書籍カテゴリー:臨床薬学|基礎薬学

調剤学総論
立ち読み

在庫状況:在庫あり

調剤学総論

第12版

  • 薬学博士 堀岡正義 著
  • 調剤学総論編集委員会 編集協力 著

定価:7,344円(本体6,800円+税8%)

  • B5判 608頁
  • 2015年4月 発行
  • ISBN978-4-525-77232-1

概要

21世紀に活躍する薬剤師のために,調剤に必要な知識・技術,医療人としての倫理,医療や医薬品を巡る動向,医薬品適正使用のキーマンとしての役割〜調剤のあり方を解説.12版では薬事法改正等薬剤師を取巻く医療・薬事制度の変革や薬学教育制度の整備等に対応し全体的な見直しを行った.「薬剤師のバイブル」ともいうべき一冊.

序文

 2012年に,「調剤学総論」改訂11版を発行したが,「薬事法改正・施行」のため,このたび改訂12版を発行することとした.2014年に医薬品の品質・有効性・安全性の承認・認証を扱う従来の薬事法に,医療機器の有効性・安全性の承認等,医療機器の特性に応じた安全対策を担う役割が加わった.
 以下に改正薬事法のポイントを示す.

改正薬事法の内容〜承認・認証制度,販売規制〜
 改正薬事法のポイント1:医薬供給の多様化
 一般用医薬品(OTC薬)の新たな販売制度などを定めた改正薬事法〔現医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称 医薬品医療機器等法)〕が2014年(平成26年)6月12日に施行.スイッチ直後品目や劇薬を「要指導医薬品」として薬剤師による対面販売を義務づける.
 改正薬事法のポイント2:医療機器の特性に応じた安全対策の見直し
 ポイント① 医療機器は,疾病の治療に用いられるものであり,医薬品と同様に保健衛生上の観点からの対策が必要
 ポイント② ①の一方で,技術・素材や使用形態・リスクにおいて,医薬品以上の多様性を有することに留意する必要
 以上,「医薬品同様」の対策を検討すべきもの:製品開発のための臨床試験を行うにあたってのルール(GLP,GCP,治験のための事前相談制度)等
  (改正薬事法のポイント-承認・認証制度及び販売規制-,厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室より)

 今回の改訂においても,改訂7版(2005年)時に設けられた「調剤学総論編集委員会」が中心となって,本書を世に送り出した堀岡正義の意を継承しながら改訂に臨んだ.
 また, 改訂7版時より,2006年度スタートの 「薬学教育モデル・コアカリキュラム」(2013年12月改訂)のユニット,一般目標,到達目標などを参照し,改訂時に反映させる方針で臨んでいるが,本書が,薬剤師の一般目標,到達目標達成に必要な知識,技能等の科学的根拠に加え,倫理的・法的背景にも触れており,新たな薬学教育制度にも相応しいテキストであることを感じとることができた.と同時に,より充実したテキストヘ成長させる責任を強く感じる.
 巻末に,本書の各項目と「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の各ユニット,一般目標等との対応をまとめているので参考にされたい.

 はやいもので,2015年度入学生から,新コアカリを用いた薬学教育が始まり,2019年度からは実務実習が始まる.昨年の国家試験合格率は60.84%という結果であり,過去19年間で最も低い合格率であった.今後のレベルアップに期待したい.

 薬事における近年の特徴は,医薬品のリスクに応じた仕分けである.6年制薬学教育がスタートしてからの措置であり,安全性確保のための医薬品行政本来の意義に加え,薬物療法における薬剤師の役割の再認識・自己研鑽をも促すものと捉えるべきであろう.
 ・一般用医薬品(OTC薬)では使用におけるリスクに応じて,第一類医薬品から第三類医薬品の3つのカテゴリーに分類され,第二・第三類医薬品は登録販売者による販売が可である.
 ・ハイリスク薬グループ,とくに安全管理が必要な医薬品は,薬剤管理指導料2に適応のハイリスク薬(抗悪性腫瘍薬,免疫抑制薬,不整脈用剤,抗てんかん薬,血液凝固阻止薬,ジギタリス製剤,テオフィリン製剤,カリウム製剤(注射薬に限る),精神神経用薬,糖尿病用薬,膵臓ホルモン剤及び抗HIV薬)とグループ化される.
 ・医療費抑制が強調されるジェネリック医薬品の普及策であるが,医薬品の選択は,薬剤師の裁量に委ねられ,薬剤師がその職責を十分に果たすためには,上記と同様に,医薬品の客観的評価が必要となる.

