南山堂

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カテゴリー: 基礎薬学

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衛生薬学新論

改訂2版

東京大学 教授 新井洋由 編集
岡山大学 教授 成松鎭雄 編集
九州大学 教授 山田英之 編集

定価

8,800(本体 8,000円 +税10%)


  • B5判  576頁
  • 2012年8月 発行
  • ISBN 978-4-525-74492-2

健康を維持し疾病に罹らないためのサイエンスである衛生薬学領域 (栄養学,食品衛生学,公衆衛生学,疫学,環境科学,病原微生物学,毒性学等)の基礎知識を,多くの図表を使い包括的に丁寧に解説した教科書.薬剤師や創薬研究者を目指す方が身につけておくべき知識の習得に役立つ.薬学教育モデル・コアカリキュラム(C11健康・C12環境)の内容を網羅.

  • 序文
  • 目次
序文
 ヒトの健康を維持し増進させるには,健全な食生活はもちろんのこと,適正な住環境の充足が必要である.疾病は生活の質を劣化させ,場合によっては生命を奪うことから,疾病対策が健康維持に向けた大きな課題であることは間違いない.この目的のため,従前は疾病の早期発見が重要と考えられていた.しかし,近年の爆発的な医療費高騰の現状等から,より早期の取り組み,すなわち,疾病に罹患しないための取り組みの重要性が一層認識されてきている.衛生薬学は健康体を維持し,病態にしないためのサイエンスとして,わが国で独自の発展を遂げてきた学問領域であり,栄養学,食品衛生学,公衆衛生学,疫学,環境科学,病原微生物学および毒性学等を包括的に取り扱う.薬剤師として医療・公衆衛生に従事しようとする者や創薬研究者としての活躍を目指す者は,本書で取り扱うさまざまな事象の基礎を理解していなければならない.
 本書の前身は,塚元久雄,浮田忠之進両教授の監修によって,古く1964(昭和39)年に発刊された「衛生化学」に遡る.同書籍は,塚元,浮田両先生の監修によって「新衛生化学」に改訂されたのち,「衛生化学新論(第1および2版)」(編著:高畠英伍,吉村英敏両教授),次いで「衛生薬学新論(第1版)」(編者:井上圭三,小栗一太,山添 康各教授)と変遷して,本書籍に至っている.直近の「衛生薬学新論(第1版)」は,2001(平成13)年に発刊され,教育用書籍等として活用された.しかし,そののち,薬学教育にはモデル・コアカリキュラムや6年制が導入されるなど,大きな変革が起こった.また,旧版からの約10年の間に学問の発展や感染症対策の政策変更等,記述の改訂を要する点が多くなってきたので,抜本的に内容を見直すことにした.本書は“改訂版”の名称を冠するものの,執筆者を一新して全く新たな書籍として上梓する.わが国の衛生薬学の勃興や発展に大きな貢献を果たしてきた前身の名著を受け継ぐ内容となっていることを祈念する.
 「衛生薬学新論(改訂2版)」は,モデル・コアカリキュラムに掲げられた内容を網羅している.しかし,発刊理念としては,衛生薬学の内容として必要と思われる事象はコアカリキュラムにとらわれることなく取り上げ,あるいはより詳細に解説することにした.本書を基に学生諸君が勉学に励み,健康と環境の必須知識を修得するとともに,さらに理解度を深めて,それぞれの領域でリーダーシップを発揮できる人材となることを期待するものである.本書の出版にあたっては,南山堂編集部のスタッフの方々に多大なご尽力を頂いた.ここに深甚の謝意を表す次第である.


2012年 初夏
編者一同
目次
Ⅰ 保健衛生

 1 健康と疾病
  1-1.健康と衛生薬学
   1-1-1.健康の概念
   1-1-2.衛生薬学の役割と意義
   1-1-3.衛生薬学の国際的状況および薬剤師業務との関連
  1-2.疾病の要因と段階的予防
   1-2-1.疾病の要因とその変遷
   1-2-2.疾病予防の段階とわが国における政治的取り組み
   1-2-3.外来病的因子に対する生体防御機構
  1-3.環境変動抑止のための国際的な取り組み

