます.数式が多いからでしょう.しかし,それだけではないと思っています.それをまとめてみました.少し見方が変わるのではないでしょうか.
2章では,専門外の統計の話を書いています.個体差を理解するには必要と思ったからです.統計学者ではないので,統計学者から厳密な意味では,正しくないと指摘される部分があるかもしれません.でも,あえて記載するのは,それだけ情報を活用してほしいからです.
3章はクリアランス概念の復習です.
4章,5章では,コンパートメントモデル,生理学的モデル,モーメント解析の基本的なことを記載しました.内容的には不十分であることは承知しております.この部分では,2-コンパートメントモデルについて,他書では記載していないことを執筆したつもりです.1-コンパートメントモデルの話は他書に色々ありますが,2-コンパートメントモデルを詳細に記載したものは見受けられません.実際の薬物には,2相性の消失をするものが結構あります.それらの解析をするためにはもっと解説をしないとむずかしいと思い,詳しく記載したつもりです.
6章では,臨床で問題になる薬物間相互作用を取り上げました.
7章は,本書のメインである添付文書の薬物動態情報の読み方です.添付文書の例を6つ示しました.まったく架空の薬物のパラメータでは,おかしな解釈を覚えてしまう可能性があるため,実際の薬物をモデルに仮想的な薬物のパラメータを作りました.モデルがあるといってもその薬物とは関係ありませんので,その点ご理解ください.タイプの違う薬物の例を作ったつもりです.7章の例をもとに実際の添付文書のデータを読んでみてください.
この本が,薬物の特性を理解するために少しでもプラスになれば幸いです.
最後に,本書の出版にあたり,出版をご快諾いただきました南山堂編集部に感謝いたします.
2010年 盛夏
加藤基浩
1章には,なぜ薬物動態がむずかしいか考えたことをまとめてみました.薬物動態はむずかしいとよく言われます.数式が多いからでしょう.しかし,それだけではないと思っています.それをまとめてみました.少し見方が変わるのではないでしょうか.
2章では,専門外の統計の話を書いています.個体差を理解するには必要と思ったからです.統計学者ではないので,統計学者から厳密な意味では,正しくないと指摘される部分があるかもしれません.でも,あえて記載するのは,それだけ情報を活用してほしいからです.
3章はクリアランス概念の復習です.
4章,5章では,コンパートメントモデル,生理学的モデル,モーメント解析の基本的なことを記載しました.内容的には不十分であることは承知しております.この部分では,2-コンパートメントモデルについて,他書では記載していないことを執筆したつもりです.1-コンパートメントモデルの話は他書に色々ありますが,2-コンパートメントモデルを詳細に記載したものは見受けられません.実際の薬物には,2相性の消失をするものが結構あります.それらの解析をするためにはもっと解説をしないとむずかしいと思い,詳しく記載したつもりです.
6章では,臨床で問題になる薬物間相互作用を取り上げました.
7章は,本書のメインである添付文書の薬物動態情報の読み方です.添付文書の例を6つ示しました.まったく架空の薬物のパラメータでは,おかしな解釈を覚えてしまう可能性があるため,実際の薬物をモデルに仮想的な薬物のパラメータを作りました.モデルがあるといってもその薬物とは関係ありませんので,その点ご理解ください.タイプの違う薬物の例を作ったつもりです.7章の例をもとに実際の添付文書のデータを読んでみてください.
この本が,薬物の特性を理解するために少しでもプラスになれば幸いです.
最後に,本書の出版にあたり,出版をご快諾いただきました南山堂編集部に感謝いたします.
2010年 盛夏
加藤基浩
目次
はじめに
主な略語表
1章 なぜ薬物動態がわかりにくいか
1 薬物動態とは
2 立場が違えば,必要な情報も違う
a.非臨床
1)メディシナルケミスト
2)薬理研究者
3)安全性研究者
4)製剤研究者
5)薬物動態研究者
b.臨 床
1)臨床薬理研究者
2)医 師
3)病院・薬局薬剤師
3 評価と予測
4 解析法と予測
5 まとめ
2章 統計と最小二乗法
1 基本統計-個体差の理解のために
a.平均と標準偏差
b.正規分布について
c.幾何平均
d.個体差の見方
e.標準偏差(SD)と標準誤差(SE)
2 最小二乗法
a.線形最小二乗法
b.非線形最小二乗法
3章 クリアランス概念の理解
1 腎クリアランス
2 膜透過クリアランス
4章 コンパートメントモデル
1 1-コンパートメントモデル
a.静脈内投与
b.インフュージョン
c.1次吸収1-コンパートメントモデル(経口投与)
2 2-コンパートメントモデル
a.静脈内投与
b.インフュージョン
c.経口投与
5章 生理学的モデルとモーメント解析
1 生理学的モデル
a.タンパク結合
b.固有クリアランス律速と血流律速
c.組織への分布
d.経口クリアランス
2 モーメント解析
a.モーメント解析とは
b.パラメータの算出方法
6章 薬物間相互作用
1 酵素阻害
2 酵素誘導
7章 添付文書を読み解く
1 薬物動態パラメータを読み解く前に
2 添付文書を読み解く
添付文書例1 薬物A
添付文書例2 薬物B
添付文書例3 薬物C
添付文書例4 薬物D
添付文書例5 薬物E
添付文書例6 薬物F
補 講
補講 ラプラス変換
参考図書
式一覧
主な略語表
1章 なぜ薬物動態がわかりにくいか
1 薬物動態とは
2 立場が違えば,必要な情報も違う
a.非臨床
1)メディシナルケミスト
2)薬理研究者
3)安全性研究者
4)製剤研究者
5)薬物動態研究者
b.臨 床
1)臨床薬理研究者
2)医 師
3)病院・薬局薬剤師
3 評価と予測
4 解析法と予測
5 まとめ
2章 統計と最小二乗法
1 基本統計-個体差の理解のために
a.平均と標準偏差
b.正規分布について
c.幾何平均
d.個体差の見方
e.標準偏差(SD)と標準誤差(SE)
2 最小二乗法
a.線形最小二乗法
b.非線形最小二乗法
3章 クリアランス概念の理解
1 腎クリアランス
2 膜透過クリアランス
4章 コンパートメントモデル
1 1-コンパートメントモデル
a.静脈内投与
b.インフュージョン
c.1次吸収1-コンパートメントモデル(経口投与)
2 2-コンパートメントモデル
a.静脈内投与
b.インフュージョン
c.経口投与
5章 生理学的モデルとモーメント解析
1 生理学的モデル
a.タンパク結合
b.固有クリアランス律速と血流律速
c.組織への分布
d.経口クリアランス
2 モーメント解析
a.モーメント解析とは
b.パラメータの算出方法
6章 薬物間相互作用
1 酵素阻害
2 酵素誘導
7章 添付文書を読み解く
1 薬物動態パラメータを読み解く前に
2 添付文書を読み解く
添付文書例1 薬物A
添付文書例2 薬物B
添付文書例3 薬物C
添付文書例4 薬物D
添付文書例5 薬物E
添付文書例6 薬物F
補 講
補講 ラプラス変換
参考図書
式一覧