書籍カテゴリー:歯学

臨床歯科エビデンス 歯周病と微生物学のビジュアルラーニング
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臨床歯科エビデンス
臨床歯科エビデンス 歯周病と微生物学のビジュアルラーニング

1版

  • 日本歯科大学生命歯学部 微生物学講座 教授 古西清司 編著
  • 明海大学歯学部 口腔生物再生医工学講座 歯周病学分野 教授 申 基喆 編著

定価:4,320円(本体4,000円+税8%)

  • A4判 130頁
  • 2007年2月 発行
  • ISBN978-4-525-80051-2

概要

歯周病は,基礎細菌学的な立場と臨床歯周病学的な立場から,両者の知識を統合して理解することで,歯周病の本質に迫って学習することにつながると考えられる.
平易な解説と多数の写真・図表を使って,臨床実習前の学生から,大学院生,研修医,実際に臨床に関わっている歯科医の先生方までの広い対象者の学習に役立つことを目指した一冊.

序文

歯科医学の発展に伴い,基礎的分野と同様に臨床歯科医学分野が細分化され,ますます複雑になってきている.基礎学問と臨床を連結させた視点から口腔疾患を深く理解することは非常に重要であるにもかかわらず,臨床歯科医学を学ぶ学生にとっては,そのような環境や教材が充足していないことも事実であろう.特に今回取り上げた,歯周病原性細菌による慢性感染症である歯周病については,細菌学的な立場と臨床歯周病学的な立場からの双方の知識を統合して理解することで,歯周病の本質に迫って学習できると考えられる.
このような背景から,歯周病に関する学習をより効率的に行うために本書では,できる限りわかりやすい説明で,また多くの図表や写真を使うことによって,より広い読者層に対応できるように工夫した.すなわち臨床実地前の歯学生はもとより,大学院生,臨床研修歯科医,さらに実際に臨床の現場に携わっている歯科医の先生方までの学習に役立つことを目指した.
本書は,細菌学と歯周病学を学ぶ上で重要な項目を取り上げ,それぞれの項目を基本的学習事項,基礎的な観点からのQ&A,臨床的立場からのQ&Aの3つのパートに分けて構成している.特に学内の試験やCBTの前に,学生が自身の知識を短時間のうちに効率よく整理,確認できる成書となるように努めた.CBTや歯科医師国家試験においては,基礎と臨床の境界領域あるいは接点領域からの出題が増えており,今後ますます増加するものと予想される.そういった意味でも本書が重要な役割を果たすものと信じている.また臨床研修歯科医が,患者に歯周病について説明をするために必要な基本的知識や患者自身がすぐに理解できる情報を平易に解説し,読めばすぐ理解できる「臨床歯科エビデンス」シリーズの中の1冊となるようにしたつもりである.さらに歯周病の基礎研究を研究テーマにしている大学院生にとっても,また歯周病の臨床に関する課題を遂行している臨床研修歯科医師にとっても,本書を使って短時間で効果的に,そして統括的に歯周病という疾病について理解することで,自分の置かれている研究あるいは臨床上の位置を確認するときなどにも使えるようになっている.
最後に,本書の執筆にあたっては大変お忙しい中,ご協力を戴いた多くの先生方に深甚なる謝意を表する.また,本書の出版にあたって大変お世話になった南山堂編集部に,著者を代表して厚くお礼を申し上げる次第である.