本書の理念(調剤学・調剤)
 本書のタイトルには「調剤学」が冠されているが,本書には,「調剤」という医療行為の根底に流れる薬剤師の倫理観・使命感,医療人としての心得・姿勢に多くの頁が割かれており,いつの時代にも変わらぬ薬剤師の心構えが記されている.この部分が本書の特徴であり,「序論」および「調剤論」の中に,「薬学教育モデル・コアカリキュラム」が要求する教育内容のエッセンスが,すでに初版より記載されている.また,「エピローグ」からは,医療人の姿勢を支える源であるヒューマニズムを感じとることができる.学生諸君には,ぜひ,自読して,本書の趣旨を理解してもらいたい.
 さて,「調剤」の概念は時代とともに変遷してきた.堀岡は,第Ⅰ世代の調剤―薬剤調製の技術中心の物質指向の調剤,第Ⅱ世代の調剤―医薬品情報を活用し処方鑑査・服薬指導を重視する調剤,第Ⅲ世代の調剤―医薬品情報に薬剤服用歴を加える等の患者指向の調剤(個の調剤)に整理した.最後の概念は,薬物療法の個別化,テーラーメイド医療の理念と同じものであり,これを支える学問・技術は日々進化している.一方,医薬供給・デリバリーの多様化を読者はいかが考えるか?

 改訂12版の発行にあたり,検討した点は以下のとおりである.
 1.編集委員が各章を分担して検討し,今日の調剤ニーズに対応するよう努めた.
 2.統計資料・関係資料に最新のものを記載するように努めた.
 3.改正薬事法(医薬品医療機器等法)の内容を盛り込むよう努めた.
 4.2014年(平成26年)度診療報酬改定の内容を盛り込むよう努めた.
 5.医療制度,薬事制度及び薬学教育の変革の2つの表の更新
 6.副作用情報(一覧)の見直し・更新
 7.医薬品名については,前版同様,製品名を太字で記載することにより,一般名と明確に区別できるようにした.

 限られた紙面に膨れ上がる知識・技術.情報を網羅することは無理であるが,生涯学習やスキルアップに必要な事項や事例をタイムリーに記載するのも本書の務めである.
 薬剤師の方々には医療人として生涯教育に励み,薬学生諸君には薬剤師になることに誇りを持って各教科を学ぶために,最初に末尾のエピローグ「薬剤師へのメッセージ」を一読することをお薦めする.

2015年3月
樋口 駿 
堀岡 正義

目次

A.調剤の基礎

1.序 論
  1.医学と薬学,医療 薬剤師
  2.調剤学,医療薬剤学,病院薬学,医療薬学
  3.調剤学の歴史
  4.薬剤師の現状
  5.関係法規

2.調剤論
  1.調剤業務と薬剤業務
  2.薬剤師職能の変革…26
  3.薬剤師の倫理と調剤のフィロソフィー
  4.調剤の概念
  5.薬局薬剤師 病院薬剤師の調剤の特徴
  6.Clinical Pharmacy PracticeからPharmaceutical Careへ
  7.調剤は薬学諸学の総合ということ
  8.医療薬学教育と薬剤師の生涯研修・生涯学習
  9.これからの調剤学

3.医薬品
  1.医薬品
  2.医薬品の開発
  3.製造販売後調査
  4.ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)
  5.新医薬品開発のあゆみと課題
  6.医薬品副作用被害と生物由来製品感染等被害の救済

4.医薬品情報
  医薬品情報学概論
  1.医薬品情報源の分類
  2.医薬品情報の種類
  3.医薬品情報の管理
  4.医薬品情報の調査,検索
  5.インターネットによる医薬品情報の検索
  6.医薬品情報のサイクル
  7.薬剤疫学
  医療提供施設における医薬品情報管理業務
  8.医薬品情報管理業務
  9.医薬品情報の収集,活用,提供

5.医薬品の管理
  1.医薬品の管理
  2.医薬品コード
  3.医薬品管理の実際
  4.医薬品の貯法と容器
  5.麻薬,向精神薬,覚せい剤の管理
  6.生物由来製品,特定生物由来製品の管理
  7.感染性廃棄物の処理
  8.薬剤経済学

6.医薬品の品質,剤形と製剤試験
  医薬品の品質
  1.医薬品の規格
  2.医薬品の品質確保
  3.院内製剤
  4.製剤の種類
  5.ドラッグデリバリーシステム
  6.製剤試験
  7.医薬品の品質再評価
  8.生物学的同等性試験

7.医薬品の投与法
  薬用量
  1.薬用量
  2.小児薬用量
  3.高齢者薬用量
  4.妊婦,授乳婦への医薬品投与
  5.疾患と禁忌の医薬品
  6.医薬品の長期投与
  7.遺伝子診断と医薬品の適正使用
  8.投与剤形の選択
  9.投与回数,投与間隔
  10.服用方法

