2009年11月臨時増刊号 Vol.60

「薬局」2009年11月臨時増刊号 Vol.60
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女性の健康支援
「薬局」Vol.60 11月臨時増刊号

  • (株)ジェンダーメディカルリサーチ 代表取締役 宮原富士子 著
  • アクアイナス大学(米国ミシガン州) 松本佳代子 著
  • 広島大学病院薬剤部 柴田ゆうか 著

定価:3,456円(本体3,200円+税8%)

  • B5判 238頁

概要

薬剤師の方が女性の生涯にわたる健康づくりをサポートするために必要な知識や情報が満載.
「確認ポイント」で理解の程度を確認できます.
「知っておこう」「お役立ち情報」など,実践の場で大いに役立ちます.

序文

 女性医療の領域は,この数年で非常に大きな進展がみられました.2007年(平成19年)4月に策定された「新健康フロンティア戦略」において,「女性の健康力」が柱のひとつに位置づけられ,女性が生涯を通じて健康で明るく,充実した日々を自立して過ごすために,生活の場(家庭,地域,職域,学校)を通じて,女性のさまざまな健康問題を社会全体で総合的に支援することが重要であると提言されています.厚生労働省では,毎年3月1日〜3月8日までを「女性の健康週間」と定め,女性の健康づくりを国民運動として展開することとしています.また関連学会である日本更年期医学会,国際閉経学会では,21世紀を目前に高齢化社会の到来を受け,今後更年期の健康に関わる情報を全世界へ提供する日として,毎年10月18日を「世界メノポーズデー」と定め,日本でも10月18日〜24日までの1週間を「メノポーズ週間」とし,さまざまな活動を行います.
 女性を対象とした医療に関しては,1990年以降さまざまな専門家の動きがありました.1990年代から普及している「更年期外来」,2000年代になり女性の特性を考慮した医療:gender specific medicineが認知されるようになり,日本では「女性外来」が各地に普及しています.実地医療で具体的に女性医療をどのように進めるかについては受け側・提供側のいずれにおいても,また両者間において解決すべき課題は多く残されており,関係医療者の努力により少しずつであるが前進しているといえます.
 このような背景の中で,薬剤師(特に保険薬局やOTCを取り扱う薬剤師,ドラッグストア等勤務の薬剤師)は,その職責をどこまで果たせるのでしょうか? 残念ながら,大学薬学部の講義の中で,女性医療領域,あるいは性差医療領域をとりあげて履修できる薬学部はまだそれほど多いとはいえません.例えば,学生が一番ターゲットとなる年代である「受胎調節(経口避妊薬)」であったり,究極の女性のプライマリケアである「更年期以降の女性の健康管理」をトータルで指導できるまでには至っていないのが現状です.薬剤師は,これらの領域で本来の力を発揮できる能力と機会を持ち合わせながら,その知識と経験の乏しさから国民の期待にいまだ十分に対応できているとはいえないと考えています.
 まもなく,保険薬局においても実務実習が始まります.保険薬局では,病院とは違い,疾病に罹患した患者のみならず,疾病の予防や健康管理に関しての情報を求めて多くの方が訪れます.保険調剤の技能と知識だけではなく,公衆衛生(疫学)の知識や生活習慣,保健教育まで幅広い知識が求められるようになってきており,薬局としては,地域の健康に関するゲートキーパー的機能が求められ,薬剤師には,その役割りを満たすだけの職能が必要になってきています.
 本書では,女性医療の情報を集約し,また技能として発揮できるように多くの情報源や模範トークなどを掲載しています.また自分たちで履修内容や学習の進展がチェックができるよう,巻末にセルフチェック表も掲載しました.来年から本格的に始まる実務実習にも小単元ごとに活用できるよう,できる限りひとつずつの単位を小さく設計してあります.
本書をぜひご活用いただき,1人でも多くの薬剤師が女性医療の発展に寄与していただけることを期待しています.


2009年10月
著者を代表して
宮原 富士子



目次

1 女性の健康支援をめぐる社会的資源を理解し,実践で活用する
 行政の施策の理解と実務での連携と実践
  1.健康日本21および健康増進法
  2.健やか親子21
  3.男女共同参画2000年プラン(生涯を通じた女性の健康支援事業)
  4.性感染症に関する特定感染症予防指針
  5.女性の健康づくり支援
 医療機関の機能を理解し,連携体制を充実する
 自治体の保健福祉事業を理解し,連携体制を充実する
  1.保健所,保健センターなどの機能
  2.健康診査の母体となる老人保健法
  3.女性とがん検診
  4.骨粗鬆症の検診と予防教育
  5.特定健康診査・保健指導
 まとめ