 2 保健統計
  2-1.人口静態統計
   2-1-1.国勢調査
   2-1-2.人口の動向
  2-2.人口動態統計
   2-2-1.出 生
   2-2-2.死 亡
  2-3.疾病統計
   2-3-1.国民生活基礎調査
   2-3-2.患者調査

 3 疫 学
  3-1.疫学の概念
  3-2.疾病罹患の要因 
  3-3.疫学の方法
   3-3-1.観察研究
   3-3-2.介入研究

 4 疾病予防と健康管理
  4-1.感染症とその対策
   4-1-1.感染症と成立要因
   4-1-2.感染症対策
   4-1-3.感染症関連法規とその変遷
   4-1-4.感染症法による病原体等の分類と適正な管理
   4-1-5.感染症の最近の動向
   4-1-6.感染症の予防対策
  4-2.生活習慣病の現状とその対策
   4-2-1.生活習慣病
   4-2-2.悪性新生物と対策
   4-2-3.高血圧と対策
   4-2-4.脂質異常症と対策
   4-2-5.糖尿病と対策
   4-2-6.肥満と対策
   4-2-7.脳血管疾患と対策
   4-2-8.心疾患と対策
   4-2-9.骨粗鬆症と対策
  4-3.感受性集団の保健
   4-3-1.母子保健
   4-3-2.老人保健
   4-3-3.学校保健
  4-4.産業衛生
   4-4-1.産業衛生とは
   4-4-2.職業病
   4-4-3.職業病の予防対策

Ⅱ 栄養学と食品安全性

 5 栄養化学
  5-1.栄養素
   5-1-1.糖 質
   5-1-2.脂 質
   5-1-3.アミノ酸とタンパク質
   5-1-4.ビタミン 
   5-1-5.水 
   5-1-6.無機質(ミネラル) 
   5-1-7.食物繊維 
  5-2.三大栄養素の吸収と利用 
   5-2-1.食物の消化 
   5-2-2.糖質の消化,吸収と代謝 
   5-2-3.脂質の消化,吸収と代謝 
   5-2-4.タンパク質の消化,吸収と代謝 
  5-3.食品と生体のエネルギー論
   5-3-1.食品のエネルギー
   5-3-2.エネルギー代謝の測定
   5-3-3.エネルギー代謝の種類
   5-3-4.エネルギー所要量
  5-4.栄養価と食事摂取基準(栄養所要量)
   5-4-1.食品の栄養価
   5-4-2.食事摂取基準(栄養所要量)
   5-4-3.食事摂取状況

 6 食品成分
  6-1.食品の成分構成
   6-1-1.食品中の栄養素
   6-1-2.食品中に含まれる栄養素以外の機能性成分
  6-2.食品成分の腐敗,変質
   6-2-1.腐 敗
   6-2-2.水分活性と保存法
   6-2-3.褐 変
   6-2-4.油脂の変質と防止法
  6-3.食品中の発がん物質
   6-3-1.多環芳香族炭化水素
   6-3-2.ヘテロサイクリックアミン
   6-3-3.ニトロソアミン類
   6-3-4.アフラトキシン

 7 食品衛生
  7-1.食中毒
   7-1-1.食中毒の変遷
   7-1-2.食中毒の概念
   7-1-3.食中毒の分類
   7-1-4.食中毒の発生状況
  7-2.細菌性食中毒
   7-2-1.細菌性食中毒各論
   7-2-2.細菌性食中毒の予防
  7-3.ウイルス性食中毒
  7-4.自然毒食中毒
   7-4-1.魚介類の毒素
   7-4-2.植物性毒素
   7-4-3.キノコ中毒
   7-4-4.マイコトキシン
  7-5.化学性食中毒
   7-5-1.食品に添加される化学物質による中毒
   7-5-2.食品の製造・加工等の過程で食品に混入した有害物質による中毒
  7-6.アレルギー性食中毒
  7-7.食品衛生行政と関連法規
   7-7-1.食品安全基本法と食品安全委員会
   7-7-2.食品衛生法
   7-7-3.食品衛生監視員
   7-7-4.食品衛生管理者
   7-7-5.食品の製造に関する安全管理と法規制
   7-7-6.食品表示制度
   7-7-7.栄養表示基準制度
  7-8.食品添加物
   7-8-1.食品添加物の分類
   7-8-2.食品添加物の指定制
   7-8-3.食品添加物の安全性評価
   7-8-4.食品添加物の規格および使用基準と表示基準
   7-8-5.食品添加物の諸問題
  7-9.健康食品と保健機能食品
   7-9-1.健康食品
   7-9-2.保健機能食品
  7-10.遺伝子組換え食品

