UCSFに学ぶ できる内科医への近道

UCSFに学ぶ できる内科医への近道

書評

これ一冊で代表的内科疾患を戦える

仲田和正 先生 (医療法人社団健育会西伊豆病院)

「UCSFに学ぶ できる内科医への近道」の第4版が出版されました.
UCSFとは山中克郎先生が総合診療を勉強されたカリフォルニア大学サンフランシスコ校の事です.
過去10年の間にこまめに改訂され,大変使い勝手の良い本になっています.
この歳で言うのも何だけど,表紙が「チョーかわいい!」.

表紙の見返しには日常頻用する数式(クレアチニンクリアランス,浸透圧,アニオンギャップ,BMI,eGFRノモグラムなど)がまとめて掲載されているのは大変便利です.

また最初の方に,緑ページの「鑑別診断一覧表」があるのもとても助かります.
例えば「空洞を有する肺病変」「昏睡のAIUEOTIPS」「胸水」「腹水」など,
外来でとっさに参照できます.

そして救急でよく使う薬剤(ノルアド,ドブトレックス,イノバン,ペルジピン,ニトログリセリン,ドルミカムなど)の持続投与量早見表も最初にまとめられており,まるで自分の診療を見透かされているような気がします.
大動脈解離で即座の転送時,あせりまくっているときの薬用量決定がらくちんです.患者さん入院後の指示出しもだいぶ短縮できます.
筆者たちが,「救急外来で真に必要とする知識」をまとめたのだということがよくわかります.

本文は代表的内科疾患ごとに重要かつアップデイトなポイントが満載です.
FUO,肺炎,UTI,喘息,冠動脈疾患,脳血管障害,DMなどの診断から具体的治療までが要領よくまとめられています.

後半の100ページほどは,疾患別問題となっていますが,実はこれこそ臨床のパール集ともいうべきもので,知っていれば必ず役に立つものばかりです.是非精読,怒涛の反復をお勧めします.これであなたは必ずカンファでひときわ目立つ存在となることでしょう.

巻末は薬剤師によって書かれた頻用薬剤一覧表です.
医師とはかなり違った視点で書かれており「へーっ」と思うことが大変多いのです.つくづくinterdisciplinary(学際的)な視点を持つことは重要であるなあと思いました.

例えば,温湿布はパップ剤に含まれる水分蒸発で貼付後,温度は下がる,アスピリンアレルギーは練り歯磨きで誘発されることがある,ガスターは腎障害で減量が必要,プリンペランは脱水で腎不全時,副作用発現が高まる,タンナルビンは牛乳アレルギーで禁忌など,知らないことばかりでした.

ただ,抗菌薬については記載がありません.しかし最近は,抗菌薬については,
青木眞先生,岩田健太郎先生,矢野晴美先生方の良書が手に入るようになりましたので別に購入すれば済む話です.

ハリソンを読んでも薬の具体的用量までは書いてないし,ポケットには入らないし,これ一冊で代表的内科疾患をほぼ網羅し戦えてしまうというのがすごいです.是非,熟読をお勧めします.