書籍カテゴリー:臨床薬学

処方せん鑑査と問い合わせ

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コミュニティー ファーマシー・シリーズ
まちの薬局しごと集
処方せん鑑査と問い合わせ

1版

  • 株式会社ファーコス企画研究室室長 荒井なおみ 著
  • 株式会社ファーコス企画研究室係長 舟橋智広 著

定価:2,700円(本体2,500円+税8%)

  • B5判 188頁
  • 2005年6月 発行
  • ISBN978-4-525-78601-4
  • ISBN4-525-78601-9

概要

薬物療法をより効果的に行うためには薬剤師による処方せん鑑査は必要不可欠な業務となっている.本書は保険薬局薬剤師のために,医師への的確な問い合わせを行うことを目的とした「処方せん鑑査の鉄則」を解説した入門書である.事例を豊富に盛り込み,実践での活用を想定し,エクササイズでトレーニングできるよう構成した.

序文

コミュニティーファーマシーシリーズ第2弾をお届けいたします.今回お届けするのは,薬剤師の職能をフルに発揮する場面として注目されるところの1つである「処方せん鑑査と問い合わせ」です.この本は初心者の方向けとなっておりますので,新人薬剤師の方はテキストとして,中堅およびベテラン薬剤師の方は確認用として,あるいは新人薬剤師の方へのOJT指導用としてお使いいただけると良いかと思います.
ところで医薬品の適正使用という言葉がありますが,これを現実の私たちの日常業務の中にどのように落とし込んでいったら良いでしょうか?保険薬局の薬剤師としてどのような具体的な行動を起こしていったら良いのか,考えていく必要があります.医薬品の適正使用のために,(1)何をしたら良いのか決める(PLAN),(2)決めたことを実行する(DO),(3)実行したこと,その結果について確認し評価する(CHECK),(4)もっと良くなるためにどうしたらいいのかを検討する(ACTION),このPDCAサイクルを上手にまわしていくことで一歩ずつ前進していくことができるでしょう.例えば医薬品の適正使用をもう少しわかりやすく,薬による患者さんの不利益を最小限にし(安全性),利益を最大限にする(効率性)としましょう.まず安全であること,そして次に効率が良いこと.これをPDCAサイクルに乗せていきます.<PLAN>処方せんを受け付けたら処方せん鑑査を行う.不明な点があれば問い合わせをする.<DO>処方せん鑑査と問い合わせを実行する.<CHECK>プロセス,内容,結果などを吟味し,良かった点・うまくいかなかった点などを洗い出す.<ACTION>それらを受けてどうしたらもっと良くなるかを考える.このようにして具体的に患者さんの安全性を確保し,効率の良い薬物療法に貢献していくことができたらいいなと思います.本書がそれらの流れの中でお役に立つことができれば幸いです.
最後に1つ読者の皆様にお願いがあります.何かを身に付けたいと願ったなら,そこには必ず地道な積み重ねが必要です.トレーニングをすることなしにスキルが身に付くことはありません.小さなことから,できるところから,そして今日から処方せん鑑査と問い合わせを始めてみてください.

2005年 若葉の頃 株式会社ファーコス 荒井なおみ


目次

Chapter 1 適正使用のための『問い合わせ』
 1.調剤の質を高める『問い合わせ』
  『問い合わせ』が調剤の質を左右する
    薬剤師の任務と『問い合わせ』
    事例から『問い合わせ』を見る
  『問い合わせ』の位置付け
   『問い合わせ』における薬剤師の注意点は?
     Point1 疑わしいことに気がつくかどうか
     Point2 疑わしいことに気がついたとき,すぐに行動したか
    薬局業務ガイドラインにおける『問い合わせ』の位置付け
    調剤報酬で評価される『問い合わせ』

2.薬物療法における安全性の確保,効率の良い医療を行うための『問い合わせ』
    何を『問い合わせ』するのか
    業務の中で実際にどんな『問い合わせ』があるか
    保険医に守ってもらう処方せん記載上のルール
     Point1 2つ以上の規格単位があるときは当該規格単位を記載する
     Point2 記号などによる記載は認められない
     Point3 屯服薬については1回分量を記載する
     Point4 外用薬,注射薬についても1回あたりの使用量,1日あたりの使用回数および
         使用時点,投与回数並びに使用に際しての留意事項の記載が必要
     Point5 服用時点を記載する
   疑義照会実態調査より

 3.『問い合わせ』をする理由・しない理由
  『問い合わせ』をするか・しないか
    事例1 処方薬剤の規格が記載されていない
    事例2 添付文書の用法と違っている
    事例3 注射薬の用法・用量が記載されていない
    事例4 処方医の字が個性的で読み取りづらい
    事例5 相互作用のある薬が処方されている
    事例6 前回と服用時点が異なっている
    事例7 前回と規格が異なっている
    事例8 前回と薬剤が1種類異なっている
    事例9  同種同効薬を他院にて処方されている
    事例10  同じ薬剤を同じ病院の内科と整形外科で処方されている
   どこまで『問い合わせ』をするのか
     添付文書における相互作用の記載は,いったいどのようになっているのか
  『問い合わせ』をしたくない理由

