書籍カテゴリー:臨床薬学

スキルアップのための糖尿病の服薬指導
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スキルアップシリーズ
スキルアップのための糖尿病の服薬指導

第2版

  • 北里大学薬学部教授/北里大学北里研究所病院薬剤部長 厚田幸一郎 編

定価:2,592円(本体2,400円+税8%)

  • A5判 267頁
  • 2012年7月 発行
  • ISBN978-4-525-77722-7

概要

糖尿病は薬剤師にとって服薬指導やチーム医療,薬薬連携の上からも知っておくべき重要な疾患の1つである.本書では糖尿病の基礎知識から日常業務に必要な服薬指導のポイントまでを,一般的なケーススタディをとり上げ「入院編」〜「薬局編」へとわかり易く解説.患者さんへの心理的アプローチにも触れ,用語解説やQ&Aも充実した今すぐ役に立つ1冊.

序文

 2005年3月に初版を発刊して以来,早くも7年の歳月が経過した.この間,糖尿病の患者数は年々増加の一途をたどり,重症合併症も増加している.これに対応して糖尿病治療は多様化し,とくに,糖尿病の薬物療法はインクレチン関連薬の登場により大きな変革の時期を迎え,薬物療法の選択肢は広がり,適正使用の観点からみると薬剤選択の複雑さは増してきている.各種薬剤の有する作用特性と患者の病態を考慮した上での科学的根拠に基づいた薬剤選択が実施されるべきであり,薬剤師は適正で安全な薬物治療を支援するためにもこれらの薬剤情報を把握した上で,薬剤選択のチェックに加えて副作用および使用上の注意点などに着目した薬学的管理を実践すべきである.さらに,薬物療法のみならず,食事,運動,そして生活習慣全般に至るまで幅広い療養指導の実践・向上に努めることが肝要である.
 一方,医療法の規定に基づき,各都道府県に対し,5疾病(糖尿病,がん,脳卒中,急性心筋梗塞,精神疾患),5事業(救急,災害,へき地,周産期,小児救急を含む小児医療)および在宅医療にかかわる地域医療計画を策定することとなった.その中で医療連携が重要視されており,この計画の一環として,それぞれの地域で糖尿病の地域連携パスが導入または計画されている.この基準に沿って,糖尿病専門医と病院または診療所の医師が連携をして,糖尿病療養指導士,看護師,管理栄養士,薬剤師などの医療スタッフが協力しながら糖尿病患者を診ていく体制づくりが望まれており,地域における糖尿病診療の連携体制を構築することが喫緊の課題となっている.
 本書は初版より「専門性」と「連携」をキーワードに,糖尿病療養指導に携わる薬剤師のスキルアップを目指して編集されている.まず,糖尿病の基本としてその病態,診断,治療などを解説し,さらに,「ケーススタディ」として服薬指導の実践例を取り上げ,病院薬剤師による入院患者への薬学的管理と薬局薬剤師による退院後のフォローを薬薬連携の観点から解説している.
 糖尿病療養指導において薬剤師の活躍が望まれるなか,本書が,2010年の新しい糖尿病診断基準や2012年4月からのHbA1c国際標準化,さらに,変化しつつある糖尿病薬物療法の理解に役立ち,糖尿病患者の支援により一層活用されることを願ってやまない.

2012年5月
北里大学薬学部/北里大学北里研究所病院薬剤部
厚田 幸一郎

目次

1.糖尿病服薬指導と薬剤師
  1.増え続ける糖尿病患者
  2.糖尿病治療の基本は患者教育
  3.患者のセルフケア行動を支援する
  4.薬剤師の役割
  5.エンパワーメントを意識した服薬指導

2.糖尿病の基礎知識
  1.糖尿病とは?
    ◆三大合併症
     ・網膜症
     ・腎 症
     ・神経障害
    ◆動脈硬化症
     ・脳血管障害
     ・冠動脈疾患
     ・閉塞性動脈硬化症
    ◆その他
  2.糖尿病の診断
  3.治療の進め方
  4.患者教育
    ◆初診時
    ◆再診時
    ◆薬物療法がある時の教育ポイント
     ・シックデイの対処法
     ・低血糖の対処法
  5.食事療法
    ◆カロリーの適正化
    ◆栄養バランスの適正化
    ◆食事タイミングの適正化
  6.運動療法
    ◆運動の種類
    ◆運動の強度
    ◆運動の時間
    ◆運動の頻度
    ◆運動についての注意点

