書籍カテゴリー:歯学

臨床歯科エビデンス 顎運動の基礎と臨床の接点

在庫状況:在庫あり(僅少)

臨床歯科エビデンス
臨床歯科エビデンス 顎運動の基礎と臨床の接点

1版

  • 日本歯科大学解剖学第1講座講座教授 佐藤 巌 編著
  • 日本歯科大学歯学部歯科補綴第2講座助教授 波多野 泰夫 編著

定価:4,320円(本体4,000円+税8%)

  • A4判 125頁
  • 2005年12月 発行
  • ISBN978-4-525-80041-3
  • ISBN4-525-80041-0

概要

歯と顎,それらを取り巻く顎口腔系の機能と形態とに焦点を当てたテキスト.CBT, OSCE,国試などの準備に際して,知識のまとめ用に基本項目を網羅し簡潔な解説とカラー写真を多用.食べること,話すこと,美しい口元,それらを支える良好な歯列,顎関節の重要性と仕組みを理解するうえで最適な書.

序文

歯科医学の分野では現在,基礎,臨床の両面からの研究が活発に行われ,その結果,歯や顎そしてそれらと全身との関係に関する知見は日々増加している.歯科医学の教育においても従来の縦割りの講座制の講義内容に加えて統合講義の形式でテーマごとの講義も行われるようになってきている.
本書は歯と顎と,それらをとりまく顎口腔系の機能と形態とに焦点を当てたテキストである.顎口腔系の受容器から始まり,運動器に転換され,その機能が極めて精密かつ安全に遂行されてゆくしくみを流れに沿って解説した.また,読みやすさを主眼に,ワンテーマごとに見やすい1頁とし,2段組の片方を文章に,もう一方を写真などとすること,さらには,原則として2つの質問形式のトピックスによって知識とテーマが立体的に照らし出されるように配慮した.
臨床において歯科医師が患者さんに対面する方向を考慮して,図版などは患者さんの右側の顔を眺めるように統一し,理解がたやすくなるように心がけた点も本書の特徴のひとつである.
歯科学生には,CBT,OSCE,国家試験などの準備として知識のまとめとなるよう基本的な用語を網羅するように気を配った.
歯科医師以外の立場から医療に携わる方や,人体の構造と機能とに興味をもつ読者にとっても,豊富な図を通して,体積にしてほぼメロン1個分のこの部分に数多くの秘密が隠されており,それらが,人体にとって欠くことのできない重要な機能を安全かつ正確に遂行する重要な事項であることを学ぶことができるような構成とした.
また,卒業直後の歯科医師にはさまざまな設問を通じて,患者さんへのより判り易い説明に役立つヒントを得ていただけるはずである.
いずれにせよ,食べること,話すこと,美しい口もと,良好な歯列と顎関節の重要性と仕組みについて本書を媒介に接していただければ幸いである.