Ⅲ ヒトと環境

 8 化学物質と生態系
  8-1.生態系の構造と変動
   8-1-1.地球環境変遷と生物の出現
   8-1-2.生態系とその変動
   8-1-3.食物連鎖と生物濃縮
  8-2.物質の環境内動態
   8-2-1.炭素の循環
   8-2-2.地球温暖化
   8-2-3.異常気象
   8-2-4.水の循環
   8-2-5.土壌浸食と砂漠化
   8-2-6.灌漑と問題点
   8-2-7.硫黄/窒素の循環と酸性雨
 9 環境衛生
  9-1.水の衛生
  9-2.水質汚染
   9-2-1.環境水の汚濁
   9-2-2.下水浄化法
   9-2-3.上水浄化法
  9-3.空気の衛生
   9-3-1.大気成分
   9-3-2.大気汚染物質
   9-3-3.スモッグ
   9-3-4.大気汚染防止に関する法律および対策
   9-3-5.大気汚染の現状
   9-3-6.大気汚染試験法の項目と原理
   9-3-7.室内環境
  9-4.光と生体
   9-4-1.紫外線の生体影響
   9-4-2.可視光線の生体影響
   9-4-3.照 明
   9-4-4.赤外線の生体影響
   9-4-5.低周波電磁波
  9-5.温熱環境と生体
   9-5-1.熱輻射指標
   9-5-2.不快指数
   9-5-3.熱中症
  9-6.気圧と生体
   9-6-1.気圧変化と生体応答
   9-6-2.高山病と潜函病
  9-7.騒音,振動および悪臭
   9-7-1.騒 音
   9-7-2.振 動
   9-7-3.悪 臭
  9-8.環境衛生に関する行政の取り組み
   9-8-1.公 害
   9-8-2.環境基本法
  9-9.廃棄物対策および処理法
   9-9-1.廃棄物の区分と排出状況
   9-9-2.廃棄物処理

 10 環境汚染物質と健康障害
  10-1.有機性汚染物質
   10-1-1.多環芳香族炭化水素およびそのニトロ化体
   10-1-2.ダイオキシン類
   10-1-3.有機塩素系農薬
   10-1-4.プラスチック可塑剤
   10-1-5.有機スズ化合物
   10-1-6.有機フッ素化合物
   10-1-7.内分泌撹乱化学物質
  10-2.無機性汚染物質
   10-2-1.有害物質としての金属の特徴
   10-2-2.水 銀
   10-2-3.カドミウム
   10-2-4.ヒ 素
   10-2-5.鉛
   10-2-6.その他の重金属
   10-2-7.水銀とセレンの相互作用
   10-2-8.重金属とメタロチオネイン
   10-2-9.放射性核種

 11 化学物質と毒性
  11-1.異物の体内動態と代謝
   11-1-1.吸収,分布,代謝,排泄
   11-1-2.薬物代謝第1相反応
   11-1-3.薬物代謝第2相反応
   11-1-4.代謝的活性化
   11-1-5.薬物動態の個人差とその原因
  11-2.化学物質の毒性と試験法
   11-2-1.毒性の分類
   11-2-2.器官毒性
   11-2-3.器官に依存しない毒性
   11-2-4.発がんプロセス
   11-2-5.代表的な毒性化学物質
   11-2-6.毒性試験法
  11-3.化学物質の安全性の評価と規制
   11-3-1.安全性の考え方
   11-3-2.用量-反応関係
   11-3-3.動物からヒトへの外挿
   11-3-4.安全量算出法
   11-3-5.毒性試験の信頼性
   11-3-6.化学物質規制に関する法律
  11-4.薬毒物中毒と薬毒物証明法
   11-4-1.薬毒物急性中毒発生状況
   11-4-2.薬毒物中毒の処置法
   11-4-3.薬物乱用
   11-4-4.薬毒物の証明法
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