2 “月経のしくみ”と“女性ホルモンの変化と役割”を理解し,適切に支援する
 女性の生殖器
 女性ホルモンの働き
 女性ホルモンの分泌と月経のしくみ
 排 卵
 ライフイベントと女性ホルモン
  1.思春期
  2.妊 娠
  3.避 妊
  4.月経移動
 セルフケア・セルフチェックの指導
  1.月経の記録管理
  2.基礎体温
  3.月経用品
  4.月経痛の緩和〜受診勧告を念頭に〜

3 月経でわかる身体のトラブルを理解する
 月経と社会システム
 月経に関連する症状・疾患
  1.月経痛
  2.月経困難症
  3.月経前症候群
  4.月経異常
 薬物療法
  1.GnRHアゴニスト
  2.ダナゾール療法
  3.ルナベル配合錠および低用量ピル
  4.カウフマン療法
  5.ホルムストローム療法
  6.鎮痛剤
  7.漢方薬
  8.鉄 剤
  9.その他
 生活面でのアドバイス

4 月経関連用品や基礎体温計について説明できる
 月経用品(生理用ナプキン・月経専用ショーツ・タンポン)
  1.月経時の経血
  2.生理用ナプキン
  3.月経専用ショーツ
  4.タンポン
 おりものシート
 デリケート部位のかぶれ・かゆみに関する製品
 低刺激洗浄剤,腟内洗浄ビデ
 月経の記録
 基礎体温計と基礎体温表

5 性感染症の自覚症状および予防と検査,治療が説明できる
 女性の性感染症の問題点と特徴
 統計データから見る日本の現状
  1.初交経験の若年化
  2.性感染症の現状
 行政の施策
 発生の予防および蔓延の防止
  1.教育および啓蒙
  2.コンドームによる予防
  3.自覚症状の認識
  4.検 査
  5.受 診
 性感染症の特徴と治療方法
 HPVワクチン
 性感染症の薬物治療における服薬指導のポイント

6 受胎に関わる事象を理解する−妊娠前(不妊を含む)〜妊娠期−
 妊娠する前から心がけたい健康管理・健康づくり
  1.自分の身体の状態を知る
  2.妊娠可能な時期を知る
  3.母体の健康に留意した生活環境を整える(栄養摂取や禁煙)
  4.地域の産婦人科の情報を集める
 妊娠と気づいてから確定に至るまで
 妊娠期
 不妊症

7 受胎調節を理解する−避妊−
 妊娠を予定しないときの予防法(避妊法)
  1.避妊法の種類と特徴
  2.低用量ピル
  3.わが国未承認の避妊法
 避妊に失敗した可能性のあるときの対処法(緊急避妊法)
 意図しない妊娠の対処法(人工妊娠中絶)

8 周産期医療と産褥期の生理・薬剤適応・健康管理を理解する
 周産期医療の実態と理解
  1.基本用語の確認
  2.周産期に関する統計
 陣痛・分娩の生理と薬剤適応
  1.基本用語の理解
  2.子宮収縮抑制・陣痛促進に関係する薬剤
 産褥の生理と健康管理
  1.基本用語の確認
  2.産褥期の健康管理

9 産褥期・産後の健康管理と薬剤適応および母子感染症を理解する
 産褥期・産後の排尿障害(尿失禁)
  1.女性の尿失禁に関する診療ガイドライン
  2.産褥期・産後の尿失禁の疫学
  3.日常生活での注意事項(生活指導)
 尿路感染症
 妊娠中や産後に起きやすい痔疾患(肛門症状)
  1.妊娠中や産後に起きやすい痔の種類と特徴
  2.痔の予防や治療に関連する生活習慣
  3.痔疾患の薬物療法
 便秘(妊娠中から産後)
 主な母子感染症
  1.風疹ウイルス
  2.トキソプラズマ
  3.サイトメガロウイルス(CMV)
  4.単純ヘルペスウイルス(HSV)
  5.B型肝炎ウイルス(HBV)
  6.C型肝炎ウイルス(HCV)
  7.水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)
  8.B群溶血性連鎖球菌(GBS)
 まとめ

10 授乳に関連した母体および出生児の健康管理と行政のサポートシステムを理解する
 乳汁分泌の生理
  1.乳腺の発達と解剖生理
  2.母乳の分泌
 授乳に関連する乳房のトラブル
  1.乳汁分泌不全
  2.うっ滞性乳腺炎(乳汁うっ滞)
  3.化膿性乳腺炎
  4.乳腺膿瘍
 授乳と月経(産後の月経の再開)
  1.授乳と月経についての基本用語
 ドパミン作動薬による乳汁分泌の抑制
 乳汁分泌を促進する薬
 授乳中の薬剤投与(乳汁中への薬剤移行)
 薬物の母乳への移行率
 授乳関連用品
  1.母乳に関する基本情報
  2.粉ミルクに関する基本情報
  3.粉ミルク以外の産後ケア製品(赤ちゃん用)
  4.粉ミルク以外の産後ケア製品(母親用)
  5.アレルギーと妊娠中,授乳期の食事制限
 母子保健行政21世紀の流れ
  1.母子保健行政の流れと主な母子保健施策
  2.周産期・産後の母子保健と健やか親子21の国民運動計画
  3.主な母子保健施策
  4.乳幼児を対象とする主な公費負担医療

