インドシアニングリーン蛍光眼底アトラス

インドシアニングリーン蛍光眼底アトラス

フルオレセイン蛍光眼底との比較

書評

竹田 宗泰 先生 (市立札幌病院眼科 部長)

本書は243ページとコンパクトなインドシアニングリーン蛍光眼底造影(以下IA)のアトラスである.IAは失明が増加している加齢黄斑変性などの脈絡膜新生血管の検出や脈絡膜疾患の診断と治療に必須の検査法になっている.序に述べられているように,著者は1990年の第1回日本ICG蛍光造影研究会以来,各種疾患のIAによる詳細な分析を続けてこられた.本書はIAについて第一人者である著者らのこの10年間の経験の集大成である.
本書の構成は基礎編と臨床編に分かれている.基礎編では脈絡膜の解剖から始まり,インドシアニングリーンの動態,ICG蛍光造影の原理,撮影装置,撮影の実際,造影所見の解釈まで丁寧に述べられている.ここでフルオレセイン蛍光眼底造影(以下FA)との相違,撮影の実際のほか,IA所見の読影の基本が理解できる.
IAはFAに比べると,血管の密度が高い脈絡膜血管を対象とし,画像の解像度も今一歩であるため,異常の判定基準が必ずしも明確でなく,検者により解釈が異なったり,取っつきにくい.しかし,本書を手にとってみると,脈絡膜新生血管の検出,特発性ポリープ状脈絡膜血管症,多巣性脈絡膜炎など脈絡膜疾患ばかりでなく,臨床編でIAが役に立つ網膜疾患まで網羅しているにもかかわらず,非常にわかりやすい.これは自験例をもとに,現在最も妥当で実際的なIAの解釈を要領よく記載しているためと思われる.記述はとりあげたすべての疾患に対してFAと対比し,臨床所見,FA,IAの所見と解釈,IAの意義の5項目に分けて,要点をもらさず,簡潔にまとめていること,写真も大きく,見開き2ページに収録しており,読みやすい.
眼底疾患は病期や程度により非常にバリエーションが大きいが,眼底専門医や研修医には本書を座右において,目の前の症例の読影を積み重ねていただきたい.また一般臨床医にとっても記載症例の1つひとつを読んでいくと,IAがいかに重要な検査であるか理解できる.