小児・思春期の頭痛の診かた

小児・思春期の頭痛の診かた

これならできる!頭痛専門小児科医のアプローチ

書評

五十嵐 久佳 先生(富士通クリニック 内科(頭痛外来)/北里大学医学部 客員教授)
 
 本書は,日本の小児・思春期頭痛診療におけるトップエキスパートの先生方によってまとめられた待望の書である.私は頭痛専門医として30年以上,主として成人頭痛患者さんの診療にあたっているが,小児科で適切な頭痛の診断・治療がなされず,学校でも理解されないまま困って頭痛外来に連れてこられる子供たちも多い.
 監修にあたられた筑波学園病院小児科(東京クリニック 小児・思春期頭痛外来でもご勤務)の藤田光江先生は長い間,日本頭痛学会理事として小児・思春期の頭痛医療を牽引なさっていらした方である.藤田先生とは20年以上に渡るお付き合いで,常に小児の頭痛について教えていただき,私にとって尊敬する小児・思春期頭痛診療の師である.当初は“小児の頭痛”といえば藤田先生(しかいない!)であったが,気が付けば東京都済生会中央病院小児科部長の荒木清先生,広島市立広島市民病院小児科部長の桑原健太郎先生をはじめとする志の高い小児科の先生方が集まり,心強い限りである.
 小児・思春期の頭痛は,成長期ならではの問題,学校や家庭での問題など成人とは異なる観点からのアプローチが必要になることが多い.また,薬物治療を行う場合には投与量や保険適用の問題など保護者の同意も含め十分な説明が必要となるため,小児の医療に慣れない医師にとっては頭が痛くなることもある.
 本書は,第1章,第2章で小児・思春期の頭痛の特徴と診断について記載され,特に問診のしかたについて,患児とのコミュニケーションの取り方や学校自己採点法など,成人の診療を主とする私には“目から鱗”のテクニックが満載である.第3章の小児・思春期の頭痛の治療では,生活指導,薬物療法についてエビデンスを含め,詳細に解説され,また一歩も二歩も踏み込んだ先生方の日常診療の具体的内容(これが実に面白いんです)が惜しげもなく記載され,すぐにでも実践できる(実践しよう!)内容にあふれている.小児に多い耳鼻科領域の頭痛についても,専門医により多数の例が示されており,至れり尽くせりである.
 本書は,頭痛専門医はもちろんのこと,多くの小児科医,さらにはプライマリ・ケア医にお読みいただき,是非,先生方の日々の診療に活かしていただきたい.小児・思春期の頭痛(患児)を理解し,治療できる医師が増えれば子供たちに笑顔が戻るであろうし,両親の心配も減るであろう.頭痛もちの親であれば頭痛が減るかもしれない.頭痛を抱えた子供たちがこれからの人生を乗り切っていくことができるように,多くの医師に勧めたい名著である.