書籍カテゴリー:基礎薬学

図解 薬剤学
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みてわかる薬学シリーズ
図解 薬剤学

第5版

  • 城西大学教授・学長 森本雍憲 著
  • 他15名 著

定価:8,100円(本体7,500円+税8%)

  • B5判 631頁
  • 2012年8月 発行
  • ISBN978-4-525-77835-4

概要

十六改正日本薬局方に対応!
「新しい図解薬剤学」を改題しシリーズ化!
豊富な図表とわかりやすい文章が1対1対応しており,第1編「医薬品の物性と物理薬剤学」では基礎的原理を記述し, 第2編「医薬品の体内動態と薬物動態学」では生物薬剤学に関連する項目を中心に生体内における薬物動態が正しく学習できるよう記述した.

序文

 今世紀初めに発表されたヒトゲノムの完全解読は,生命科学に関係するあらゆる部門に大きな変革を及ぼしている.薬剤学領域においても,すでに薬の吸収,分布,排泄に関与する生体膜透過を介在する種々トランスポーターが発表され,それらの構造や役割が明らかになりつつある.また,患者間における代謝変動の原因の一つが代謝酵素のSNPs(一塩基多型)によって説明できるようになった.一方,開発される医薬品にもパラダイムシフトが引き起こされている.すなわち,有機合成によって生まれた低分子化合物から,ペプチドやヌクレオチドなどの生理活性物質が医薬品シードとして注目を集めるようになった.また,情報科学や高分子化学の進歩から新しいインテリジェント材料が生まれ,これらを利用した医薬品製剤が出現するようになった.これらの進歩と変革は,TDM(治療薬物モニタリング)やDDS(ドラッグデリバリーシステム)研究の方向性にも影響を及ぼし始めている.
 科学の進歩と並行して,わが国の薬科大学・薬学部では教育面でもここ数年間で大きな変革がみられた.薬科大学・薬学部の多くが,薬剤師養成を目指す6年制と薬科学技術者を目指す4年制を併設し,特に6年制では履修すべき教科と内容を示した薬学教育モデル・コアカリキュラムが発表されるに至った.また,第十六改正日本薬局方では,本書とも密接に関係する製剤総則が大幅に変更となり,それに対応するよう本書を改訂する必要があった.
 そこで,薬学部・薬科大学で学ぶ学生がこのような薬学の現状と進歩を理解し,将来薬剤師として,また薬科学技術者として活躍するであろうことを祈念し,本書を全面改訂した.また,「みてわかる薬学」シリーズの立ち上げに伴い,今回の改訂から「みてわかる薬学 図解薬剤学」として改題した.
 本書においては,最近の新しい領域から得られた研究結果を数多く取り入れたが,モデル・コアカリキュラムを念頭におき,薬剤学の内容をできるだけ系統的に理解できるよう,第1編に物理薬剤学と称されている項目を配して基礎的原理を記し,それらを確実に理解することで,第2編の生物薬剤学に関係する項目を配して,生体内における薬物動態が正しく認識できるように編集した.さらに医療薬学に関連する項目も第2編に組み入れ,医療の現場における薬剤学の応用について記述した.また従来と同様に,可能なかぎり本文を左ページにし,その内容に対応する具体的な図表を右ページに配置するようにして,理解の助けとなるようにした.そして,モデル・コアカリキュラムとの対応表と各章末のまとめを用意することで,学生の自学自習を推し進めるべく配慮した.紙面の都合もあり,詳細な説明の不足している部分があるが,より高度な内容について知りたいと希望する学生諸君は,巻末に示した参考図書および本文中に記してある引用文献にあたることを勧める次第である.このような趣旨で本書を改訂したが,不備な点や思わぬ誤りについては,読者のご批判がいただければ幸いである.
 本書の刊行を推進して下さり,いろいろ御高配をいただいた南山堂 鈴木 肇 代表取締役,大城梨絵子 氏を始め,編集部の皆様に厚くお礼申し上げる.