2005年8月 執筆者一同


目次

 顎・口腔・顔面の構造と役割

1 顎口腔系
 ■アゴの境目はどこにある?
 ■歯科? 顎科?
2 咀嚼
 ■歯は食べ物の捕捉?
 ■食べ物によって咀嚼は変わるか?
3 摂食・嚥下のメカニズム
 ■ヒトは誤嚥の宿命を持っている?
 ■ヒトの“咽”だから成し得た能力とは?
4 発声
 ■サルはなぜ話せないのか?
 ■口腔内が変化すると発音はどうなる?
5 表情
 ■表情がなかったら?
 ■笑顔には口もとが大きな要素?
 ■下顎運動と表情の関係?
6 上顎歯列
 ■ジェットコースターみたい?
 ■上顎歯列と下顎歯列,どちらが男性?女性?
7 下顎歯列
 ■咬合研究は下顎から始まった?
 ■オトガイはどのようにしてできた?
8 Wilsonの彎曲
 ■これがなかったら顔は巨大に?
 ■機能咬頭と非機能咬頭どちらが高い?
9 Speeの彎曲
 ■下顎歯の歯根は荷重方向に忠実か?
 ■歯列形態は顎口腔系の神秘への入り口か?
10 大臼歯
 ■上顎大臼歯咬頭の名称は?
 ■大臼歯の咬合面は下顎運動の象形文字?
11 小臼歯
 ■小臼歯の歯冠の形態は犬歯に類似?
 ■小臼歯の咬頭路の解釈は?
12 犬歯
 ■犬歯の本当の働きは?
 ■犬歯が1番はいくつある?
13 切歯
 ■上顎側切歯と下顎中切歯の特徴は?
 ■下顎前歯は上顎前歯より力学的に有利?
14 咬頭
 ■咬頭干渉とは?
 ■咬頭作るは高等技術?
15 機能咬頭
 ■上顎大臼歯の機能咬頭には異常結節がある?
 ■機能咬頭の機能とは?
16 非機能咬頭
 ■非機能咬頭に現れる異常結節とは?
 ■非機能咬頭にも立派な機能がある?
17 三角隆線・副隆線
 ■屈曲隆線とはどんなもの?
 ■屈曲隆線は日本人の証?
18 臼歯の辺縁隆線
 ■近心辺縁隆線に新たな結節?
 ■対合歯の機能咬頭が乗ると何が起きる?
19 上顎前歯の辺縁隆線
 ■棘は上顎中切歯に多い?
 ■臼歯と前歯での共通点と差異は?
20 切縁
 ■ミュールライターの三徴候とは何?
 ■下顎切歯点は下顎の代表部位?
 ■舌足らずって知っていますか?
21 舌側面窩と舌面の彎曲
 ■シャベル型切歯って何?
 ■運動の出発は緩やかに?
22 溝
 ■ドリオピテクスパターンとは?
 ■溝は顎運動の象形文字?
23 頭蓋
 ■女性の頭蓋はでこっぱち?
 ■アゴは顔の一部?
24 下顎骨(水平面)
 ■顎関節の3つの靱帯とは?
 ■Bonwill三角の意義を知っていますか?
25 下顎骨(矢状面)
 ■関節円板は変化する?
 ■下顎骨がL字型である利点は?
26 舌
 ■二枚舌とは?
 ■舌のサイズは決まっている?
27 舌筋の機能(舌の複合運動)
28 頬
 ■頬づえをつくとは?
 ■餅つきの合いの手が頬と舌?
29 硬口蓋
 ■縫合は動く?
 ■有床義歯は環境を変える?
30 軟口蓋
 ■嚥下の最初は口蓋を押す?
 ■ここも診ておこう!
31 咀嚼筋
 ■筋により異なる筋線維タイプ?
 ■咀嚼筋によって顎はどう動くか?
32 咬筋
 ■咬筋筋膜と頬脂肪体との関係は?
 ■浅層と深層とで異なる咬筋の機能(働き)は?
33 側頭筋
 ■草食動物は側頭筋がひ弱?
 ■側頭筋にある3つの筋束の働きは?
34 内側翼突筋
 ■内側翼突筋は触診できるのか?
 ■内側翼突筋の機能(働き)は?
35 外側翼突筋
 ■外側翼突筋は小さいが力持ち?
 ■外側翼突筋の機能(働き)は?
36 顎関節の靱帯
 ■下顎の変形は外側靱帯のゆるみ?
 ■外側靱帯の機能(働き)は?
37 アルコン
 ■上顎を不動とし,下顎の動きを捉えるの?
 ■全調節性咬合器はすべてアルコン型?
38 下顎窩
 ■下顎窩は1mmで脳頭蓋を隔てる?
 ■下顎窩に対する,関節円板と下顎頭との関係は?
39 下顎頭
 ■顎関節の触診ではどこを触っている?
 ■下顎頭に対する,関節円板と下顎窩との関係は?
40 関節円板
 ■サルでも顎関節症?
 ■関節円板は移動する座布団?
41 顎関節円板の周囲組織
 ■二層部静脈叢はスポンジ?
 ■二層部下層はなぜ伸びないの?
42 関節腔
 ■胸鎖関節は本当に顎関節と同じ関節か?
 ■上下いずれが滑走でいずれが回転?
43 鰓弓
 ■鼓膜は腸?
 ■舌骨は2つの鰓弓?
44 鰓弓由来の筋
 ■眼筋は四肢と同じ筋板由来?
 ■鰓弓由来の最強の筋は?
45 顎関節の形成
 ■一次関節とは?
 ■顎関節はいつ完成する?
46 第一鰓弓
 ■口蓋形成で鼻が発達?
 ■外側翼突筋の外側に内側翼突筋?
 ■顎二腹筋の前腹と後腹は別の筋?
47 第二鰓弓
 ■表情筋は胎児で発達?
 ■表情筋にはどんな筋がある?
 ■笑顔に“えくぼ”,何がつくる?
48 第三から第五鰓弓まで
 ■嚥下に欠かせない咽頭系は発声器官?
 ■むせずに嚥下ができるのは?
49 咀嚼運動
 ■咀嚼は脳を目覚めさせる?
 ■歯を食いしばると大きな力が出せる?
50 咀嚼運動の制御
 ■パターンジェネレータとは?
 ■咀嚼運動は呼吸・歩行運動と類似?
51 顎口腔感覚と咀嚼運動の制御
 ■上,下歯槽神経遮断と咀嚼パターンの変化とは?
 ■麻酔効果と咀嚼運動?
52 歯髄,象牙質の感覚
 ■ATPは発痛物質として働く?
 ■痛みを伝える2つの神経?
53 口腔粘膜の感覚
 ■メルケル−神経複合体は嚥下反射に重要?
 ■前方部が敏感で,痛覚受容器が多い?
54 歯根膜の感覚
 ■速順応型受容器は歯ごたえに関与?
55 顎関節の感覚
 ■関節の動きを伝える感覚情報は両側性?
 ■顎関節炎の痛みは上部頸髄後角領域に投射する?
56 筋の固有受容器
 ■伸張反射と筋紡錘?
57 筋紡錘の構造
 ■老化すると筋紡錘はどうなるか?
 ■筋紡錘は姿勢を保つ?
58 反射性顎運動(顎反射)
 ■反射弓とは?
 ■顎反射と咀嚼運動の関係は?
59 下顎張反射
 ■下顎の姿勢維持に役立つ?
 ■負荷反射?
 ■脱負荷反射?
60 歯根膜咬筋反射
 ■咀嚼力(咬合力)の調節に関与?
 ■感覚受容器の中枢への二重経路?
61 開口反射
 ■痛みを感じると口が開く?
 ■咀嚼運動時の開口反射の変化とは?

