小児・思春期の頭痛の診かた

小児・思春期の頭痛の診かた

これならできる!頭痛専門小児科医のアプローチ

書評

小児の頭痛を診察する方ならぜひ持っておきたい1冊

高橋孝雄先生(慶應義塾大学医学部小児科学教室 教授)

 頭痛は,小児,思春期の小児科日常診療で頻繁に遭遇する主訴のひとつです.その反面,主観的な主訴であることや,しばしば患児が自分の訴えをうまく伝えられないこと,鑑別疾患が多岐にわたることから,頭痛の診察を苦手としている医師が多いのも実情です.本書は第一線で活躍する頭痛診療を専門とする小児科専門医が,小児の頭痛について,わかりやすくかつ科学的に解説した良著です.
 まず冒頭では,頭痛の国際分類,そしてわが国における小児の頭痛の疫学的データが紹介されています.特に,男女別・学年別の各頭痛型別の有病率が大変見やすく整理されています.これは,患者さんやご家族への説明などの際に活用できると思います.
 頭痛の診断では,日常診療でどの程度,またどのように精査をすべきか判断に迷うことがしばしばあります.そこで本書では,第2章以下で,実際の臨床の場面でどのように系統的に頭痛の鑑別を行うかが,フローチャートを駆使してとてもわかりやすくまとめられています.頭痛の診療では,診察,特に問診が重要です.本書では,問診のポイントについて,具体的な症例を織り交ぜながら多くのページが割かれて,詳細に解説されています.この中では,問診票の活用法や実際の問診のテクニックなど,明日から診察現場で使ってみたくなるような「プロの技」が豊富に紹介されています.また,頭痛の診療で見逃してはならない脳腫瘍などに伴う二次的頭痛についても,実際の頭部画像写真を豊富に取り入れながら例示されています.長期的な頭痛管理においては,頭痛ダイアリーをうまく活用することがポイントです.本書では,この頭痛ダイアリーについても,種類や項目,活用法などについて詳説されています.
 本書の後半半分は,頭痛の治療について最新の科学的知見に基づいた解説がされています.非薬物治療についても十分なページが割かれ,具体的にどのような生活指導をしたらよいかが挙げられており,日常診療でそのまま使えるようになっています.薬物治療についても,新薬のみならず漢方薬まで含めて,最新のエビデンスに基づいた投薬基準や薬剤の選択について述べられています.
 思春期の起立性調節障害に伴う頭痛も日常診療でよく遭遇する主訴ですが,不登校や家庭環境の問題などが背景にあることも多く,忙しい日常診療の中で十分に対応することが難しいもののひとつです.本書では思春期の起立性調節障害に伴う頭痛,それに伴う学校や家庭の社会心理的因子について,フローチャートやチェックリストを活用して,効率よく系統的なアプローチできるように解説がされ,具体的な具体的処方例も提示されています.
 初学者のみならず,頭痛診療をもう一度整理して勉強したい方にも,ぜひ手にとっていただきたいお薦めの一冊です.