8.血中薬物濃度モニタリング(TDM)概論
  1.TDM
  2.臨床におけるTDMの有用性
  3.TDMに必要な薬物動態理論の基礎知識
  4.血中薬物濃度の測定方法
  5.TDMの実例

9.配合と併用
  1.はじめに
  理化学的配合変化
  2.配合変化
  3.理化学的配合変化
  4.融点降下による湿潤,液化
  5.吸 湿
  6.交換反応による沈殿生成
  7.理化学的配合変化の試験法
  薬物相互作用
  8.薬物相互作用
  9.調剤業務と薬物相互作用
  10.薬物相互作用の実例

10.医薬品の適正使用と薬剤師
  1.はじめに
  2.医薬品の適正使用と行政
  3.創薬の論理と臨床適用の考え方の乖離
  4.PMSは乖離の幅を縮小する
  5.薬物療法の薬学的評価
  6.医薬品の適正使用と薬剤師の役割
  7.医薬品の薬学的評価の実例

B.調剤の技術

11.処方と調剤業務
  1.処方箋
  2.調剤室
  3.処方オーダリングシステム
  4.処方箋の取り扱い
  5.処方の点検
  6.疑義照会
  7.調剤薬の調製と交付
  8.医薬品による事故,過誤と対策

12.薬歴管理,服薬指導〜患者への情報提供
  薬歴管理
  1.薬歴の作成と患者接遇
  2.薬剤服用歴
  3.薬剤管理指導
  4.在宅患者訪問薬剤管理指導業務
  服薬指導〜患者への情報提供
  5.コンプライアンスと患者コミュニケーション
  6.服薬指導指針,薬剤情報提供の進め方
  7.服薬指導の実際(1)
  8.服薬指導の実際(2)
  9.服薬指導の実例

13.剤形別の調剤〔1〕内用剤
  1.散剤・顆粒剤の調剤
  2.錠剤・カプセル剤の調剤
  3.内用液剤の調剤
  4.経腸栄養法
  5.麻薬の調剤

14.剤形別の調剤〔2〕外用剤
  1.外用液剤
  2.眼科用製剤
  3.軟膏剤及び類似製剤
  4.坐 剤

15.剤形別の調剤〔3〕注射剤
  1.注射剤概説
  2.注射剤の調剤
  3.注射剤処方箋と注射剤調剤の手順
  4.注射剤調剤の実際
  5.輸液療法
  6.高カロリー輸液療法
  7.電解質の補給,補正
  8.注射剤の配合変化,試験法,予測法

16.特殊医薬品
  1.救急用医薬品
  2.血液製剤
  3.放射性医薬品
  4.診断用医薬品
  5.消毒薬

C.医療施設,医療保障

17.医療施設管理・薬局管理
  1.医療法と医療施設
  2.医療施設の種類
  3.病院の使命
  4.病院の組織
  5.病院の業務
  6.病院薬剤部の管理
  7.薬局管理

18.医療関連制度
  1.社会保障制度
  2.医療保障制度
  3.国民医療費の動向
  4.診療報酬と薬価基準
  5.調剤報酬,診療報酬の投薬料の算定
  6.医薬分業
  7.医療制度の抜本的改革

付 録―重篤副作用と早期発見

エピローグ―薬剤師へのメッセージ

モデル・コアカリキュラム対応表


余 録
 FIP世界薬学会議(PSWC)のロゴマーク
 国際薬学会議(FIP)のロゴマーク
 医療薬学フォーラム/クリニカルファーマシーシンポジウムのロゴマーク
 九大病院初代薬局長 酒井甲太郎
 調剤の法規定と調剤学
 薬事・食品衛生審議会組織図
 画期的な新薬の発明によりノーベル賞を受賞した研究者
 新薬日新(明治40年)(恩田重信著,酒井甲太郎補)
 ジェネリック医薬品のCMパンフレット
 百年前の薬
 日本薬剤師会,日本病院薬剤師会の会章
 DOKAMA散剤分包機
 明治末期の病院薬局調剤室
 Get the Answersキャンペーンポスター
 くすりの正しい服用,使用上の注意の絵文字(ピクトグラム)
 薬剤イベントモニタリング(DEM)の協力依頼ポスター
 薬の正しい使い方パンフレット
 アセトアミノフェン中毒
 薬剤師会から医師会への情報提供
 著者 堀岡正義の略歴

NEMO
 CRO,SMO,CRC
 分子標的薬
 医薬品の生産額(2011年)
 ニトログリセリンを嘗めたが
 用法・用量とは
 アレビアチンの調剤情報
 EBM
 “処方かんさ”を考える
 フラジオマイシン含有点耳液の長期点耳による失聴
 DRG/PPS,DPC