薬剤師よ,心電図を読もう!

薬剤師よ,心電図を読もう!

書評

阿南 節子(同志社女子大学薬学部 教授)

本書は、南山堂の月刊誌「薬局」に掲載されていた「薬剤師よ、心電図を読もう」という連載が、内容をバージョンアップし一冊にまとめられている。
本書のストーリーは、患者への抗不整脈薬の説明に多少の困難を感じている薬剤師の大山ひろしと、研修医の奥村みさの2人によって進行する。2人が様々な臨床場面に遭遇し、そこでの経験や、会話の内容を通して、読者は心電図に関する知識をステップアップさせてゆくことになる。
コンテンツは19項目からなり、1~5は初心者でもわかりやすい心電図に関する説明と、具体的に薬剤師が心電図を臨床に生かす事例が書かれている。6~18の項目は、不整脈の見分け方、モニター心電図と12誘導心電図の関係、発作性上室頻拍、Sicillian Ganbitなど、初歩から一歩進んだ項目が会話形式でまとめられている。また、項目18には確認テストとして「卒業試験」が用意されている。さらに、それぞれの項目の最後には、その項目のポイントと「薬剤師に知ってほしいこと」が簡潔にまとめられている。
 心電図の読み方については、薬剤師教育の中ではあまり取り上げられていない。そのため、心電図の読み方については多くの薬剤師が「心電図が読めるようになりたい」、「でも心電図は苦手」と感じている。本書はそのような「心電図ってなんだか難しそう」という壁にブレーク・スルーを起こすと考えられる。
この本から、医師であり薬剤師ライセンスを持つ筆者の、「心電図を読むことを味方にして、薬剤師に臨床現場で活躍してほしい」という気持ちが伝わる。さらに、本書は、薬剤師だけでなく、研修医、看護師など様々な医療従事者にとっても有用と考えられる。