2012年8月
著者一同

目次

◆薬学教育モデル・コアカリキュラム対応表

第1編
医薬品の物性と物理薬剤学

1章 薬剤学総論
A 薬剤学と薬学教育モデル・コアカリキュラム
B 医薬品
C 日本薬局方,製剤総則の剤形と定義

2章 溶解現象と溶液
A 溶液と溶解
 1. 溶 液
 2. 溶液の分類
 3. 溶液の濃度
 4. 分子間に働く力と溶解現象
B 溶解度
 1. 液体の溶解度
 2. 気体の溶解度
 3. 固体の溶解度
C 溶解速度
 1. 溶解速度式
 2. 溶解速度に影響する因子
D 膜透過速度
 1. 膜透過の機構
 2. 積層膜の透過
E 溶解補助
 1. 溶解補助の機構
 2. 化学修飾による溶解性の調節
F 溶液の性質
 1. 溶液の束一性
 2. 等張溶液と等張化
 3. 溶液のpH

3章 薬物の安定性
A 反応速度論
 1. 反応速度の概念
 2. 反応速度の微分式による表現と反応次数
 3. 1次反応
4. 0次反応
 5. 2次反応
 6. 反応次数の決定法
 7. 擬0次反応と擬1次反応
 8. 複合反応
B 医薬品の安定性に影響する因子
 1. 温度の影響
 2. 触媒反応
 3. イオン強度,誘電率の影響
C 医薬品の安定化
 1. 最適条件の選択
 2. 分解促進因子の除去,削減
 3. 物理化学的性質の修飾

4章 粒子と粉体
Ⅰ 粒子の性質
A 粒子径の測定
 1. 幾何学的粒子径
 2. 有効粒子径(相当径)
B 平均粒子径と粒度分布
 1. 粒度分布曲線とモード径
 2. 粒度累積曲線とメディアン径
 3. 平均径
 4. 個数基準分布と質量基準分布
Ⅱ 粉体の性質
A 充てん性
 1. 体 積
 2. 密 度
 3. 粒子径と充てん性
B 粉体の付着・凝集性と流動性
 1. 粉体の付着性
 2. 粉体の流動性
C 粉体のぬれ
 1. 直接法(液滴法)
 2. 毛管上昇法
D 粉体の吸湿性
E 共融混合物
F 粉体の混合性

5章 分散系
A 界面の性質
 1. 表面張力・界面張力
 2. 表面張力の測定
 3. 吸着と表面張力
 4. 液-液界面
 5. ぬれの現象
B 界面活性剤の構造と分類
 1. 分 類
 2. イオン性界面活性剤
 3. 非イオン性界面活性剤
 4. 天然に存在する界面活性剤
C 界面活性剤溶液の性質と作用
 1. 界面活性剤溶液の性質
 2. HLB
 3. 界面活性剤の溶解性
 4. 可溶化
D 代表的な分散系
 1. 分散系の分類
 2. コロイド分散系
 3. 乳 剤
 4. 懸濁剤

6章 レオロジー
A 弾性および粘性
 1. 弾 性
 2. 粘 性(ニュートン流動)
B 粘弾性
 1. マックスウェルモデル
 2. フォークト(ケルビン)モデル
C 非ニュートン流動
 1. 塑性流動(ビンガム流動)
 2. 準塑性流動
 3. 準粘性流動
 4. ダイラタント流動
D チキソトロピー
E レオロジーの測定
 1. 粘度測定法
 2. 粘稠度の測定法
F 製剤のレオロジー
 1. 懸濁剤
 2. 軟膏剤,クリーム剤
G 製剤用高分子
 1. 高分子の構造と性質
 2. 製剤用高分子
 3. ドラッグデリバリー用高分子

7章 ドラッグデリバリーシステムと新しい製剤
A ドラッグデリバリーシステムの分類
B 放出制御を目的とした製剤
 1. 経皮吸収型製剤
 2. 植え込み注射剤・持続性注射剤
 3. 経口製剤
 4. その他
C 標的指向を目的とした製剤
 1. 注射以外の標的化
 2. 注射による標的化および分布の制御
D 薬物の化学修飾
 1. 安定性の改善を目的とした修飾
 2. 溶解性の改善を目的とした修飾
 3. 吸収の改善および血中滞留性(持続性)の改善
 4. 標的組織での活性化を目的とした修飾