3.糖尿病の薬物療法
  1.糖尿病用薬剤の種類
  2.経口血糖降下薬
   ◆インスリン抵抗性改善系
    ・ビグアナイド(BG)薬
    ・チアゾリジン(TZD)薬 
   ◆インスリン分泌促進系
    ・スルホニル尿素(SU)薬
    ・DPP-4阻害(DPP-4i)薬
   ◆インスリン分泌促進系かつ食後高血糖改善系   
    ・速効型インスリン分泌促進(グリニド)薬
   ◆食後高血糖改善系
    ・α-グルコシダーゼ阻害(α-GI)薬
   ◆経口血糖降下薬の使い分け
  3.注射治療薬
   ◆インスリン
    ・インスリン製剤の開発
    ・インスリン製剤の種類
    ・インスリン治療の実際
    ・インスリン自己注射
    ・注射部位と吸収速度
    ・インスリンの混注
    ・インスリンの保管
    ・インスリン療法の注意点
   ◆GLP-1受容体作動薬
  4.合併症治療薬
   ◆脂質異常症治療薬
    ・HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)
    ・陰イオン交換樹脂
    ・エゼチミブ
    ・フィブラート系薬剤
   ◆高血圧症治療薬
    ・アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
    ・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
    ・その他
   ◆糖尿病網膜症
   ◆糖尿病腎症
    ・血糖コントロール
    ・食事療法
    ・高血圧症の治療
    ・透 析
   ◆糖尿病神経障害
    ・末梢神経障害
    ・自律神経障害

4.教育入院クリニカルパス
  1.教育入院とは?
  2.教育入院の実際
   ◆教育入院における病棟薬剤師の役割
   ◆退院時服薬指導-サマリーの作成と薬薬連携-
  3.糖尿病教室における薬剤師の役割
   ◆教育内容の抽出
   ◆教育内容・テキストの作成
   ◆院内糖尿病チームでの打ち合わせ
   ◆糖尿病教室に向けて
   ◆糖尿病教室の評価
   ◆教育内容の改訂

糖尿病関連用語

5.ケーススタディ-1(2型糖尿病患者)
   [入院編]
    ・入院患者への薬剤師の役割
    ・薬剤管理指導業務の実際
    ・退院時服薬指導
   [薬局編]
    ・来局までの経緯
    ・患者インタビュー
    ・服薬指導
    ・薬歴作成

6.ケーススタディ-2(2型糖尿病患者:インスリン導入)
   [入院編]
    ・インスリン導入説明
    ・インスリン手技指導
    ・血糖自己測定(SMBG)
    ・退院にあたって
   [薬局編]
    ・来局までの経緯
    ・患者インタビュー
    ・服薬指導
    ・薬歴作成

7.ケーススタディ-3(1型糖尿病患者:インスリン導入)
   [入院編]
    ・教育入院時のインスリン導入(初期指導)
    ・インスリン導入(初期指導)の実際
    ・退院にあたって
   [薬局編]
    ・来局までの経緯
    ・患者インタビュー
    ・服薬指導
    ・薬歴作成

8.糖尿病患者への心理的アプローチ
  1.糖尿病患者に相対する医療者の心として必要なもの
  2.糖尿病患者の心理を理解する
   ◆糖尿病と告知された時期-対象喪失-
   ◆病名告知後の心理状態-心の防衛機制-
   ◆病気受容に至るまでの心理段階
   ◆患者の心理状態の評価
  3.セルフコントロールに有効な心理的アプローチ
   ◆セルフコントロールに影響を与える要因
   ◆行動の変化ステージ
   ◆具体的な目標の設定の仕方
   ◆エンパワーメントについて
   ◆モチベーショナルインタビュー(動機づけ面接法)
  4.現場で注意すべき服薬指導のポイント
  5.最後に

9.糖尿病療養指導士制度と薬剤師
  1.糖尿病療養指導士とは
  2.日本糖尿病療養指導士制度の概要
   ◆受験資格と認定試験および認定更新
   ◆日本糖尿病療養指導士の現状
   ◆糖尿病療養指導士としての薬剤師の役割

Q&A
  経口血糖降下薬(Q1〜Q8)
  インスリン(Q9〜Q16)
  低血糖(Q17〜Q20)
  全般(Q21〜Q32)
  糖尿病療養指導士(Q33〜Q34)

参考文献