4.『問い合わせ』不備による調剤過誤の発生
   最後にもう一度,確認しておきましょう
    Point1 疑わしいことに気がつくかどうか
    Point2 疑わしいことに気がついたとき,すぐに行動したか

Chapter 2 やってみよう!『問い合わせ』
 1.『問い合わせ』の心構えと準備
  『問い合わせ』は構えない
   何を・どのように『問い合わせ』するか
   何を『問い合わせ』するのか?
    Point1 1枚の処方せんから気づくこと!
    Point2 薬歴簿と照合して気づくこと!
    Point3 患者さんとの会話から気づくこと!
   どのように『問い合わせ』するのか?
   準備万端な『問い合わせ』
    Check1 おかしいな?と思う
    Check2 問い合わせをする
    Check3 問い合わせの回答を得る
    Check4 回答を処方せんに記載する
    Check5 調剤をする   …
    Check6 適切な薬を投薬する
    Check7 問い合わせをしない

 2.基本的知識のスキルアップ
   患者さんの個人データ情報の活用
    事例1 「粉薬はむせてしまう」という患者さんに粉薬が処方された
    事例2 1歳(体重10kg)の幼児
    事例3 フロモックスで薬疹が出たことがある患者さんにフロモックスが処方された
    事例4 プルゼニドでお腹がすごく痛くなる患者さんにアローゼンが処方された
    事例5 前立腺肥大の患者さんにPL顆粒が処方された
    事例6 他科受診の患者さん
    事例7 便秘傾向の強い患者さん
    事例8 仕事で車を運転することが多い患者さん
    事例9 妊娠している患者さん
   事例10  禁煙を開始した患者さん
   事例11  食事が1日2回の高齢患者さん
   事例12  高齢の患者さん
  薬の知識
  保険制度の知識
   OJTで感性を磨こう
    私語は慎む.業務上必要な会話は積極的に行う
    空いた時間に薬剤を充填するのも勉強時間となる
    服薬指導は薬剤師の実力UPのすぐれもの

3.コミュニケーション・スキル
   コミュニケーションのクセ
    やっつけない・争わない
    気にしない・めげない
   さわやかな自己表現
    わたしメッセージ(メッセージ)で話そう!
   ビジネスマナーと職能の発揮
4.資源と意味付け

Chapter 3 Do it ! 事例で学ぶ『問い合わせ』
 Do it ! 処方せん記載事項(形式的事項)に注意しましょう
  Case 期限切れ処方せんに気づかず調剤したケース
 Do it ! 患者さんの個人データに必ず目を通しましょう
  Case かゆみ止めとして処方されるはずのクラリチンが,誤ってクラリスで処方されたケース
 Do it ! 疾病禁忌薬を必ず確認しましょう
  Case 前立腺肥大症治療中の患者さんに対してPL顆粒が処方されたケース
 Do it ! 重複投薬(同種同効薬を含む)の有無を確認しましょう
  Case ムコソルバンが定時処方と臨時処方で重複投与された過誤事例
  Case 高脂血症治療薬のリポバスとリピトールの重複を見逃したケース
  Case 作用機序の観点から併用する可能性が低いことに気づかず,見逃したケース
 Do it ! 併用禁忌薬の有無を確認しましょう
  Case ハルシオン服用中の患者さんに対して,すでに他院(皮膚科)でイトリゾールが処方されていたケース
 Do it ! 危険性の高い薬剤について特に注意しましょう
  Case 喘息治療薬のテオドール(気管支拡張薬)を誤って,テグレトール(抗てんかん薬)が処方されたケース
  Case 医療機関の処方せん発行ミスと名称が類似する医薬品の調剤ミスが重なった過誤事例
 Do it ! 小児薬用量,散剤・液剤の用量に注意しましょう
  Case テオドールの用量が明らかに過量と考えられたケース
  Case セフゾンの1日量が9g(製剤量)で,明らかに過量と考えられたケース
 Do it ! 調剤すべき薬剤の特定が可能かどうか検討しましょう
  Case ドグマチール細粒(10%)3g/日を調剤すべきところ,ドグマチール細粒(50%)0.6g/日を調剤してしまったケース
 Do it ! 薬剤の変更があったときは,それが正しいかどうか確認しましょう
  Case メレリル錠50mgが散剤1gに変わっていたケース
 Do it ! コミュニケーションを大切にしましょう
   あなたの日頃の応対はいかがですか?

Chapter 4 『問い合わせ』のためのExercise
1.適切な照会をするための事前準備エクササイズ
2.疑義を感じ取るためのエッセンシャルエクササイズ
3.実務に活かすパワーアップエクササイズ
  1.内科
  2.小児科
  3.整形外科・外科
  4.耳鼻咽喉科・眼科
  5.皮膚科

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薬名索引