2007年1月 執筆者代表  古西清司 申基

目次

I 感染と細菌

1 感染症
 ■感染が成立するには?
 ■歯周病は感染症か?
2 微生物の種類と分類
 ■分類法 今昔?
 ■歯周病の分類と細菌の種類に関係はあるの?
3 細菌の構造と生育
 ■構造による分類,増殖するには何がいるのか?
 ■歯周病に罹患した歯周組織環境下での微生物の生育と構造は?
4 滅菌と消毒
 ■滅菌と消毒の違い,どんな方法がよいか?
 ■歯周治療用器具の滅菌と消毒は?
5 口腔内の常在菌
 ■常在菌と一時的に通過する菌の違いは?
 ■歯周病はどんな細菌が関与しているの?
6 歯肉縁上プラークの検査
 ■歯肉縁上プラークとは?
 ■口腔清掃度の評価方法は?
7 歯肉縁下プラークの検査
 ■歯肉縁下プラークとは?
 ■プラークの除去方法は?
8 ペリクルの形成
 ■ペリクルはどのように作られるか?
 ■ペリクル除去に有効な方法は?
9 プラーク細菌の共生と拮抗(共凝集)
 ■プラーク中の細菌の関係は?
 ■プラークが蓄積しやすい環境とは?
10 バイオフィルム
 ■細菌にとってのバイオフィルム環境の意義は?
 ■バイオフィルムを破壊するには?
11 歯周炎と歯石
 ■歯石の作られ方は?
 ■歯石は除去できるのか?
12 歯肉縁上歯石
 ■歯肉縁上歯石の中身とは?
 ■歯肉縁上歯石を除去するには?
13 歯肉縁下歯石
 ■歯肉縁下歯石の中身とは?
 ■歯肉縁下歯石の存在はどうしてわかるの?
14 歯肉溝滲出液
 ■歯肉溝滲出液中で細菌は生き残れるのか?
 ■歯肉溝滲出液を調べることの実際?
15 唾液中の細菌
 ■唾液中に細菌はいるのか?
 ■唾液中の細菌を調べることはできるのか?

II 口腔内環境と細菌

1 口腔内各部位の環境
 ■口腔内の環境は単一でないの?
 ■口腔内の環境で細菌叢はどう変わってくるの?
2 酸素濃度と酸化還元電位
 ■酸化還元電位とは?
 ■酸素濃度と酸化還元電位との関係は?
3 口腔内のpH
 ■口腔内のpHはどのくらい?
 ■歯周炎が進行すると歯周ポケット内のpHはどうなるの?
4 口腔内細菌の栄養源
 ■口腔内細菌は必要とする物質をどこから取り入れているのか?
 ■口腔内細菌はどうやって栄養をもらっているの?
5 歯肉溝内の細菌叢
 ■口腔内にはどのくらいの細菌がいるのか?
 ■健康な歯周組織における細菌叢は?
6 浅い歯周ポケット内の細菌叢
 ■浅い歯周ポケットにみられる細菌叢の特徴は?
 ■浅い歯周ポケット内の細菌叢の特徴は?
7 深い歯周ポケット内の細菌叢
 ■深い歯周ポケットにみられる細菌叢の特徴は?
 ■深い歯周ポケット内の細菌叢の特徴は?
8 急性歯周膿瘍内の細菌叢
 ■急性歯周膿瘍内の細菌叢は他とどう違う?
 ■急性歯周膿瘍内の細菌叢の特徴は?

III 歯周病原菌の病原因子

1 線毛
 ■線毛は本当に病原因子か?
 ■線毛による細菌の付着を阻止できるか?
2 食細胞抵抗因子
 ■食細胞に抵抗するのはどのような因子か?
 ■食細胞抵抗因子との関連が疑われる歯周病とは?
3 産生毒素
 ■内毒素や外毒素の作用は?
 ■細菌が産生する毒素を除去できるのか?
4 組織破壊性酵素
 ■外毒素と組織を破壊する酵素の違いは?
 ■組織破壊性酵素には何があるの?
5 宿主免疫機構からの回避能
 ■どのようにして免疫系から逃れる?
 ■免疫系から逃れるとどうなるの?
6 歯周組織破壊
 ■歯周組織破壊の作用機序は?
 ■歯周組織破壊に細菌は関係しているの?
7 組織侵入
 ■歯周病原性細菌も組織侵入するのか?
 ■ポケットキュレタージVSルートプレーニングとは?

IV 歯周病原性細菌各論

1 Porphyromonas gingivalis
 ■どんな細菌ですか?
 ■成人性(慢性)歯周炎に関係するのか?
2 Actinobacillus actinomycetemcomitans
 ■歯周病との関係は?
 ■排除するにはどうしたらいいのか?
3 Tannerella forsythensis
 ■どの程度歯周病に関与している?
 ■成人性(慢性)歯周炎に関係するのか?
4 Prevotella intermedia
 ■歯肉炎を起こす作用機序は?
 ■妊娠性歯肉炎に関係するのか?
5 Fusobacterium nucleatum
 ■どのような特徴の細菌?
 ■どういう歯周炎に関係するのか?
6 Campylobacter rectus
 ■歯周病との関係は?
 ■どういう歯周炎に関係するのか?
7 Eikenella corrodens
 ■どんな菌?
 ■どういう歯周炎に関係するのか?
8 Capnocytophaga属
 ■特徴は?
 ■どういう歯周炎に関係するのか?
9 Treponema denticola
 ■どのような細菌ですか?
 ■どういう歯周炎に関係するのか?
10 Candida albicans
 ■歯周病との関係について教えて?
 ■どういう歯周炎に関係するのか?

