書籍カテゴリー:臨床薬学

事例で解決!薬学的プロブレム106
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在庫状況:絶版

事例で解決!薬学的プロブレム106

1版

  • 中部労災病院 薬剤部長 水谷 義勝 編
  • 山口労災病院 薬剤部長 宮野 直之 編
  • 大阪労災病院 薬剤部長 前田 頼伸 編

定価:3,456円(本体3,200円+税8%)

  • B5判 304頁
  • 2010年11月 発行
  • ISBN978-4-525-77361-8

概要

プレアボイド症例のみならず,薬剤師が臨床の場で実際に経験した事例・症例は,薬剤師業務に活かすための最適な資料となり得る.本書は,薬剤師が実際に経験した症例を系統的に分類・分析し,得られた反省点やノウハウから,より良い薬学的管理をサポートする一冊となっている.

序文

 この度,労災病院の薬剤師が中心となって執筆した臨床事例集を発刊することになりました.病院薬剤師の業務は現在,臨床を中心に薬品管理や服薬指導をはじめ,がん化学療法支援などのチーム医療を実践することで,医薬品の適正使用と安全管理に貢献する時代となっています.
 そのような中,守備範囲が広域化して1人の薬剤師がすべてのオーソリティを保有することが難しくなり,専門薬剤師という概念も生まれました.しかし,専門化することで,逆に専門外には無関心となる懸念もあります.そこで,薬剤師同士の情報交換が必要ではないかと考えました.
 故 田村善蔵先生(元 日本病院薬剤師会会長)が“Patient is the Teacher”という言葉を残されましたが,病院薬剤師の勉強するきっかけは症例であり,それが出発点となった研究論文や発表のテーマも多くありました.ところが論文は難しすぎて,読んではみても何をどう利用したらよいのかわからないのも事実です.
 本書は,論文化されたものをわかりやすくした論文ダイジェスト集でもあり,また,そこまででなくても「AはBである」と確信した想い出の症例を報告し,その症例から学んだ何か(ノウハウ)を誰かに伝えようという趣旨の企画になっています.つまり,提案できる「何か」(添付文書以上の情報,便利なツール・システム)を含み,薬剤師としての売り込みポイントが明示できる事例集を目指しました.内容としては,臨床で多く経験する副作用・相互作用への具体的対策のみならず,院内特殊製剤や持参薬管理システムなどといった,DI実例集的な要素も含まれています.
 各報告につきましては,検討を重ねましたが,記載範囲が広域で十分に編集できていない部分もあり,みなさま方のご意見をいただき,さらなる充実を図りたいと存じています.
 本書を通じて薬剤師,薬学生,薬学教育関係者,そして医療関係者に良好な情報の共有が可能となり,1人でも多くの患者のお役に立てることを願っております.

2010年10月
編者を代表して
中部労災病院薬剤部
水谷義勝

目次

第1章 副作用回避のための薬学的管理
■イソニアジド服用中の?痒感・皮疹は食事を確認
■クリンダマイシンの薬疹は躯幹:紅斑,下肢:紫斑
■バンコマイシンによる頻脈発現時のヒスタミン濃度
■抗結核薬投与における薬学的アセスメントは重要!
■MVEC療法では好中球減少を単球動態より予測できる
■イリノテカンによる遅発性下痢に活性炭(クレメジン)が有効
■イリノテカンのコリン様作用の症状に抗コリン薬を前投薬した1症例
■エトポシドの内服薬は胃切除患者に注意
■FOLFOX療法によるアレルギー反応は,重症度により発現状況に違いがある
■化学療法レジメンの見直しによる副作用の軽減
■セツキシマブは投与開始時からの皮膚障害対策が重要
■セツキシマブ投与時の副作用調査
■腎細胞がん治療薬ソラフェニブの副作用(手足症候群)に要注意!
■ドキシル注は全身に皮膚障害が生じるため注意
■パクリタキセルの視覚的副作用モニタリングシートによる迅速な対応
■がん疼痛患者の心理状況は ?
■患者心理を把握することが副作用の予防になる
■アルプロスタジル静注は低アルブミン血症患者で要注意
■ジギトキシンによる血小板減少症は中毒性副作用である!
■脱水でジゴキシン中毒になる?
■シロスタゾールは頻脈に関与している可能性を考えてモニタリングすることが重要
■チクロピジンは胆汁うっ滞酵素をチェック
■チクロピジン投与後に肝機能異常が発症した際の対応は?
■ピルジカイニドは血中濃度中毒域でトルサドポアンを疑う心室頻拍を起こす場合がある
■抗不整脈薬投与時は心電図をモニタリングすることが重要
■ベラパミルとジゴキシン併用時の房室ブロックは半減期を考慮する
■ワルファリン低用量患者は,鎮痛薬の副作用に注意が必要
■ワルファリン服用中の患者が食欲不振に陥ったら危険
■カルバマゼピンは血中濃度有効域でも徐脈をきたす場合がある
■プロクロルペラジンによるアカシジアをきたした症例
■副作用のリスクが高まる抗精神病薬の多剤投与の改善
■バルプロ酸の副作用スクリーニングとしてアンモニア測定が必要!
■ジスチグミン臭化物(ウブレチド)の薬歴の重要性
■ジスチグミン臭化物服用中に発現したコリン作動性クリーゼに対応した症例
■造影剤による副作用を予防する目的で行われるステロイド剤前投与は有効か?
■タココンブ使用により術後に PT-INR が上昇することがある
■チアマゾールの副作用は一過性の場合がある
■甲状腺機能亢進症では横紋筋融解症の発症に注意
■低分子デキストランによる急性腎不全は尿量のモニタリングが重要!
■G-CSFの骨痛に対してクロルフェニラミン錠が有効
■メシル酸ガベキサート投与開始時の注意点
■抗リウマチ薬の腎障害は薬剤別のモニターが必要!
■リウマチ治療薬としてのメトトレキサートによる汎血球減少のモニタリングと対処法

