カテゴリー: 基礎薬学
くすりのかたち
もし薬剤師が薬の化学構造式をもう一度勉強したら
1版
株式会社ヤナセ薬局 医薬事業部 教育チーフマネージャー 兼
赤池店薬局長 浅井考介 著
有限会社アトリア 薬局部門 学術マネージャー 兼
アトリアふじ薬局薬局長 柴田奈央 著
定価
2,200円(本体 2,000円 +税10%)
- B5判 151頁
- 2013年5月 発行
- ISBN 978-4-525-78271-9
本書は,化学構造式の「薬の情報源」としての有用性や,薬の本質的な事項でありながら添付文書には記載されていない,いわば盲点になっている部分などを,化学構造式を活用して解説.さらに,薬局の日常業務で化学構造式をどう活かせるかといった実例をあげ,それに対応するイラストや図を用いてわかりやすく説明している.
- 序文
- 目次
序文
本書を手にした皆さんは「いったい何について書かれている本だろう?」と思うことでしょう.本書はズバリ“薬の化学構造式について書かれた本”です.しかし“化学構造式”と聞いて,「なぜ今さら化学構造式?」と疑問をもつのではないでしょうか.そこでまず,著者らが本書を執筆するに至った動機についてお話しします.
近年,医療の世界でも情報のIT化が急速に進み,薬局に来局する患者さんの中にも,自身が服用・使用している薬に関する情報を,インターネットなどを利用して添付文書やインタビューフォーム,あるいは薬の情報サイトから入手し,薬についての豊富な知識を持っている方が増えました.薬剤師の中には,服薬説明の際に患者さんから「もう知っているから説明はいらない」と言われた苦い経験を持つ方も多いと思います.このような患者さんの多くは,薬剤師から受ける服薬説明の内容や質問に対する薬剤師の回答が,自身にとっては「新しい情報ではない」と感じているのではないかと思います.今後さらにIT化が進んでいく現状では,同様の患者さんがさらに増加することが予想できます.そこで薬局の現場では,このような状況に対して“よりきめ細やかな接遇を心がける”など,さまざまな提案がされています.しかし前述のような患者さんは,より新しい情報を薬剤師から得ることを期待しているのですから,もっとも直接的かつ効果的な対策は,薬剤師が今よりも1ランク,2ランク「上の知識」を身につけることであるはずです.
しかし,われわれ薬剤師も,薬の知識を添付文書やインタビューフォームあるいは市販されている医療系書籍から得ることが多いのが現実です.そのどれもが患者さんも容易に入手できる情報である現代においては,「上の知識」を得ることは,現場の薬剤師にとって至難であると感じるかもしれません.
では,「上の知識」はいかにして習得するべきでしょうか? 著者らは,その問題解決の糸口,すなわち患者さんが持っている薬の知識と,われわれ薬剤師が持つべき専門的な薬の知識の差がどこにあるかということの重要な要素の一つとして,“化学構造式を読む”技術に注目しています.このような観点から“薬の化学構造式を読み解くための本”を執筆することにしました.
本書では,化学構造式の読み方や情報源としての有用性はもちろん,薬の本質的な事項でありながら添付文書には記載されていない,いわば盲点になっている部分などを,化学構造式を“読む”ことをとおして楽しくお伝えてしていきたいと思います.そして,薬剤師の皆さまがこれまでとは違った角度から薬を考え,説明できるきっかけになるために少しでもお役に立てればと考えています.
2013年春
浅井考介
柴田奈央
近年,医療の世界でも情報のIT化が急速に進み,薬局に来局する患者さんの中にも,自身が服用・使用している薬に関する情報を,インターネットなどを利用して添付文書やインタビューフォーム,あるいは薬の情報サイトから入手し,薬についての豊富な知識を持っている方が増えました.薬剤師の中には,服薬説明の際に患者さんから「もう知っているから説明はいらない」と言われた苦い経験を持つ方も多いと思います.このような患者さんの多くは,薬剤師から受ける服薬説明の内容や質問に対する薬剤師の回答が,自身にとっては「新しい情報ではない」と感じているのではないかと思います.今後さらにIT化が進んでいく現状では,同様の患者さんがさらに増加することが予想できます.そこで薬局の現場では,このような状況に対して“よりきめ細やかな接遇を心がける”など,さまざまな提案がされています.しかし前述のような患者さんは,より新しい情報を薬剤師から得ることを期待しているのですから,もっとも直接的かつ効果的な対策は,薬剤師が今よりも1ランク,2ランク「上の知識」を身につけることであるはずです.
