向精神薬と妊娠・授乳

向精神薬と妊娠・授乳

書評

うつ病やパニック障害などを持つ女性診療に強くなれる!

うつ病やパニック障害などを持つ女性診療に強くなれる!

中山明子(大津ファミリークリニック/洛和会音羽病院 家庭医療科)

 妊娠や授乳の時期の女性がうつやパニックに悩んでいるケースはたくさんありますが,その相談に乗れるための知識が本書には網羅されています.妊娠を計画するときにどう伝えるか,妊娠中はどうサポートするか,授乳中は何に気をつけるかなど,薬の話だけではなく,疾患概念や多面的な援助の仕方が示されています.
 精神科領域にとどまらない妊娠・授乳期に関する基礎知識的な部分はもちろん,SSRI・SNRI,三環系抗うつ薬やベンゾジアゼピン,抗てんかん薬などに関するエビデンスをしっかりと記載しています.
 また,周産期の精神障害として特有の産褥精神病やボンディング障害,特定妊婦や胎児虐待などで気をつけることもわかりやすく記されています.
 何より役に立つのは,それぞれの疾患を症例ごとに具体的な記載があり,妊娠前(計画妊娠・偶発妊娠の事例)・妊娠中・授乳中の場合など,ケースでわかりやすく書かれている点です.
 この本があれば妊娠・授乳に苦手意識のある精神科の先生方や,精神科疾患に苦手意識のある産婦人科の先生の女性診療の能力がさらに強化されるのではないでしょうか.そして,精神科医・産婦人科医はもちろん,プライマリ・ケア医にも明日から使える内容となっています.是非,診察室に一冊,手の届くところに置いておくと役に立つ本だと思います.