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今日,歯科医療の専門分化と社会環境の複雑化に伴い,幅広い見識と豊かな人間性,高い倫理観を有する歯科医療人が一層求められるようになった.その要請に沿うべく,2006(平成18)年4月より歯科医師臨床研修が必修化され,また,これと時をあわせるように,日本の歯科医学卒前教育の制度改革が行われてきた.その一つが,歯学教育モデル・コア・カリキュラムの作成であり,その到達度を評価する全国的なレベルによる臨床実習開始前の共用試験が2005(平成17)年12月に正式実施された.
すなわち歯学部学生は,臨床実習開始前の学習到達度をCBT(問題解決能力の客観的評価試験)やOSCE(客観的臨床能力評価試験)など,知識だけではなく技能や態度を合わせて評価されることとなった.日々の講義にはPBL(問題解決型学習)が取り入れられ,指導教員のもと自学,自習による研修が行われる.
本書は,歯科医師国家試験出題基準に沿う内容で,これまで3回改訂されてきた.その特徴は,記述を明確にする,項目を最小限にする,補綴学の必須項目をすべて網羅する,最新の知識を記載することである.今改訂では,この編集理念を継承し,さらに歯学教育モデル・コア・カリキュラムを歯科医師国家試験出題基準と整合させて,編集を行った.歯科補綴学の各分野における進展は,ますます加速しつつあるが,基本的な事項の理解なくして,その習得はますます困難になる.その意味で,本書が歯科学生のみならず歯科医師臨床研修医,あるいは生涯研修を目指す先生方にもお役に立つことを念願するものである.
最後に本書の刊行にご尽力賜った関係各位および南山堂編集部に感謝する.
2006年3月 編者代表 新谷明喜
第1章 概説
★1.歯科補綴学の意義と目的
★2.顎口腔系の形態と機能
1.顎顔面形態
A.顔
B.歯と歯列
C.顎および顎関節
D.筋
E.軟組織
2.心理的顎顔面要因
3.下顎運動
4.咬合
5.解剖学的要素
6.生理学的要素
7.咀嚼・嚥下・構音
8.口腔感覚
9.歯の喪失に伴う変化
10.加齢に伴う口腔の変化
11.高齢者の特徴
★3.歯科補綴治療と生体反応
1.咀嚼筋と顎骨・顎関節
2.歯と歯周組織
3.顎堤・粘膜
4.口腔内微生物との関連
5.歯科用材料と生体反応
6.歯科補綴治療とQOL
★4.歯科補綴用器材
1.検査機器・材料
2.補綴治療用機器・材料
第2章 クラウン・ブリッジ
★1.クラウン・ブリッジの特徴
1.クラウン・ブリッジとは
2.病因と病態
3.主要症候
★2.クラウン・ブリッジの診療手順
1.医療面接と診察
2.検査
3.評価と診断
4.治療計画を左右する因子
5.治療の到達目標
6.クラウン・ブリッジの要件
★3.クラウンの種類
1.全部被覆冠
2.一部被覆冠
3.歯冠継続歯(ポストクラウン)
★4.ブリッジの種類と設計
1.ブリッジの種類と構成
2.ブリッジの設計
★5.治療
1.患者教育・インフォームドコンセント
2.前処置
3.支台歯形成
4.テンポラリークラウン・ブリッジ(プロビジョナルレストレーション)
5.印象採得
6.顎間関係の記録
7.ワックスパターン形成(蝋型形成)
8.埋没
9.鋳造,ろう付け,熱処理,研磨
10.鋳造法以外の製作
11.口腔内試適と装着
12.術後管理(経過観察)
第3章 部分床義歯
★1.部分床義歯の特徴
部分床義歯とは
A.部分床義歯の目的と特徴
B.部分床義歯の構造
C.歯列の欠損様式の分類
D.部分床義歯の分類
E.部分床義歯の力学
F.支台装置(維持装置)
★2.部分床義歯補綴の診療手順
1.診察と診断
2.設計
3.印象採得
4.顎間関係の記録(咬合採得)
★3.製作
1.人工歯の選択
2.模型の前処置
3.支台装置の製作
4.連結装置の製作
5.人工歯の排列
6.歯肉形成
7.蝋義歯の試適
8.埋没
9.流ろう
10.重合
11.研磨
★4.部分床義歯の装着
1.口腔内装着
2.義歯装着後の長期管理
★5.金属床義歯
★6.特殊な部分床義歯
1.オーバーデンチャー
2.インプラント義歯
3.マグネットデンチャー
4.顎義歯
第4章 全部床義歯
★1.全部床義歯の特徴
1.全部床義歯とは
2.障害の病因と病態
3.全部床義歯の維持機構
★2.全部床義歯補綴の診療手順
1.診察と診断
2.設計
3.印象採得
4.作業模型
5.顎間関係の記録(咬合採得)
★3.製作
1.人工歯の選択
2.人工歯の排列
3.歯肉形成
4.蝋義歯の試適
5.埋没と重合
6.咬合調整(削合)と仕上げ
★4.全部床義歯の装着
1.口腔内装着
2.義歯装着後の長期管理
★5.金属床義歯
★6.特殊な全部床義歯
第5章 インプラント
★1.インプラントの基本構造
★2.診療手順
1.一般的診察
2.評価と診断
A.顎骨の評価
B.診断用ワックスアップと補綴診断
C.インプラントの適応症と禁忌症
D.初期計画の立案
E.インフォームドコンセント
F.前処置
3.補綴装置
4.治療の到達目標
インプラント治療成績の評価基準の変遷と現状
★3.治療
1.手術前のインフォームドコンセント
2.インプラント埋入手術(一次手術)
3.二次手術
4.印象採得と咬合採得
5.上部構造の装着
★4.治療後のメインテナンス
1.予後に影響する因子
2.メインテナンス
索引