V 歯周病に関連する免疫担当細胞および因子

1 免疫グロブリン
 ■口腔内の免疫にどの程度関与しているの?
 ■免疫グロブリンは歯周病原性細菌に反応するのか?
2 補体
 ■補体の役割は?
 ■歯周病では補体のどの経路が活性化しているのか?
3 好中球
 ■好中球と歯周病の関係は?
 ■好中球の異常は歯周病に影響を及ぼすか?
4 白血球
 ■歯周病の時にでてくる白血球について教えて?
 ■白血球の異常は歯周病に影響を及ぼすか?
5 唾液中の抗菌性物質
 ■唾液にある抗菌性物質とは?
 ■唾液の量が少ない人は歯周病が悪化しやすいのか?
6 唾液分泌型IgA
 ■血清中の抗体と分泌液中の抗体の違いは?
 ■歯肉溝滲出液中の抗体は?

VI 歯周病関連のサイトカインと骨吸収

1 骨芽細胞
 ■骨芽細胞の歯周病における役割は
 ■骨芽細胞は破壊された歯槽骨を再生可能か?
2 破骨細胞
 ■破骨細胞は歯周病の時どのように働く?
 ■破骨細胞は歯槽骨の吸収に関係するのか?
3 歯肉線維芽細胞
 ■歯肉線維芽細胞は歯周病の時にどう変化するの?
 ■歯肉増殖って何ですか?
4 歯肉上皮細胞
 ■歯肉上皮細胞はどうなるのか?
 ■歯肉退縮って何ですか?
5 歯根膜中の細胞
 ■歯根膜中の細胞は歯周病の時にどうなるのか?
 ■歯根膜に炎症があると,エックス線写真上で歯槽硬線はどうなる?
6 骨吸収に関わるサイトカイン
 ■骨吸収時,サイトカインの役割は?
 ■水平性骨吸収と垂直性骨吸収の違いって何?
7 歯周組織の免疫
 ■歯周組織の免疫系について教えて?
 ■細菌の侵入に対する歯周組織での生体防御はどうなっているのか?

VII 細菌学的・免疫学的検査

1 直接観察法
 ■直接観察すると見えてくるもの?
 ■歯周炎患者のプラーク中でみられる細菌とは?
2 蛍光抗体法
 ■蛍光抗体法とはどんな方法ですか?
 ■確定診断に利用できるの?
3 DNAプローブ法
 ■DNAプローブ法の特徴は?
 ■DNAの違いによりどのような影響があるの?
4 PCR法
 ■PCR法でわかること,わからないこと?
 ■臨床で用いられているの?
5 酵素活性測定法
 ■どのような原理ですか?
 ■臨床で用いられているの?
6 培養法
 ■培養技術はどのように発達したのか?
 ■臨床で用いられているの?
7 ELISA法
 ■簡単に原理を教えて?
 ■臨床で用いられているの?
8 血清抗体価
 ■抗体を評価して何がわかるか?
 ■抗体価の高い低いは何を意味するのか?

VIII 歯周病の分類と関連細菌

1 歯肉炎と歯周炎の違い
 ■歯肉炎と歯周炎,細菌叢に違いはあるのですか?
 ■予防法も異なってくるの?
2 単純性歯肉炎
 ■単純性歯肉炎ではどのような細菌がいますか?
 ■どのくらいの人が罹患しているのか?
3 妊娠性歯肉炎
 ■妊娠性歯肉炎の局所でどんな細菌がいますか?
 ■なぜ妊娠が歯肉炎を引き起こすのか?
4 急性壊死性潰瘍性歯肉炎
 ■急性壊死性潰瘍性歯肉炎局所で見られる細菌,スピロヘータが原因なのか?
 ■治療法は?
5 歯周炎の分類
 ■歯周炎は本当に感染症なの?
 ■どのくらいの人が歯周炎に罹患しているのか?
6 成人性(慢性)歯周炎局所で見られる細菌
 ■成人性歯周炎局所で見られる細菌で,どうして歯周炎になるのか?
 ■細菌を排除する方法は?
7 早期発症型(侵襲性)歯周炎局所で見られる細菌
 ■どうして若くして歯周炎になるの?
 ■治療法はあるのか?
8 急性歯周膿瘍局所で見られる細菌
 ■急性歯周膿瘍局所で見られる細菌と他の歯周炎との違いは?
 ■なぜ急性化するのか?
9 インプラント周囲炎局所で見られる細菌
 ■インプラント周囲炎局所で見られる細菌にはどのような細菌がいるの?
 ■インプラント周囲炎の症状は?

