演習で学ぶ 災害看護

書評

特定非営利活動法人 災害看護支援機構
理事長 山﨑 達枝

1995年1月に発生した阪神淡路大震災から本年までの16年間に,新潟県中越地震・石川県能登半島地震・新潟県中越沖地震・岩手宮城内陸地震と,国内の地震災害だけでも複数回発生し大きな被害に繋がっています.わが国における今日の災害医学・看護の発展は過去の災害,特に阪神淡路大震災の教訓が生かされ大きく進歩してきました.その結果,2009年には看護基礎教育において統合分野に災害看護が導入されることになりました.

地震のように広域に影響を与え被害を及ぼす災害では,コミュニティーの適応限界を超え人・物・環境は破棄され,ライフラインは途絶えてしまいます.突然に発生する傷病者への救急看護,避難所では避難生活を余儀なくされる被災者への生活支援等々が求められます.「災害の体験者の少ないなか,災害という特殊な状況下を理解でき,看護の専門知識・技術を被災者に提供できるだろうか?」,「災害発生直後から災害現場で看護職として対象に合う看護実践ができるにはどうしたらよいのか?」という疑問を近年,多くの看護師が感じていると思われます.

その答えは何より,より実践的な訓練・演習を行うこと以外にその手段はありません.より現場に即した臨場感のある訓練・演習を行うことが重要です.そこで,より実践的な演習が行えるようにと作成された本書を紹介したいと思います.何より本書の特徴は「演習で学ぶ」とタイトルにも書かれてあるように,①演習の目標, ②演習の準備 ,③演習の方法 ,④演習で用いる知識と技術,⑤演習の評価とポイントを一つひとつ丁寧に写真・図・イラストなどを使って大変分かりやすく書かれていることです.

急性期の災害現場でのトリアージや応急処置,施設の傷病者の受け入れにとどまらず,災害中長期の支援,障害のある人とコミュニケーションを取る方法や特に高齢者への生活支援など,内容は豊富で非常に幅広くとらえられまとめられています.