第2章 薬物相互作用
■ビスホスホネート系薬とアミオダロンの併用により洞停止をきたした症例
■アミオダロンはカルベジロールの代謝を阻害するので併用時には注意
■糖尿病患者が抗結核薬を併用していたら要注意!
■グリベンクラミド服用患者にH.pylori除菌療法を開始する場合は低血糖に注意
■キノロン系抗菌薬と金属カチオンのキレート形成を防ぐプロドラッグ
■テオフィリンとアシクロビルの併用時には代謝阻害に注意
■メキシレチンの併用によってテオフィリンの血中濃度は上昇する
■バルプロ酸Naのカルバペネム系抗生物質併用による血中濃度低下は血球分布することによる
■フェニトインとTS-1の併用時はフェニトインの副作用に注意
■フェニトインと薬物相互作用のある薬剤を投与する時は注意が必要!
■リドカインとメキシレチン併用時は分布の相互作用に注意
■アミオダロンとワルファリンの相互作用
■ベンズブロマロンを利用したワルファリン療法の改善
■ワルファリン服用患者のTS-1服用開始による凝固能の変動
■β2受容体刺激薬は必要インスリン単位を増量させる

第3章 腎排泄型薬剤の処方チェック
■アルベカシンは年齢を加味した腎機能評価と血中濃度の確認が重要
■腹膜透析患者の帯状疱疹後神経痛に対するガバペンチンの投与
■ジゴキシン投与量は適正か ?
■アロプリノールは腎機能低下患者で活性代謝物が蓄積する
■蛍光偏光免疫法による内因性ジゴキシン様免疫反応因子の影響
■腎機能別の中毒危険率を根拠としたジゴキシン初期投与量設定法
■シベンゾリンは腎機能に応じた投与量が必要!
■シベンゾリン処方開始時に腎機能に基づいた投与量チェック!
■シベンゾリンの低血糖は軽度腎障害でも発生しやすい!
■シベンゾリンによる低血糖発現
■医師の処方が牽制できるバンコマイシン投与設計ノモグラム
■バンコマイシンの初期投与量設定時は低クレアチニン値と女性に注意
■1人の患者で腎機能を評価し投与設計することで3つの副作用を回避
■リバビリン投与量は腎機能を加味する!

第4章 薬物療法における工夫と適正使用
■手術前の抗血小板薬の中止にはステント留置を確認
■HbA1c値の上昇はインスリン自己注射の手技が不適切な場合もある
■倍散は服用までに希釈されるものがある!
■エリスロポエチン最大投与量からネスプへ切り替えた場合の注意点
■カルバマゼピンの疼痛緩和に対する保存的薬物療法
■肝硬変における肝クリアランス低下時のシクロスポリンの投与設計
■急性冠症候群(ACS)の発症予防はLDL-C/HDL-C比が有用
■アトピー性皮膚炎患者に対するステロイド外用指導の重要性
■テイコプラニンで早期に臨床効果を得るためには高用量負荷投与が必要!
■不適切な輸液セット選択によりインラインフィルターの閉塞をきたした症例
■ニトログリセリンは緑内障に禁忌?
■アレビアチン注の希釈について
■疼痛緩和でデュロテップMTパッチ投与前にフェンタニルのタイトレーションが効率的で有効
■ヘパロック,10mL全部入れますか?
■マーロックス膀胱内注入法により難治性出血性膀胱炎が改善した1症例
■ワルファリン15mg/日でもPT-INRが上昇しない場合VKORC1の遺伝子が変異
■速効性のモルヒネ製剤とオキシコドン製剤の鎮痛効果は同等
■このルートから投与しても大丈夫ですか?~ICUにおける注射薬管理~
■タバコは吸えても薬が吸えない!?~吸入指導には吸気流速の評価を~

第5章 院内製剤の工夫と有効活用
■難治性褥瘡における院内製剤ピオクタニンの有用性
■ベバシズマブ眼内注入における眼内炎の対応
■モーズ軟膏を使用した有棘細胞がんの2例
■緩和ケアにおけるモーズ軟膏の使用
■モーズ軟膏による有棘細胞がんへの対応
■低濃度モーズ軟膏を使用した原発性および転移性皮膚悪性腫瘍の3例

第6章 システム構築による薬学管理の向上
■抗がん剤調製換算シートの開発
■データベースソフトを利用した抗がん剤の副作用管理
■薬剤禁忌情報の一元管理は薬剤部で!
■チーム医療における持参薬情報共有化を目的とした薬剤管理システムの構築
■外来における手術前服用薬調査業務の構築

第7章 製剤比較と有効性の検討(後発医薬品を含む)
■グリチルリチン注射剤の製剤間での薬効比較
■テイコプラニン後発医薬品の選定
■バンコマイシン製剤 : 後発医薬品の添加剤による影響
■各種バンコマイシン塩酸塩注射製剤の品質比較

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