シンプルでわかりやすい 薬歴・指導記録の書き方

シンプルでわかりやすい 薬歴・指導記録の書き方

書評

木村 健 先生(兵庫医科大学病院 薬剤部長)

 薬剤師の使命はファーマシューティカルケアの実践である。ファーマシューティカルケアは「患者のQOLを向上させる確実な結果を目的とした責任ある薬物治療の提供」であり、確実な結果を示さなければ医療専門職としての使命を果たしていないことになる。
 実際に具体的な薬剤師の取り組みとしては処方設計への参画、薬物治療の有効性・安全性のモニタリング、ポリファーマシーの是正、アドヒアランスの向上など数多くの課題があるが、どの取り組みにおいても薬剤師の責任を示し確実な結果を出せているかどうかといえば不十分であると言わざるを得ない。
 薬剤師が介入しその職能を発揮したことを示すものは「記録」である。しかし、依然として薬剤師の現場では「時間がない」とか、「書き方がわからない」などの理由で記録が不十分な実態が続いている。すなわち記録がpoorであるということは、その取り組みもpoorであることを示している。
 本書「シンプルでわかりやすい薬歴・指導記録の書き方」はそのような薬剤師の悩みの解決の一助となる書である。記録の書き方としていろんなシーンを想定した実践の事例が詰め込まれている。また、日常的に困っているであろうことがQ&Aで書かれている点がとてもわかりやすい。著者らが薬剤師の職能を「みえる化」するために記録に対する思いと経験から得られた内容が本書をより説得力のあるものにしている。
 記録に悩んでいる薬剤師はぜひ本書を参考にしていただきたい。記録は何のために書くのかを意識してファーマシューティカルケアを実践することが薬剤師の職能アップへの近道である。