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「治療」2018年11月 Vol.100 No.11

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2018年11月 Vol.100 No.11
終末期の肺炎

定価:2,700円(本体2,500円+税8%)

今月の視点

悩ましい終末期の肺炎に総合診療医はどう向き合うか?

 皆さんは,この特集のタイトルをみてどのような印象をもつだろうか.「誤嚥性肺炎を繰り返す認知症の患者に対して,抗菌薬の投与をいつまで続ければよいのか悩ましい」だろうか.それとも「胃ろうの是非を本人の意思が確認できないまま決断することが悩ましい」だろうか.ひょっとしたら「NSTやリハビリはいつまで頑張ればいいのか悩ましい」という前向きなものかもしれないし,「敗戦処理のようなもので治療にやりがいを感じない.医師として無力感を感じて悩ましい」という後ろ向きな印象もあるかもしれない.そう,終末期の肺炎は悩ましいことだらけなのである.筆者は高齢化率38%の地域で180床の病院に勤務している家庭医療専門医であるが,この問題に直面するたびに「リハビリ介入や栄養管理が大事とはいえ,どこまで治療すればいいのか」,「胃ろうの決断をどうしようか」,「ほかの医師ならどうしているのだろうか」とあれこれ悩んでいるのが現状である.
 本特集は,そんな悩ましい終末期の肺炎を総合診療の視点でどこまでも深めよう,という企画である.そもそも終末期の肺炎とはどのような状態をいうのか.その線引きをどこに設定するのか,あるいは本当に線引きなんてできるのか.終末期の肺炎に抗菌薬を投与する以外の治療はあるのか,それはどこまでするのか,はたまた治療を差し控える基準はあるのか.家族に胃ろうに関して尋ねられた時に判断材料になるようなエビデンスはあるのか.
 読者の皆さんの悩みを解決するつもりが,却って悩ましくなってしまうかもしれないが,正しく悩むための判断材料や,治療の枠を超えた家庭医療のフレームワークを紹介しつつ,総合診療医が専門性を発揮する終末期の肺炎診療とは何かを考えていきたい.

[編集幹事]南砺市民病院 総合診療科 大浦 誠

特集の目次

■まずは治療の引き出しを増やそう
肺炎診断の難しさ(上田剛士)
肺炎治療の難しさ(川島篤志)
誤嚥性肺炎のABCDEアプローチ(森川 暢)
口腔ケア,食事中の体位,嚥下機能改善に向けた薬物選択について(川端康一)
オーラルフレイル,サルコペニア,リハ栄養(若林秀隆)
総合医だけでできる嚥下機能評価 ─非リハ職と取り組む多職種協同の経口摂取支援─(佐藤健太)

■それでも治せない高齢者肺炎
終末期診断の難しさ(荒幡昌久)
胃ろうや中心静脈栄養のエビデンス(矢吹 拓)
終末期肺炎のACP(川口篤也)
摂食嚥下リハビリテーションをいつまで続けるのか(前田圭介)
治療の差し控え・中止をめぐる法的問題(高乗智之)
最期の肺炎を迎えたときに何をすべきか ─緩和ケアの観点から─(柏木秀行,他)

■総合診療医の得意技を肺炎診療に活かそう
訪問診療のコツ(川渕奈三栄,他)
デバイスを上手に使おう(古屋 聡)
家族志向性アプローチの活用(大浦 誠)
交渉術(奥 知久)

連載

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~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~(20)
予想を裏切り,期待を裏切らない物語に,人々は拍手を送る 〜 Note 20.病院ことばを言い換える(後編)〜 (市原 真)