第2編 医薬品の体内動態と薬物動態学

1章 生体膜透過
A 生体膜の構造
B 薬物の生体膜透過機構
 1. 受動拡散(単純拡散)
 2. 特殊輸送機構

2章 薬物の吸収
A 薬物の投与部位
B 薬物の消化管吸収
 1. 消化管の構造と機能
 2. 薬物の消化管吸収機構
3. 消化管吸収に影響を及ぼす薬物の物理化学的因子
 4. 消化管吸収に影響を及ぼす製剤学的因子
 5. 消化管吸収に影響を及ぼす生体側の因子
 6. 経口的に投与される薬物
C 消化管以外からの薬物吸収
 1. 口腔粘膜からの吸収
 2. 直腸からの吸収
 3. 鼻粘膜からの吸収
 4. 皮膚からの吸収
 5. 肺からの吸収
 6. 注射部位からの吸収

3章 薬物の体内分布
A 薬物の分布に影響を及ぼす要因
 1. 毛細血管の透過性
 2. 血流量
 3. 血漿タンパクとの結合
 4. 組織内での結合
B 見かけの分布容積
C 薬物の脳への分布
 1. 血液-脳関門
 2. 血液-脳脊髄液関門
D 薬物の胎児への分布

4章 薬物の代謝
A 薬物代謝が薬効に及ぼす影響
 1. 薬物分子の体内での化学的変化
 2. 初回通過効果
 3. 腸肝循環
B 薬物代謝反応の部位
 1. 肝臓の構造と機能
 2. 薬物の肝臓内動態
 3. 肝ミクロソーム
 4. 肝臓以外における代謝
C 薬物代謝酵素
 1. シトクロムP450
 2. FAD含有モノオキシゲナーゼ
D 薬物代謝能の評価
 1. 薬物代謝酵素活性
 2. 肝クリアランス
 3. 肝固有クリアランス
E 薬物代謝の様式
 1. 第Ⅰ相反応
 2. 第Ⅱ相反応
F 薬物代謝に影響を及ぼす因子
 1. 動物種
 2. 個人差(遺伝的因子)
 3. 性 差
 4. 年 齢
 5. 疾 病
 6. 治 療(投与経路,併用薬)
 7. 食 事
 8. 嗜好品(アルコール,喫煙)
 9. 環 境
G 薬物代謝酵素の誘導と阻害
 1. 酵素誘導
 2. 酵素阻害

5章 薬物の排泄
A 腎排泄
 1. 腎臓の構造と機能
 2. 尿の生成と薬物の尿中排泄機構
 3. 腎クリアランス
B 胆汁中排泄
 1. 肝臓の構造と胆汁の生成
 2. 薬物の肝移行過程
 3. 薬物の胆汁中への移行
 4. 胆汁排泄を支配する要因
 5. 腸肝循環
C 尿・胆汁以外からの排泄
 1. 消化管内排泄
 2. 唾液中排泄
 3. 乳汁中排泄
 4. 呼気中排泄

