妊娠と授乳

薬物治療コンサルテーション

妊娠と授乳

書評

髙久史麿 先生(日本医学会 会長)


伊藤真也,村島温子両氏の編集による『薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳』改訂第2版が刊行された.

私はもともと血液内科医であり産科,婦人科に関しては全くの素人であるが,最近,胎児におこったepigeneticな変化や出生直後の栄養状態が成人期の様々な疾患の発症に関与する事が話題になっており,妊婦,授乳期における健康管理の重要性を改めて認識した事もあって,あえて本書の書評をお引き受けする事とした.

本書では妊婦,授乳期における健康管理の中でその題名に示されているとおり,薬物治療を中心に具体的な対応が示されている.677頁を超える分厚い本であるため,到底全部は読みきれず,第1章の総論を読み,第2章の妊娠期における医薬品情報に関しては一部の薬品に目を通しただけであるが,総論の部分では「1.産科医療の基礎知識」,「2.授乳と薬の基礎知識」,「3.妊婦・乳児の薬物動態」,「4.妊婦・授乳婦に対する医薬品の情報源」,「5.妊娠・授乳と薬カウンセリングの実際」,の5項目に関して極めて詳細な記載がなされている.その中には統計学的な手法に関する解析,諸外国の情報なども含まれている.その中で私が注目したのは「4.妊婦・授乳婦に対する医薬品の情報源」の中の「日本における医薬品添付文書の記載要領と問題点」の項であり,特に問題点に関しては専門外の私にとっても納得のいく点が多かった.

第2章の「妊娠・授乳期における医薬品情報」の章では極めて多数の薬剤の各々に関して非妊娠期,妊娠期,授乳期にわけて有効性などが述べられており,関係する医療者にとって必携書といっても過言ではないと思う.

また,第2章の医薬品情報は妊婦,授乳婦および家族の方々にとっても有用な情報を提供しているといえよう.

第2版は編集代表者が述べられているように,4年前に刊行された初版に最近の知見を加えてより充実したものになっており,わが国の最新,最高の情報を掲載している専門書であると信じて,できれば多くの方々に読んでいただきたいと願っている.