書籍カテゴリー:基礎薬学

図解 微生物学・感染症・化学療法

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みてわかる薬学シリーズ
図解 微生物学・感染症・化学療法

第2版

  • 札幌医科大学 名誉教授 藤井暢弘 編
  • 千葉大学名誉教授/帝京大学アジア国際感染症制御研究所特任教授 山本友子 編

定価:5,720円(本体5,200円+税10%)

  • B5判 542頁
  • 2020年9月 発行
  • ISBN978-4-525-75132-6

概要

薬学生が知っておきたい微生物・感染症と薬の知識を網羅!

薬学部で学ぶ微生物・感染症の知識は範囲が広く,覚えなければならないことも多い.また病原微生物は化学療法の主な対象となるため,臨床の現場に出ても重要である.

本書は図表による解説を中心として,読みやすさ,わかりやすさを重視している.薬剤師国家試験対策にもお勧めの一冊である.

序文

 2014年6月に初版を世に送り出して以来6年が経過した.この間に病原微生物学,および免疫学,化学療法などそれぞれの分野における進歩は目を見張るものがあり,新知見は暇がない状況であった.感染症対策の領域では,初版出版の2 年前にはMERS,5年前にはブタ由来インフルエンザの世界的流行があったが,日本は特に大きな被害を受けなかった.しかし,2019年末中国武漢に出現した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るい,2020年8 月下旬時点で感染者は約2,200万人,死者80万人以上となり,収束にはほど遠い状況にある.日本においても感染者は6万人に近づき,死者も1,100人を超えている.このことは,感染症に対する認識を一変させ,感染症対策の重要性を人類に知らしめることとなった.薬剤師においても感染防御・感染症対策に関わる重要性が増加しつつあり,多岐にわたる資格認定制度が制定され専門化が進んでいる.
 本書の改訂にあたっては,「薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応しつつ,基礎から臨床への流れを理解し,臨床現場で役に立つ知識を体系的に学ぶことのできる教科書を目指す」という初版の骨子をさらに充実させることに加え,感染症対策に重点をおいた.このため,「感染症に見られる主な臨床症状の説明」を第1章に加えることによって,各論で示している症状の理解を深め,臨床的知識の習得に役立てることを心がけた.感染症対策では,感染症に関わる法的な改正部位を含め最新の知見を取り入れた.国際的に問題となっている「耐性菌」への対応も含み,各章分野においても,先に述べた進歩の中から極力新しい知見を盛り込んだ.さらに図は解剖学的理解にも触れることのできるよう工夫し,表も見直し,あるいは新規に作成し,読者の理解が得られるよう努めた.初版と同様に本文を左ページ,対応する図・表を右ページとなるよう,できる限り配慮した.
 種々の改正,工夫を凝らしたが,広範な内容を理解してもらうためには不足する点も多々あると思われる.本書のさらなる充実のために,学生諸君,教育関係諸氏からご意見,ご教示をいただければ幸いである.
 最後に,執筆者の皆様におかれましては,COVID-19の対策で極めて多忙な中で本書改訂の労を担われたこと,心より深謝申し上げる.また,改訂版の上梓にあたり,編集にご尽力頂いた南山堂の諸氏に心より感謝の意を表したい.

2020年9月
編者を代表して
藤井暢弘

目次

◆ 薬学教育モデル・コアカリキュラム対応表

1章 感染症概論
A 感染症成立の要因
 1. 感受性個体
 2. 感染源
 3. 感染経路
 4. 外因感染と内因感染
B 発症からの経過
 1. 感染症の推移
 2. 持続感染とその重要性
C 発症にかかわる要因
 1. 病原体側の要因
 2. 宿主側の要因
D 臓器別感染症
E 近年注意すべき感染症(感染症の現状)
 1. 新興感染症と再興感染症
 2. 輸入感染症
F 人獣共通感染症
G 感染症の検査と治療
 1. 感染症の実験室診断
 2. 感染症の治療
H 感染症と主な症状
 1. 局所感染と全身感染
 2. 全身性感染症の主な病態
 3. 主な症状


2章 感染症と生体防御
A 異物の侵入を防ぐプリミティブな防御機構
 1. 皮 膚
 2. 粘 膜
 3. 呼吸器
 4. 消化管
 5. 泌尿器
 6. 眼球と涙
 7. 常在細菌
 8. プリミティブな排除にかかわる液性因子
 9. プリミティブな排除にかかわる細胞性因子
B 免疫をつかさどる臓器と組織
 1. 一次(中枢)リンパ組織
 2. 二次(末梢)リンパ組織
C 免疫担当細胞
 1. リンパ系前駆細胞から誘導される免疫担当細胞
 2. 骨髄系前駆細胞から誘導される免疫担当細胞
 3. CD 抗原
D 炎症とサイトカイン
 1. サイトカインの働きと種類
 2. サイトカインストームと敗血症
 3. 炎症反応の分子メカニズム
E 自然免疫と獲得免疫
 1. 自然免疫における認識機構
 2. 獲得免疫における認識機構
F 液性免疫と細胞性免疫
 1. 液性免疫と抗体
 2. 細胞性免疫とT 細胞
G 異物に対する攻撃手段
 1. 補体系
 2. キラーT 細胞やNK 細胞による細胞傷害
H 感染免疫
 1. 細胞外寄生体と液性免疫
 2. 細胞内寄生体と細胞性免疫
 3. ウイルス感染における多彩な免疫応答
 4. ウイルスによる免疫応答の抑制
I 能動免疫と受動免疫
J 過敏症(アレルギー)
 1. Ⅰ型過敏症
 2. Ⅱ型過敏症
 3. Ⅲ型過敏症
 4. Ⅳ型過敏症
K 免疫寛容(トレランス)
L 自己免疫疾患


