いまどきの依存とアディクション

いまどきの依存とアディクション

プライマリ・ケア/救急における関わりかた入門

書評

宮道亮輔 先生 (聖路加国際病院救急部)

“「ゆるい指導」は,それを行う医師個人の「マイ人生哲学」に基づくものであって,医学的なエビデンスや妥当性から導かれるものではありません.”
 前文でこの文章を目にしたとき,私は自分の診療態度を見透かされたようでびっくりしました.そして本文を貪るように読み進めました.
 救急外来には,危険ドラッグの使用やリストカットなどで患者さんが日々受診されます.また,入院した患者さんにアルコール離脱症状が出現してびっくりすることもあります.それらの患者さんに自分なりに対応してきたつもりですが,他の疾患や症候について勉強するほどは,依存やアディクションについて勉強したことはありませんでした.まさに「マイ人生哲学」に基づいて診療し,成功や失敗を繰り返してきたのです.
 本書では,アルコールやベンゾジアゼピン系,非向精神薬,OTC薬などの各種薬剤,その他のアディクションについて,診療所や病院,救急外来など,さまざまな状況で働くプライマリ・ケア医と精神科医の思考過程が,根拠をもって示されています.我々が診療において直面する司法上の問題や警察との関係などについても記載されており,実際に患者さんを診る視点で書かれていることが感じられ,とても役立ちます.
 アルコール依存の患者さんやその家族からのメッセージも載っており,医師の何気ない一言が患者さんや家族を苦しめていることを再認識しました.
 依存やアディクションに対応しているが,これまできちんと学んだことがない私のような人には特にお勧めです.また,依存やアディクションの存在に何となくは気づいてはいるが見て見ぬふりをしている人や全く気づいていない人にもお勧めですので,周囲にいたら勧めてみてください.
 本書を読んで,私の中で依存とアディクションへのアンテナが敏感になり,スクリーニングや専門医への紹介へのハードルが下がりました.今日からの診療で活かしていこうと思います.