書籍カテゴリー:臨床薬学

薬局の質を上げる業務改善

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コミュニティー ファーマシー・シリーズ
まちの薬局しごと集
薬局の質を上げる業務改善

1版

  • 株式会社ファーコス 溝部 啓子 著
  • 株式会社ファーコス 荒井 なおみ 著

定価:2,700円(本体2,500円+税8%)

  • B5判 151頁
  • 2005年11月 発行
  • ISBN978-4-525-78611-3
  • ISBN4-525-78611-6

概要

コミュニティ ファーマシー・シリーズ第3弾!
保険薬局薬剤師を対象に,保険薬局で取り組む「業務改善」を解説した調剤過誤・薬剤業務に役立つサポートブック.
Chapter1,2では業務改善の手順,取り組み方,準備の仕方について解説.Chapter3では50の「業務改善」事例をあげて,具体的な改善例やアイデアを,イラストを用いてわかりやすく解説.Chapter4ではエクササイズで業務改善の基本的な考え方を習得できる.

序文

本書が第3弾となるコミュニティ・ファーマシー シリーズは,薬局を利用される方々に,よりよい薬局サービスを提供するために,薬剤師としての十分な職能の発揮を支える,実務に則した具体的なサポートブックとして皆様のお役に立ってきたことと思います.今回は少し違う視点から業務を考えてみました.
薬剤師としての知識と技術の維持・向上は必須事項です.また薬剤師にとって職能の自己研鑚は生涯続きます.しかし,まちの薬局が薬局としてより質の高いサービスを提供するためにできることは他にもあるのではないでしょうか.薬剤師がミスや過誤を防止するために基本的な知識を身につけていることは大切ですが,ミスや過誤を防止する手段は別の形も考えられます.服薬指導を充実させるためにはツールやテクニックの充実と並行して,業務を効率化することにより,時間やマンパワーのより多くの部分を患者さんのために費すことができれば,これもまた効果が期待できるでしょう.働く者にとって安心して快適に活動できる職場では,より質の高いしごとができるのではないでしょうか.方法を限定せずにあらゆる手段を持って患者さんの安心・安全を確保することもまちの薬局のつとめです.そして,薬局のサービスは薬局からでるもの,つまり薬剤師と医療事務を含むすべての薬局スタッフによって提供されるものです.
そこで,本書ではまちの薬局で取り組む業務改善を提案させていただきました.業務改善と聞くと機械的で冷たい印象を持たれる方も多いのではないかと察しますが,この本にある改善はとても人間的なぬくもりをもった手作りのもので,患者さんを思う気持ちを形にするものでもあります.老若男女,職種を問わず誰もが,自分の周りにある大小様々な事柄に対して,特殊な能力を必要とせず,ごく日常的な気づきをもとに改善を実施することができます.本書では一般的な業務改善を薬局に当てはめて解説し,基本的な考え方や進め方,Exerciseがあり,薬局で実施した事例の紹介と説明も加えました.応用可能な事例はどんどん取り入れていただいて結構ですが,これを踏まえて工夫していただけば,その先はどこまでも皆さんの薬局で発展させていくことができます.
小さなことから始めてみてください.そして皆さんの薬局に合った改善の実施とその成果が形になり,実感していただくことができれば幸いです.

2005年 仲秋の頃 株式会社ファーコス 溝部啓子


目次

Chapter 1 薬局の業務改善とは?
 1.業務改善は薬局に必要か
  ・その気があれば誰にでもできるのが『改善』
  ・薬局の業務改善で期待できる効果
    ・業務の効率化
    ・業務の質の維持・向上
    ・業務環境の整備
    ・個人の意識や能力の向上
 2.業務改善の実際
  ・業務改善の進め方
    ・取り組み前にある余白
    ・問題発見−ある状況を考える−
    ・現状・原因の分析
       特性要因図
       フローチャート
       業務の棚卸
       レイアウト図・動線図
       項目別一覧表
    ・改善策の検討
       Point1  やり方・方法をかえることを考える
       Point2  原因を取り除くことを考える
       Point3 「やめる・へらす・かえる」ことを考える
    ・改善策の実施
    ・改善結果の評価
    ・結果に応じた再施行,定着,発展
       期待したような改善効果が得られなかった場合
       改善の効果が得られた場合
  ・薬局業務改善におけるファイリングと5S
    ・ファイリング
       改善的ファイリングもやめる・へらす・かえる
    ・5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)
    ・ファイリングと5Sはどのような効果を発揮するか
       不要物を処分する(整理)
       使えるファイリング(整頓)
  ・改善マインド
 3.仕事は工夫して楽しく
  ・改善は小粒で味がある
  ・くろうではなく,くふうしよう
  ・やめる・へらす・かえる
  ・何でもあり

