書籍カテゴリー:臨床薬学|基礎薬学

図解臨床調剤学
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みてわかる薬学シリーズ
図解臨床調剤学

1版

  • 立命館大学薬学部薬学科教授 一川暢宏 編
  • 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授 中嶋幹郎 編

定価:5,832円(本体5,400円+税8%)

  • B5判 403頁
  • 2011年11月 発行
  • ISBN978-4-525-77371-7

概要

本書では,病院・薬局薬剤師各々の視点から調剤学のエッセンスを実際の調剤業務の流れに沿うように学術的に解説した.内容の理解を助ける図表を多数用いてコンパクトにまとめ,調剤学の概念として,医療コミュニケーションやNBM,POSに基づく薬歴管理、チーム医療などを加えた新世代の調剤学の教科書である.

序文

近年,わが国では超高齢化社会への移行による疾病構造の変化,生命科学領域の急速な発展に伴う医療の高度化,国民の「知る権利」の高まり等に起因する医療ニーズの多様化など医療を取り巻く環境は著しく変化している.この中で,医療従事者である薬剤師に対しても「医薬品適正使用」,「薬物治療最適化」を目的として,従来の医薬品という「モノ」だけではなく,患者を中心とした「ヒト」を通じた医療貢献が強く求められている.医療環境の大きな変化に伴い,医療人として質の高い薬剤師の養成を目指した薬学教育 6 年制がスタートした.薬学教育 6 年制の目的を達成するために「薬学教育モデル・コアカリキュラム」が作成され,さらに,薬学教育 6 年制における薬剤師実務教育の柱である,医療参加型の長期実務実習の円滑な実施のために「実務実習モデル・コアカリキュラム」が作成された.すでに 2010 年から最初の長期実務実習が開始されている.
 この流れの中,薬学教育における「調剤学」の位置づけも大きく変わりつつある.薬学 4 年制教育時の「調剤学」は講義中心で学問としての「調剤」に重きが置かれていた.したがって,当時,企画・作成された「調剤学」の教科書は,薬剤師の生涯学習にも耐えうる詳細な解説が特色で,内容的にも非常に充実した本が多い.一方,6 年制による薬学教育において「調剤学」は主に実務教育の領域に分類され,講義科目として独立した講座を持たない大学もある.その場合「調剤学」に含まれる講義内容の多くは臨床薬剤学,医療薬学などの講義科目のカリキュラム中に含まれ,従来型の網羅的な教科書では内容が十分に消化しきれないケースも生じている.さらに現在の「調剤学」は「実務実習事前学習」領域の講義内容も多く含むため,より実務的で実践的な内容も求められている.これを補うため,調剤技術等に特化した副読本などが併用されることが多い.しかし,これらの副読本は「調剤学」としての学術的な解説にやや乏しく,調剤に付随した薬剤業務の解説の比重が高いこともあり,これのみで単独の「調剤学」の教科書とするにはやや不満の残る内容であった.そこで本書では従来型の教科書および副読本,両書の特色を併せ持ち,学術的かつ,より実務的な視点から調剤学のエッセンスを抽出した教科書を目指した.さらに,医療コミュニケーションあるいは NBM(Narrative-Based Medicine),POS(Problem Oriented System)に基づく薬歴簿や薬歴管理など新たな調剤学的概念を多く盛り込んだ新世代の調剤学の教科書,言い換えれば「臨床調剤学」のテキストとして企画した.加えて,本書は,実務実習コアカリキュラムに準拠するものの,カリキュラムの順序には必ずしもとらわれず,実際の調剤業務の流れに沿うように系統的に解説することを心がけた.加えて,本書の内容は 2011年 3 月の「日本薬局方第 16 改正」および厚生労働省による「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書(2010)」への迅速な対応を行った.
 最後に,本書の出版にあたり企画から編集に至るまで,ご尽力いただいた南山堂・古川晶彦,星 朋両氏をはじめ編集部諸氏に深謝します.

2011年9月
編者を代表して
一川暢宏

目次

第1章 調剤を行う前に
1.調剤と薬剤師
2.調剤とは
3.医薬品
4.医療人としての薬剤師の役割
5.医薬分業
6.調剤の概念と臨床調剤学
7.調剤と法令
8.調剤とバリデーション
9.医療施設
10.医療関連制度

第2章 調剤の実際
1.処方せんと処方鑑査
2.処方鑑査に必要な薬剤師スキル
Ⅰ.医療用医薬品添付文書の見方
Ⅱ.医薬品情報の見つけ方
Ⅲ.診療ガイドラインの有効利用
Ⅳ.臨床薬理学の基礎
Ⅴ.臨床薬物動態学の基礎
Ⅵ.治療薬物モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring;TDM)
Ⅶ.薬物相互作用

3.疑義照会
4.薬剤の調
Ⅰ.内用剤の調剤
Ⅱ.外用剤の調剤
Ⅲ.注射剤の調剤
Ⅳ.抗がん剤の調剤
Ⅴ.麻薬等の調剤
5.調剤薬の鑑査
Ⅰ.調剤薬鑑査時の基本的な注意点
Ⅱ.調剤鑑査の手順
Ⅲ.自動鑑査システム
6.薬剤の交付・服薬指導
Ⅰ.薬剤の交付手順と必要なコミュニケーションスキル
Ⅱ.薬剤交付時の注意事項
Ⅲ.患者からの情報収集と情報分析
Ⅳ.患者への情報提供
Ⅴ.服薬支援とプレアボイド
7.調剤録と薬歴管理
Ⅰ.調剤録の記入
Ⅱ.医療記録としての薬歴
Ⅲ.SOAP形式による薬歴管理(薬局)
Ⅳ.SOAP形式による薬歴管理(病院
8.特別な配慮を要する医薬品の管理
Ⅰ.血液製剤
Ⅱ.生物学的製剤
Ⅲ.放射性医薬品
Ⅳ.製剤化の基礎

第3章 医療安全の確保とこれからの調剤
1.調剤過誤と防止対策
Ⅰ.調剤過誤・調剤事故
Ⅱ.調剤過誤に起因する医療事故の分析とその防止法
Ⅲ.調剤過誤の防止法
Ⅳ.調剤過誤,調剤事故発生時の対処
2.医療安全確保のための医療制度改革
3.これからの調剤業務
Ⅰ.薬剤師によるフィジカルアセスメント
Ⅱ.在宅療養支援と地域におけるチーム医療
Ⅲ.チーム医療と多職種連携

付録
索引