書籍カテゴリー:臨床薬学|癌・腫瘍学

スペシャル・ポピュレーションへの抗がん薬用量調節ハンドブック
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スペシャル・ポピュレーションへの
抗がん薬用量調節ハンドブック

1版

  • 慶應義塾大学医学部 教授 谷川原 祐介 監修
  • 慶應義塾大学医学部 講師 今村 知世 著

定価:3,240円(本体3,000円+税8%)

  • B6判 203頁
  • 2010年4月 発行
  • ISBN978-4-525-77451-6

概要

肝機能低下もしくは腎機能低下のあるがん患者および高齢のがん患者に対する抗がん薬投与についての指針を紹介.米国の添付文書や論文を参考に,肝・腎機能などの排泄機能が低下した患者のがん化学療法における具体的な減量指針を示したハンドブック.持ち運びやすく,すぐに臨床現場で使える一冊.

序文

米国National Institutes of Health(NIH:国立衛生研究所)の機関の1つであるNational Cancer Institute(NCI:国立がん研究所)に留学中,週に1回,約2時間の「Clinical Center Course in Principles of Clinical Pharmacology」を受講した.8ヵ月間のコースの中でFood and Drug Administration(FDA:食品医薬品局)による製薬企業向けの医薬品開発に関する指針「Guidance for Industry」が参考資料としてたびたび紹介され,米国では治療域の狭い新規薬剤の開発時には腎機能および肝機能低下患者を対象としたPK試験を実施することが推奨され,その結果に基づいた用量調節の指標が添付文書に記載されていることを知った.一方,NCIの研究助成金による医師または研究者主導のがん臨床試験をサポートしている部門Cancer Therapy Evaluation Program(CTEP)で3ヵ月間の研修を受ける機会に恵まれ,NCIにはOrgan Dysfunction Working Groupがあり,腎機能および肝機能低下患者を対象とした既承認抗がん薬の第Ⅰ相試験が実施されていることを知った.
つまり米国ではスペシャル・ポピュレーションへの至適用量の設定が臨床試験によって積極的になされ,その結果が臨床で応用されている.このことを知った時の衝撃は大きく,米国の情報をぜひ日本でも活用したいと考えた.帰国前に,NIHキャンパスと道を挟んだ向いにあるNational Naval Medical Center(国立海軍医療センター)のOncology/Hematology部門を見学した際,Board Certified Oncology Pharmacist(BCOP:がん専門薬剤師)に「帰国後はスペシャル・ポピュレーションへの抗がん薬の用量調節に関する本を書く予定だ」と話したところ非常に興味を持ってくれ,日常業務の中でどのようにスペシャル・ポピュレーションに対応しているかを説明してくれた後,彼らが収集してきた論文を「本の参考にして欲しい」と言って自ら快く提供してくれた.したがって本書には,米国で一般的に利用されている基本情報を盛り込むことができたと思っている.
しかしながら,日本における医薬品情報の基本は,薬事法に基づき作成され法的根拠のある「医療用医薬品添付文書」である.そこで,各抗がん薬の用量調節に関する情報を提示した第Ⅰ部では,まず日本の医薬品添付文書に記載されている「肝障害患者」「腎障害患者」「高齢患者」への投与指針を示し,続く「用量調節に関する情報」では,その情報源を日本の医薬品添付文書は「★★★」,米国もしくは英国の添付文書は「★★」,論文や書籍は「★」と区別するとともに掲載に優先順位をつけ,日本の医薬品添付文書から情報が入手できる場合は,原則として,それ以外の情報源による指針は掲載していない.したがって読者の方々には,このような意図をご理解いただいた上で,個々の患者に対する掲載情報の適用を検討いただければと思う.なお,代謝経路と尿中排泄率のデータは,医療現場での(特に薬剤師には)身近な情報源であるインタビューフォームより入手したため,製薬企業間の記載レベルの差異により表記内容が統一できていないが,逆にこのことが利用者においてインタビューフォーム記載の問題点を意識するきっかけになればと思っている.
最後に,今回の私の企画に対し快くご賛同いただき,出版にあたり協力を惜しまれなかった南山堂の古川晶彦氏と村井恵美氏に心から感謝する.

目次

I スペシャル・ポピュレーションに対する抗がん薬投与の基礎知識

■スペシャル・ポピュレーションとは
■米国におけるスペシャル・ポピュレーションでの治験と添付文書記載
■腎機能低下患者への薬物投与
   腎機能低下時におけるPK変化
   用量調節のための腎機能指標
■肝機能低下患者への薬物投与
   肝機能低下時におけるPK変化
   用量調節のための肝機能指標
■腎機能低下患者および肝機能低下患者を対象とした抗がん薬の第I相試験
■高齢者への薬物投与
   高齢者におけるPKとPDの変化
   高齢者への抗がん薬投与

I I スペシャル・ポピュレーションに対する抗がん薬の用量調節に関する情報

■アルキル化薬
 イホスファミド
 シクロホスファミド
 ダカルバジン
 テモゾロミド
 ニムスチン
 ブスルファン
 プロカルバジン
 メルファラン
 ラニムスチン
■代謝拮抗薬
 L-アスパラギナーゼ
 エノシタビン
 カペシタビン
 カルモフール
 クラドリビン
 ゲムシタビン
 シタラビン
 シタラビン オクホスファート
 テガフール
 テガフール・ウラシル
 テガフール・ギメラシル・オテラシル
 ドキシフルリジン
 ネララビン
 ヒドロキシカルバミド
 フルオロウラシル
 フルダラビン
 ペメトレキセド
 ペントスタチン
 メトトレキサート
 メルカプトプリン
■抗腫瘍性抗生物質
 アクチノマイシンD
 アクラルビシン
 アムルビシン
 イダルビシン
 エピルビシン
 ダウノルビシン
 ドキソルビシン
 ドキソルビシン・リポソーム
 ピラルビシン
 ブレオマイシン
 ペプロマイシン
 マイトマイシンC
 ミトキサントロン
■微小管阻害薬
 ドセタキセル
 パクリタキセル
 ビノレルビン
 ビンクリスチン
 ビンデシン
 ビンブラスチン
■白金製剤
 オキサリプラチン
 カルボプラチン
 シスプラチン(静脈内投与)
 シスプラチン(肝動脈内投与)
 ネダプラチン
■トポイソメラーゼ阻害薬
 イリノテカン
 エトポシド
 ソブゾキサン
 ノギテカン(トポテカン)
■ホルモン療法薬
 アナストロゾール
 エキセメスタン
 エストラムスチンリン酸エステル
 ゴセレリン
 タモキシフェン
 トレミフェン
 ビカルタミド
 フルタミド
 メドロキシプロゲ Xテロン
 メピチオスタン
 リュープロレリン
 レトロゾール
■ 分子標的治療薬
 イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン
 イマチニブ
 エルロチニブ
 ゲフィチニブ
 ゲムツズマブオゾガマイシン
 サリドマイド
 スニチニブ
 セツキシマブ
 ソラフェニブ
 ダサチニブ
 タミバロテン
 トラスツズマブ
 トレチノイン
 ニロチニブ
 ベバシズマブ
 ボルテゾミブ
 ラパチニブ
 リツキシマブ
■ その他
 三酸化ヒ素(亜ヒ酸)
 ゾレドロン酸
 デキサメタゾン
 プレドニゾロン