11 子宮がん,卵巣がんの早期発見と患者のQOLが考慮された治療を支援する
 女性特有の悪性新生物に関する疫学
  1.死亡率の年次推移
  2.5年生存率と早期発見の重要性
 子宮がん
  1.子宮の解剖と2つの子宮がん
  2.子宮がん検診の内容と子宮がんが疑われたときの検査
  3.子宮がんが疑われるときの初期症状:2つの子宮がんの違い
  4.子宮がんの治療の概要
 卵巣がん
  1.卵巣の解剖と卵巣がんの種類と予後
  2.卵巣がんが疑われたときの検査
  3.卵巣がんが疑われるときの初期症状と発見が遅れたときのリスク
  4.卵巣がんの治療の概要
  5.卵巣がんの治療に使用される薬物療法
 薬剤師のできる支援:病棟での支援,退院時の指導,退院後の指導
  1.脱 毛
  2.性生活に与える影響
  3.排便・排尿障害
  4.卵巣欠落症状
  5.リンパ浮腫

12 乳がんの早期発見と患者のQOLが考慮された治療を支援する
 乳がんの現状(罹患率と死亡率の推移)
 乳がんの健康教育と乳がん検診(行政との関わり)
  1.乳がんの予防のための健康教育とその背景
  2.視触診とマンモグラフィ法
 乳がん検診
  1.乳がん検診の方法
  2.乳がん検診の受診と注意点
  3.乳房管理
 乳がんの局所症状,好発部位,リスクファクター
  1.主な乳がんの局所症状
  2.好発部位
  3.リスクファクター
 乳がんの診断
  1.検査・診断方法
  2.乳がんの組織学的分類
  3.乳がんの病期分類と生存率
  4.乳がんの転移と検査
 乳がんの治療法
  1.乳がんの主な治療法の概要
  2.手術療法
  3.化学療法
  4.内分泌療法(ホルモン療法)
  5.放射線療法(乳房照射)
  6.モノクローナル抗体療法
  7.乳がんにおける治療効果判定基準
  8.乳がんの骨転移に対するビスホスホネート製剤
 悪心・嘔吐対策
 乳房再建術
 患者支援のためのQOL向上に役立つ情報
  1.乳がん専用ブラジャー
  2.リハビリテーション
  3.患者のためのサポートグループ
 まとめ

13 更年期世代女性の体調・生活習慣,疾病背景を理解し,適切に支援を行う
 更年期世代女性の健康
 更年期世代女性の健康相談のニーズ
 閉経・更年期の知識
 更年期(女性)医療と薬物治療
  1.HRT(HT)の服薬支援
  2.骨粗鬆症の治療と服薬支援
  3.排尿障害の治療と服薬支援
  4.子宮脱・膀胱脱・直腸脱・性交障害
 介護と更年期世代女性

14 セルフメディケーション支援ツールが説明できる
 たばこ(禁煙指導と無煙環境づくり)
  1.禁煙指導法
  2.ニコチン代替療法
 歯と口の健康
  1.歯ブラシの種類と選び方
  2.歯間清掃用具
  3.電動歯ブラシ
  4.歯磨剤
  5.洗口剤(マウスリンス)
 糖尿病
  1.血糖自己測定器
  2.一般用尿糖,尿蛋白検査薬
 循環器病(血圧の管理)
  1.高血圧の治療対象と降圧目標
  2.家庭血圧
  3.家庭におく血圧計(家庭血圧計)の選び方
  4.ABPM
 がん(郵送検診)

15 薬剤師が行う栄養指導・運動指導を理解する
 日本人の食事摂取基準(2010年版)
  1.推定エネルギー必要量
  2.食事摂取基準の各指標
  3.策定したエネルギーと栄養
  4.年齢区分
  5.ライフステージ
 食事バランスガイド
 薬局で薬剤師が行う食習慣のアセスメントと指導
 健康食品・保健機能食品・サプリメントの定義と留意点
 健康づくりのための運動基準・指針
 ロコモティブシンドローム
 適正体重の維持
  1.BMI
  2.体脂肪率
  3.リスクファクターとしての内臓脂肪型肥満
  4.ヘルスメーターの選び方
  5.塩分測定計
  6.アルコール
  7.HbA1c,コレステロール測定値

付 録 女性の健康支援:スキルアップのためのセルフチェック

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