IX 歯周病のリスク因子と細菌との関わり

1 歯周病のリスク因子と細菌との関わり
 ■細菌感染を増悪させる因子とはどんなものか?
 ■リスク因子は取り除けるのか?
2 口呼吸と細菌
 ■口呼吸は歯周病にとって良くないの?
 ■治療方法は?
3 喫煙
 ■喫煙はどのような影響があるの?
 ■禁煙により歯周炎は改善するの?
4 口臭と細菌
 ■口臭を無くするにはどうすればよいか?
 ■歯周病による口臭はどういう種類の臭気か?

X 歯周病と全身疾患

1 プラーク細菌の循環障害・心疾患への関与
 ■歯周病原性細菌は体内に入り込むの?
 ■根拠はあるのか?
2 糖尿病
 ■なぜ,糖尿病患者に細菌感染はよくないの?
 ■なぜ,糖尿病患者は歯周炎に罹患しやすいのか?
3 妊婦の歯周病
 ■妊婦は感染に弱いのか?
 ■歯周病は妊娠に影響するのか?
4 後天性免疫不全症候群
 ■宿主の免疫機能が低下すると細菌はどうなるか?
 ■免疫不全になると口腔内は細菌の影響が止まらない?
5 薬物誘発性歯肉増殖
 ■細菌が歯肉増殖の引き金になる?
 ■治療するには?
6 歯周炎に関連する全身疾患
 ■感染症が全身に現れる経路は何か?
 ■歯周炎との因果関係はあるのか?

XI 細菌の物理的排除と化学的排除

1 細菌の排除法
 ■簡単に細菌を排除する方法を教えて?
 ■含嗽はどの程度の効果を持つか?
2 ブラッシングの意義
 ■ブラッシングは本当によいの?
 ■歯周治療にブラッシングは必須か?
3 手用歯ブラシ
 ■細菌は手用歯ブラシだけで排除できるの?
 ■推奨されるブラッシング方法は?
4 電動歯ブラシ
 ■細菌を音波にさらすとどうなるの?
 ■音波,超音波は効果的か?
5 歯周病原性細菌への抗菌薬の使用
 ■全身投与は効果的か?
 ■局所投与と全身投与の違いは?
6 歯周治療に用いられる抗菌薬
 ■歯周治療に抗菌薬は可能ですか?
 ■どんな症例に有効なの?
7 抗菌薬の全身投与
 ■何をどのように投与すればよいのか?
 ■歯周炎に対してどの程度有効か?
8 抗菌薬の局所投与(LDDS)
 ■LDDSとはどのような方法ですか?
 ■単独投与による効果はあるのか?
9 含嗽とイリゲーション
 ■うがいとイリゲーションは細菌へ影響するのか?
 ■歯周炎に有効か?
10 スケーリング
 ■スケーリングはどんな効果があるのか?
 ■スケーリングの為害性は?
11 ルートプレーニング
 ■ルートプレーニングとは?
 ■すべての根面に対してルートプレーニングは有効か?

XII 歯周治療と細菌

1 歯周基本治療による細菌の除去
 ■歯周基本治療は効果があるの?
 ■プラークは量が重要なのか?質が重要なのか?
2 フラップ手術による細菌の除去
 ■歯周外科治療後の変化とは?
 ■外科処置か非外科処置かはどのように決めるの?
3 メインテナンス
 ■メインテナンス治療とは?
 ■メインテナンス期間中にすべき事項とは?
4 歯周治療による口腔内細菌叢の変化
 ■口腔内細菌叢は歯周治療によってどう変化するか?
 ■簡便な評価方法はあるのか?

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