書籍カテゴリー:基礎薬学|分子医学

基本まるわかり!薬理遺伝学
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基本まるわかり!薬理遺伝学

1版

  • 名古屋大学医学部附属病院薬剤部 副薬剤部長 石川和宏 著

定価:2,484円(本体2,300円+税8%)

  • B5判 103頁
  • 2012年11月 発行
  • ISBN978-4-525-77101-0

概要

遺伝的要因や個々の体質により,薬の効果や副作用に個人差があることは多く報告され,すでに臨床上でも応用されています.しかし医療スタッフの中には「遺伝学」「薬理学」に対して苦手意識のある方が少なくありません.本書では,カラー図によりメカニズムのイメージでき,より理解しやすいよう工夫しています.

序文

 薬の効果(薬効)や副作用が人によって異なるという現象は,すでに多くの人々に理解されているところである.近年,遺伝子解析技術の進歩に支えられた研究が発展し,投与された薬においてこれらの個人差を生じさせる原因の一つとして,個別情報の宝庫である遺伝子に注目が集中している.また,2012年9月理化学研究所は,国際ヒトゲノム解析プロジェクトENCODEで,ゲノムの80%に生物機能が存在することをあらたに証明し,遺伝子機能に関する重要性がさらに高まってきている.そのようななかで,薬効の個人差についても遺伝子レベルでの解明が急速に進み,その結果個人差との関連性が少しずつ解明されてきている.この成果は,『薬理遺伝学』というあらたな学問分野を誕生させてしまうほどの発展を遂げている.しかし,その理解に当たっては遺伝子のはたらきについてあらたに知識を習得しなければならず,十分に浸透している状況にあるとはいえない.
 そこにはおそらく,個人差に興味があるにもかかわらず,耳慣れない遺伝子の理解という壁が大きく立ちはだかっているからではないだろうか.
 そこで,そのような方々に対してカラー図表を多用し,できるだけわかりやすく解説することで,理解を深め,さらに意欲を持って深く学んでいただくことを目的に,薬理遺伝学の入門書の執筆に着手した.
 本書を活用することでひとりでも多くの読者が薬効・副作用の個人差について遺伝子という個別情報の宝庫をひもとくことで理解を深めることができれば至極の喜びである.さらに,その知識が実臨床にて活かされることで薬を提供する医療者側あるいは受け取る患者さん側双方において理解が進み,少しでも安全安心で質の高い医療が届けられるような環境づくりの一端が担えれば医療者の一人としてこの上ない喜びであり,大いに期待するところでもある.

2012年 夏
名古屋大学医学部附属病院薬剤部 副薬剤部長
石川 和宏

目次

第1章 薬理遺伝学の基本

1 薬は体のなかで動いて反応する

2 遺伝子の構造と役割

3 変化する遺伝子配列

4 遺伝子情報と個人差


第2章 遺伝子情報により生じる 薬効・副作用の個人差

1 薬理遺伝学を臨床で活かす意義

2 抗凝固薬
  ワルファリン CYP2C9, VKORC1

3 抗潰瘍薬
  オメプラゾール CYP2C19

4 抗血小板薬
  クロピドグレル CYP2C19

5 心不全治療薬
  ジゴキシン MDR1

6 従来型抗がん薬

7 抗がん薬
  5-フルオロウラシル(5-FU) TYMS

8 抗がん薬
  ゲムシタビン CDA

9 抗がん薬
  イリノテカン UGT1A1

10 分子標的抗がん薬

11 抗体薬

12 高分子型分子標的抗がん薬
  抗EGFR抗体薬 KRAS

13 高分子型分子標的抗がん薬
  抗HER2抗体薬 HER2

14 低分子型分子標的抗がん薬
  EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 EGFR

15 低分子型分子標的抗がん薬
  BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬 bcr-abl

16 低分子型分子標的抗がん薬
  KITチロシンキナーゼ阻害薬 c-kit,PDGFRA

17 まとめ

第3章 薬理遺伝学で理解する薬効・副作用の個人差


Column

1 遺伝子の変化(多型・変異)に伴うタンパク質の質的量的な変化
2 分裂期染色体
3 細胞周期と染色体構造の変化
4 シチジン系代謝拮抗薬
5 コンパニオン診断薬