6章 薬物動態学
A コンパートメントモデル
 1. 1-コンパートメントモデル
 2. 2-コンパートメントモデルとマルチコンパートメントモデル
 3. 線形および非線形コンパートメントモデル
B 線形1-コンパートメントモデル
ⅰ 血管内急速投与の場合(吸収過程のない場合)
 1. 体内薬物量の時間的推移
 2. 見かけの分布容積
 3. 血中薬物濃度の解析法
 4. 生体内半減期と消失速度定数の関係
 5. 血中濃度時間曲線下面積
 6. 全身クリアランス
 7. 薬物の尿中排泄速度による解析法
 8. シグマ・マイナス・プロットによる解析法
ⅱ 血管内連続注入の場合
 1. 血管内注入継続時の血中薬物濃度
 2. 定常状態到達後に血管内注入を停止する場合の血中薬物濃度
 3. 定常状態到達以前に血管内注入を停止する場合の血中薬物濃度
 4. 血管内注入と急速静注の併用
ⅲ 1次吸収過程がある場合
 1. 血中薬物濃度の解析法
 2. kaとkelの関係が特殊な場合
 3. 見かけの分布容積と血中濃度時間曲線下面積
 4. 最高血中濃度,および最高血中濃度到達時間
 5. 尿中排泄データの解析法
 6. 吸収速度算出法
C 線形2-コンパートメントモデル(血管内急速投与の場合)
 1. 血中薬物濃度の解析法
 2. 分布容積
 3. AUCおよび全身クリアランス
 4. 半減期
 5. 線形コンパートメントモデルのまとめ
D くり返し投与(連続投与)
 1. くり返し血管内投与の場合
 2. くり返し経口投与の場合
E クリアランスの概念と生理学的薬物動態学
 1. 1つの臓器の生理学的モデル
2. 組織クリアランス
 3. 固有クリアランス
 4. 全身クリアランス
 5. クリアランスからみた薬物の特徴づけ
 6. 分布容積からみた薬物の特徴づけ
 7. バイオアベイラビリティ
 8. 初回通過効果
 9. 生理学的モデル(インテグレイテッドモデル)
 10. ハイブリッドモデル
F 非線形速度論
 1. 固有クリアランス(消失過程)に非線形のある場合
 2. タンパク結合(分布)に非線形性がある場合
G モーメント解析法
 1. モーメントの定義
 2. モーメントの利用
 3. コンパートメントモデル解析とモーメント解析の対応
 4. 製剤からの溶出および吸収過程の解析

7章 薬物動態の変動要因
A 吸収過程における影響因子
 1. 剤 形
 2. pHと脂溶性
 3. 能動輸送系
 4. 併用薬物
 5. 飲食物と健康食品
 6. P-糖タンパク質
B 分布過程における影響因子
 1. 分 布
 2. タンパク結合
 3. 薬物分布制御機能
C 代謝過程における影響因子
 1. 薬物代謝酵素
 2. 酵素誘導と酵素阻害
 3. P450分子種の遺伝的代謝酵素欠損
D 腎排泄過程における影響因子
 1. タンパク結合
 2. 尿細管再吸収
 3. 尿細管分泌
E 薬物相互作用を応用した医薬品
F 薬物動態に及ぼす加齢の影響
 1. 吸収に及ぼす加齢の影響
 2. 分布に及ぼす加齢の影響
 3. 代謝および腎排泄に及ぼす加齢の影響
G 薬物の体内動態に及ぼす病態の影響
 1. 肝疾患
 2. 腎疾患

8章 薬力学とトキシコキネティクス
A 薬理効果の速度論と薬力学
 1. 薬 効
 2. 薬効と血中濃度の関係
 3. 薬力学モデル
B 薬力学的相互作用
 1. 糖尿病治療薬
 2. β2受容体刺激薬
 3. β受容体遮断薬
 4. 非ステロイド性抗炎症薬
 5. アルコール
 6. アミノ配糖体系抗生物質
 7. モノアミンオキシダーゼ阻害薬
C トキシコキネティクス

9章 医薬品のバイオアベイラビリティと有効性評価・治療薬物モニタリング
A バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)
 1. バイオアベイラビリティとは
 2. 量的バイオアベイラビリティ
 3. 速度的バイオアベイラビリティ
 4. バイオアベイラビリティと生理学的モデルとの対応
B 生物学的同等性
 1. 生物学的同等性とは
 2. 生物学的同等性が問題となった過去の事例
 3. 製剤開発と同等性
C 初回通過効果
D バイオアベイラビリティに影響を与える因子
E 治療薬物モニタリング
 1. TDMを必要とする医薬品
 2. 血中薬物濃度測定法
 3. 血中薬物濃度の解析

参考図書

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