Chapter 2 やってみよう!『改善』
 1.『改善』を始めるための準備
 2.組織としての取り組み
    STEP1  組織のトップレベル層が,『改善』に組織として取り組むことを決断する
    STEP2  『改善』を担当する部署を決める.旗ふり役を決める
    STEP3  すべての社員に『改善』の教育を行う
    STEP4  常に『改善』の視点を持って業務を行う
    STEP5  情報の共有化を行う.また活動の評価をさまざまな形で行う
 3.薬局としての取り組み
    STEP1  薬局管理者が,改善活動を理解し納得している
    STEP2  薬局全員で『改善』について学ぶ
    STEP3  『改善』の薬局内担当者を決める
    STEP4  『改善』のテーマを決め,実行し,評価する
    STEP5  『改善』の事例を共有する
 4.個人としての取り組み
  ・全体の中で一人ひとりがどう取り組むか
    Case 患者さんから同様のクレームを数回うけたK薬局
      Point1  関心を持つ
      Point2  自分の役割に責任を持つ
      Point3  報告・連絡・相談を行う
      Point4  常に目標を確認する
      Point5  ほかのスタッフに配慮する
  ・個人的に行う場合,1人でどう取り組むか
    Case パンフレットや冊子類を整理する係をしている薬剤師のMさん
    Case 自分の机の上がいつもゴチャゴチャな薬局管理者Eさん
      Point1  捨てられるものは捨てる
      Point2  ものを置く場所を決める
      Point3  すぐにやる

Chapter 3 事例で学ぶ調剤過誤防止・業務改善
 1.別物調剤,規格違い調剤を防止する
   事例1  全く別の医薬品(錠剤・カプセルなど)を調剤してしまう
   事例2  似たような医薬品を調剤してしまう
   事例3  規格違いの医薬品を調剤してしまう(剤形違いも含む)
   事例4  錠剤ケースの中に別の医薬品が入っている
   事例5  散剤,水剤などの調剤時に別の医薬品を調剤する
   事例6  散剤,水剤などの調剤時に計量した内容物を確認できない
   事例7  装置瓶への散剤の充填を間違える
   事例8  薬の一部を渡し忘れる
 2.疑義照会の不備を防止する
   事例9  疑義照会すべきケースに気づかず調剤してしまう
   事例10  必要な個人データを確認しなかったためにそれにかかわる疑義照会ができない
   事例11  疑義照会すべきケースに気づいていたが照会せずに調剤してしまう
   事例12  疑義照会の結果が調剤に反映されない(疑義照会の実施,内容に気づかず調剤されてしまう)
 3.調剤の環境を整備する(調剤室の整理・整頓)
   事例13  早見表が使いにくい
   事例14  調剤台のハサミがなくなる,そのため頻繁にハサミを探している
   事例15  判子やスタンプが使いにくい.押す時に手間がかかる
   事例16  分包した散剤に異物が混入する
   事例17  薬局の中が汚い
 4.薬局利用者へのサービス
   事例18  カウンターで杖を倒したり,落としたりする方が多い
   事例19  会計で代金支払いに時間がかかる方が多い
   事例20  「ただ薬をそろえるだけでなぜこんなに待たせるのか」と苦情を言われる

   事例21  自由に取れるようにしたパンフレットがあまり手にしてもらえない
   事例22  患者さんが座る椅子・座らない椅子が決まっている
   事例23  重要なお知らせを掲示しているが見てもらえない
 5.職場の環境整備,ファイリング
   事例24  調剤室内に私物が置いてある
   事例25  勉強会などの掲示が期日を過ぎてもいつまでも貼ってある
   事例26  同じ新薬のパンフレットが何枚も溜まってしまう
   事例27  回覧がいつまでたってもまわってこない
   事例28  調剤台の上に常に何かが置かれている
   事例29  保存期間を過ぎた処方せんがいつまでもある
   事例30  書籍は大きくて重いのでなかなか見ようという気になれない
   事例31  薬局内でよく人にぶつかる,一連の仕事の移動距離が長い
   事例32  分包機,薬袋印字機が頻繁に故障する
 6.物品(消耗品)管理
   事例33  消耗品の残量が発注点を超えたことに気がつかない
   事例34  発注しなければいけないことには気づいたが忙しさに紛れて発注を忘れた
   事例35  発注しようと思っていて発注を忘れてしまう
 7.保険請求などの処理
   事例36  レセプト作業の進捗状況がわからない
   事例37  毎月行っている作業なのに効率が悪い
   事例38  レセプトが行方不明になる(重なった中に紛れ込んでわからなくなる)
   事例39  ○○さんがいないとわからないことがある
 8.業務をシンプルにするためのその他のアイデア
   事例40  薬局窓口で処方せんではなく医療機関の領収証を提出する人が多い
   事例41  水剤の瓶の蓋を毎回はずすのが面倒
   事例42  開封済みの水剤に気づかず同じものをもう一本開封してしまう
   事例43  分包機についている集塵機の先が傷だらけになる
   事例44  受付けた処方せんが期限切れであることに気がつかなかった
   事例45  使用中の機械のプラグを間違えて抜いてしまう
   事例46  たくさんの紙を綴じるために2穴のパンチで穴をあけるのが面倒
   事例47  気分が悪くなって待合室で嘔吐する患者さんがいる
   事例48  電話の切り方が乱暴だと言われる
   事例49  卸さんになかなか用事が伝えられない
   事例50  自動ドアに衝突する患者さんがいる

Chapter 4 業務改善のためのExercise
 1.業務改善の導入
 2.問題を発見しよう!
 3.原因を追求しよう!
 4.改善策を立てよう!
 5.業務改善の力をつけよう!

INDEX

コラム
  日本生まれの国際派“KAIZEN”
  改善マインドの逆襲
  KAIZENIST生活
  あるべき姿を求めて
  時間の管理も改善