3章 細菌感染症
A 生態系のなかでの位置づけと特徴
 1. 細菌の生物学的位置づけ
 2. 細菌の構造と機能
  3. 細菌の増殖
 4. 細菌の代謝
 5. 細菌の遺伝と発現調節
B 主要な細菌と疾患
 1. グラム陽性球菌
 2. グラム陽性桿菌
 3. グラム陰性球菌
 4. グラム陰性桿菌
 5. らせん菌
 6. 放線菌
 7. スピロヘータ
 8. マイコプラズマ
 9. リケッチア
10. クラミジア


4章 ウイルス感染症
A ウイルスの一般的性状と生体応答・抗ウイルス薬
 1. ウイルスの構造
 2. ウイルスの増殖
 3. ウイルスの分類
  4. ウイルスの遺伝と変異
 5. ウイルスの培養と定量法
 6. ウイルスの感染経路(伝播様式)
 7. ウイルス感染と免疫
 8. ウイルスによる発がん
 9. 抗ウイルス薬
B 主なウイルスと感染症
 1. ポックスウイルス科
 2. ヘルペスウイルス科
 3. アデノウイルス科
 4. パピローマウイルス科
 5. ポリオーマウイルス科
 6. パルボウイルス科
 7. ヘパドナウイルス科
 8. オルトミクソウイルス科
 9. パラミクソウイルス科
10. ラブドウイルス科
11. フィロウイルス科
12. ボルナウイルス科
13. ブニヤウイルス科
14. アレナウイルス科
15. レオウイルス科
16. ピコルナウイルス科
17. カリシウイルス科
18. ヘペウイルス科
19. コロナウイルス科
20. フラビウイルス科
21. トガウイルス科
22. レトロウイルス科
23. プリオンと感染症


5章 真菌感染症
A 真菌の特徴
 1. 真菌菌種の数
 2. 真菌の生物学的位置づけ
 3. 病原真菌の形態的特徴
 4. 真菌の細胞構造
 5. 真菌の生活環と学名
 6. 真菌の分類
B 真菌感染症(真菌症)
 1. 深在性真菌症
 2. 地域流行型真菌症(輸入真菌症)
 3. 深部真菌症
 4. 表在性真菌症
C 真菌を原因としたアレルギー
 1. 夏型過敏性肺炎
 2. アレルギー性気管支肺真菌症
 3. アレルギー性副鼻腔真菌症
D カビ毒とキノコ中毒
 1. マイコトキシン(カビ毒)
 2. キノコ中毒
E 真菌症と感染免疫・生体防御
F 抗真菌薬
 1. 深在性真菌症治療の基本的な考え方
 2. 深在性真菌症治療薬
 3. 皮膚真菌症治療薬
 4. 薬剤耐性とその機構


6章 原虫・寄生虫感染症
A 原虫・寄生虫の特徴
 1. 原虫・寄生虫とは
 2. 原虫・寄生虫の分類
B 原虫・寄生虫の生活史
 1. 宿主への侵入と脱出
 2. 生活史のパターン
C 原虫・寄生虫疾患の検査法
D 主な原虫・寄生虫感染症の臨床
 1. わが国における原虫・寄生虫感染症の様相
 2. 抗原虫薬と抗寄生虫薬
  3. 原虫・寄生虫感染症の治療(各論)

7章 化学療法(抗菌薬)
A 抗菌薬(総論)
 1. 抗菌スペクトル
 2. 抗菌力
 3. 組織移行性と細胞内移行性
 4. 投与方法
 5. PK-PD パラメータ
B 抗菌薬(各論)
 1. 細胞壁の合成を阻害するもの
 2. タンパク質合成阻害薬
 3. DNA 合成阻害薬
 4. RNA 合成阻害薬
 5. 細胞膜傷害薬
 6. 葉酸合成阻害薬
C 抗菌薬耐性の機構
 1. 自然耐性と獲得耐性
 2. 抗菌薬耐性の主なメカニズム
 3. 薬剤耐性菌出現のメカニズム
 4. 抗菌薬耐性菌問題への取り組み
D 抗結核薬


8章 感染防御と感染制御
A 感染(症)対策
 1. 近年の問題
 2. 感染源・感染経路・宿主対策
 3. 感染症の監視
 4. 法的対策
 5. ワクチン(予防接種)
 6. 薬剤耐性(AMR)対策
B 院内感染(医療関連感染)とその対策
 1. 院内感染
 2. 感染制御機構・活動
C 消毒と滅菌
 1. 消 毒
 2. 滅 菌