ポリファーマシー見直しのための医師・薬剤師連携ガイド

ポリファーマシー見直しのための医師・薬剤師連携ガイド

書評

葛谷雅文 先生〔名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学・老年科学講座(老年内科)教授〕

 この『ポリファーマシー見直しのための 医師・薬剤師連携ガイド』は医師と薬剤師が連携してポリファーマシーに対処するための実践的な手順書である.ポリファーマシーの概念を5,6種類以上の単なる多剤服用(処方)と捉えがちである.実際international journalで現在もpolypharmacyの多くの定義は5種類以上の処方数としているケースが多い.しかし多病を抱える高齢者では一人で複数の病気を抱えているケースが多い.できる限り不適切な処方を削減し薬剤数を減らす努力はするものの処方数が増え罪悪感を持ちつつ処方をしている先生方もおられるのではないだろうか.この問題は裏腹で薬剤を減らすことにより患者にとってデメリット(過小医療)にもつながるケースがある.無駄(患者にとって不利益)な薬剤は積極的に削減すべきではあるが「単純に数だけの問題ではないよな」と私も心の中で思っていた.
 今回この本ではポリファーマシーを多剤処方とは分けて「有害事象につながるなどあらゆる不適切な薬剤使用」と定義された.私もこの考え方に賛成である.
 本書では各診療の場での医師・薬剤師連携のアクションチャートが示され現場でも参考になる.また多くのクエスチョン(Q)が立てられシステマティックレビューは実施していないとはいえ,報告に基づくポリファーマシーへの対応・連携方法,日常的に頻繁に使用する薬剤の基本的な情報や注意点がしっかり書き込まれており医師にとって日常診療の手引書としても大変有用である.さらに22の症例では主に医師と薬剤師とのやり取りの事例が記載されており現場での連携のあり方の参考となるに違いない.
 まずは医師は薬剤師の方々と連携することによるメリットを十分認識することが重要であると思う.本書によりポリファーマシーの理解が深まり医師・薬剤師連携が進展し何よりも患者さんたちが適切な薬物療法を受けることにつながることを祈願する.