II 顎・口腔・顔面の運動と制御

1 下顎運動の制御
 ■顎関節は何を決める?
 ■歯列は何を決める?
2 「顎口腔系」研究の歴史
 ■日本での歩みは?
 ■歯科野でTMJの用語は,主に顎関節?
3 基準平面
 ■基準平面の意義は?
 ■南極・北極・グリニッジ?
4 咬合平面
 ■他の指標との関係は?
 ■歯列弓から得られる咬合平面の臨床的意義とは?
5 フランクフルト平面
 ■咬合器の水平基準面との関係は?
 ■眼窩下点,右か左か?
 ■セファログラム重ね合わせの基準平面?
6 Posseltの図形
 ■下顎運動測定器とは?
 ■Posseltの図形とは?
7 下顎切歯部の運動範囲
 ■矢状面における運動範囲は?
 ■前頭面における運動範囲は?
 ■水平面における運動範囲は?
8 下顎頭の運動
 ■前方・開口運動時の運動は?
 ■側方運動時の運動は?
 ■咀嚼運動時の運動は?
9 限界運動と限界内運動
 ■歯によって決まる部はどこですか?
 ■歯以外の要素で決まるのはどこですか?
10 咬頭嵌合位
 ■咬合接触点による分類を知っていますか?
 ■顔が最も短くなる時?
11 咬頭嵌合位の接触
 ■咬頭嵌合位の接触:矢状面では?
 ■咬頭嵌合位の接触:前頭面では?
12 下顎後退接触位(下顎後退咬合位)
 ■Posseltは咬合界のコペルニクス?
 ■参照位と呼ばれるわけは?
13 下顎安静位
 ■もう頬づえはつかない?
14 テコ現象と顎口腔系
 ■正常な顎口腔系は何級?
 ■咬合干渉があるとテコが変化する?
15 最大開口位
 ■最大開口と食べ物の大きさの関係は?
 ■ゲンコツを口に入れたら危ない?
 ■歯科治療では長時間の大開口に注意?
16 下顎位の用語
 ■“中心”とはセンターの意味?
17 基本的下顎運動(基本運動)
 ■前方運動は両側顆頭の前方への滑走?
 ■側方運動は一側の顆頭の前下内方への滑走?
 ■開閉口運動は両側顆頭の回転と滑走?
18 1歯対2歯咬合
 ■1歯対2歯咬合の覚え方は?
 ■食片圧入を防ぐには?
19 1歯対1歯咬合
 ■対合関係の覚え方は?
 ■クラウン製作でのチョイスの理由は?
 ■1歯対1歯に最もなりにくい歯は?
20 歯の形態と咬合時の感覚
 ■歯は圧力のアンテナ?
 ■急峻な咬頭は良いけれど限度もある?
21 犬歯誘導
 ■犬歯の特徴は?
 ■犬歯誘導の欠点とは?
 ■犬歯誘導時の歯のガイド(M型とD型)とは?
22 有歯顎の咬合様式
 ■有顎歯修復でのチョイスの理由は?
 ■あのドラキュラは犬歯誘導?
23 グループファンクション
 ■グループファンクション咬合の利点とは?
 ■グループファンクション咬合の欠点は?
 ■犬歯誘導咬合者とグループファンクション咬合者との間で比較した咀嚼運動経路は?
24 両側性平衡咬合
 ■両側性平衡咬合は必ず面接触にするの?
 ■パーシャルデンチャーにも両側性平衡咬合?
25 非解剖的人工歯
 ■ブレードティースって何?
 ■0°人工歯って?
26 咬合器I
 ■チェックバイトはどの位置で採るの?
27 咬合器II
 ■ボックス型とスロット型は何がどう違うの?
28 文明と歯
 ■切ることと裂くことは基本?
 ■砕くことと磨り潰すことも基本?