しかし,われわれ薬剤師も,薬の知識を添付文書やインタビューフォームあるいは市販されている医療系書籍から得ることが多いのが現実です.そのどれもが患者さんも容易に入手できる情報である現代においては,「上の知識」を得ることは,現場の薬剤師にとって至難であると感じるかもしれません.
では,「上の知識」はいかにして習得するべきでしょうか? 著者らは,その問題解決の糸口,すなわち患者さんが持っている薬の知識と,われわれ薬剤師が持つべき専門的な薬の知識の差がどこにあるかということの重要な要素の一つとして,“化学構造式を読む”技術に注目しています.このような観点から“薬の化学構造式を読み解くための本”を執筆することにしました.
本書では,化学構造式の読み方や情報源としての有用性はもちろん,薬の本質的な事項でありながら添付文書には記載されていない,いわば盲点になっている部分などを,化学構造式を“読む”ことをとおして楽しくお伝えてしていきたいと思います.そして,薬剤師の皆さまがこれまでとは違った角度から薬を考え,説明できるきっかけになるために少しでもお役に立てればと考えています.
2013年春
浅井考介
柴田奈央
目次
第1章 化学構造式を“読む”準備
1 化学構造式を“読む”ことの必要性
2 化学構造式を“読む”ための基本
第2章 基本骨格を読む
1 基本骨格を薬学管理に活用してみよう!〜その1〜
2 基本骨格を薬学管理に活用してみよう!〜その2〜
3 基本骨格から作用機序を推測してみよう!〜その1〜
4 基本骨格から作用機序を推測してみよう!〜その2〜
5 基本骨格から相互作用を考えよう!
6 化学構造式からわかる薬と薬の意外な関係!?
7 類似構造から副作用を予測してみよう!
8 光線過敏症を引き起こす構造とは?
9 化学構造式を変形させて“見よう”!
10 化学構造式を切って“見よう”!
11 光学活性体とラセミ体
第3章 置換基を読む
1 置換基の大きさで作用範囲が決まる!?
2 置換基の大きさで作用時間も変わる!?
3 置換基の大きさで選択性も得られる!?
4 水素結合の数で排泄経路が変わる!?
5 水素結合が作用強度へ影響!?
6 水素結合の数で経口吸収性を変えることができる!?
第4章 部分構造を読む
1 化学構造中の“窒素”と“酸素”の役割
2 小さな怪力“フッ素”
3 “塩素”が薬剤に与える個性
4 “スルホンアミド系”薬剤を見極めよう!
5 “エステル系”プロドラッグの効果
6 生理活性物質にそっくり!?“カルボン酸”
コラム
①共通の基本骨格をもつ薬剤
②なぜ,いまだにラセミ体が多いのか?
③置換基1つ分の大きな差〜ペニシリン系とセフェム系
④構造式を読んで国家試験問題を解いてみよう!
付 録
主な官能基一覧
1 化学構造式を“読む”ことの必要性
2 化学構造式を“読む”ための基本
第2章 基本骨格を読む
1 基本骨格を薬学管理に活用してみよう!〜その1〜
2 基本骨格を薬学管理に活用してみよう!〜その2〜
3 基本骨格から作用機序を推測してみよう!〜その1〜
4 基本骨格から作用機序を推測してみよう!〜その2〜
5 基本骨格から相互作用を考えよう!
6 化学構造式からわかる薬と薬の意外な関係!?
7 類似構造から副作用を予測してみよう!
8 光線過敏症を引き起こす構造とは?
9 化学構造式を変形させて“見よう”!
10 化学構造式を切って“見よう”!
11 光学活性体とラセミ体
第3章 置換基を読む
1 置換基の大きさで作用範囲が決まる!?
2 置換基の大きさで作用時間も変わる!?
3 置換基の大きさで選択性も得られる!?
4 水素結合の数で排泄経路が変わる!?
5 水素結合が作用強度へ影響!?
6 水素結合の数で経口吸収性を変えることができる!?
第4章 部分構造を読む
1 化学構造中の“窒素”と“酸素”の役割
2 小さな怪力“フッ素”
3 “塩素”が薬剤に与える個性
4 “スルホンアミド系”薬剤を見極めよう!
5 “エステル系”プロドラッグの効果
6 生理活性物質にそっくり!?“カルボン酸”
コラム
①共通の基本骨格をもつ薬剤
②なぜ,いまだにラセミ体が多いのか?
③置換基1つ分の大きな差〜ペニシリン系とセフェム系
④構造式を読んで国家試験問題を解いてみよう!
付 録
主な官能基一覧