III 歯科治療と運動の制御

1 歯・歯列の状態の下顎運動への影響
 ■咀嚼運動パターンとは?
 ■咬合干渉と咀嚼運動パターンとの関係は?
2 補綴治療による咬合関係確立の下顎運動への影響
 ■有歯顎者に付与する咬合は?
 ■無歯顎者に付与する咬合は?
3 咀嚼と咬合(常者と顎機能異常者の咀嚼)
 ■常者と顎機能異常者の咀嚼運動時の筋活動は?
 ■顎機能異常者における歯科治療前後の咀嚼運動と咬筋筋活動は?
4 歯の治療に伴う下顎運動の変化
 ■ゴシックアーチ描記法とは?
 ■歯の治療に伴う下顎運動の変化とは?
5 スプリント
 ■副木の英語は?
 ■顎では“ギプス”はどうなるの?
6 乳歯列と下顎運動
 ■乳歯列期小児における下顎運動の特徴は?
 ■乳歯列期小児における切歯歯軸の特徴は?
7 永久歯列と下顎運動
 ■咀嚼運動経路のパターン分類とは?
 ■健常者の咀嚼運動経路のパターンとは?
8 歯列の交換と下顎運動
 ■歯のはえる順番は?
 ■歯列・咬合の発育に伴う下顎運動変化の特徴は?
9 不正咬合と咀嚼運動
 ■叢生患者の咀嚼運動パターンは?
 ■受け口患者の咀嚼運動パターンは?
10 矯正歯科治療と咀嚼運動の変化
 ■咀嚼運動で咀嚼機能の評価?
 ■矯正歯科治療で咀嚼運動は変化する?
11 顎変形症
 ■顎変形症の原因は?
 ■顎変形症の種類は?
12 外科的矯正治療
 ■顎矯正手術?
 ■どんな手術があるの?
13 外科的矯正治療による形態・機能の改善(1)
 ■形態の特徴は?
 ■機能の特徴は?
 ■外科的矯正治療の目標は?
14 外科的矯正治療による形態・機能の改善(2)
 ■術後の変化は?
 ■形態の改善に伴う機能の調和?
 ■術後の安定とは?
 ■治療における重要な基本事項は?
15 顎関節の炎症性疾患
 ■口腔の隙はどこ?
 ■口腔感染症の原因菌で一番多いのは何?
16 顎関節の腫瘍性疾患
 ■細胞診で何がわかるの?
 ■病理組織検査で何がわかるの?
17 骨折による下顎運動の変化
 ■下顎骨骨折の好発部位はどこか?
 ■下顎骨を骨折するとどちらに曲がるの?
18 顎骨骨折の治療
 ■下顎骨骨折の治療は?
19 顎関節疾患による下顎運動の変化(1)
 ■顎がはずれたときはどうするの?
20 顎関節疾患による下顎運動の変化(2)
 ■リウマチの検査は何をするの?
 ■顎関節授動術とはどのような手術ですか?
21 歯の喪失による形態変化
 ■義歯を入れてから唇がしびれる?
 ■しゃべると義歯が飛び出る?
22 口腔機能の加齢変化
 ■健康な歯があっても起こる咀嚼障害って?
 ■食べこぼしは年のせい?
付録 下顎骨の骨折部位と骨片の偏位(1)
   下顎骨の骨折部位と骨片の偏位(2)
索引