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「治療」2019年4月 Vol.101 No.4

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2019年4月 Vol.101 No.4
プライマリ・ケアの禁煙指導

定価:2,750円(本体2,500円+税10%)

今月の視点

 なぜ,プライマリ・ケアの現場に禁煙が必要なのでしょう.このような疑問を漠然と感じつつも,私は自分の勤務するコミュニティ・ホスピタルの禁煙外来で手順書をなぞって指導と処方を続け,再診外来ではかかりつけの患者に禁煙を勧めていました.
 そんな私の禁煙マインドセットを変える転機となったのは,2018年夏に日本プライマリ・ケア連合学会,台湾家庭医学会,韓国家庭医学会が合同で毎年実施する教育シンポジウムで日本側の演者として発表の機会をいただいたときです.この年のプライマリ・ケア交流のテーマとしてTobacco Control and Smoking Cessationが示され,多くの先輩方のご指導もいただきながら発表原稿をまとめました.3つの国がその禁煙施策の状況を紹介するなかで,日本は国と東京都が同時期に受動喫煙防止の法規を定めたこと,韓国はWHO(世界保健機関)のタバコ規制枠組み条約(FCTC)遵守に30年間取り組んでいること,台湾では歯科医による禁煙指導にも保険が適応となること,と相違が明確になりました.また,国を超えて疫学を紐解くと喫煙はほぼ唯一の心血管疾患,悪性腫瘍,肺疾患の3つにまたがる死亡寄与因子であり,解決には依存症の医学知識と患者の生活に食い込んだ喫煙習慣を解きほぐしていくプライマリ・ケア医の視点が必要になってきます.そしてまたまた地域に戻れば,“そもそも吸わない”青少年への禁煙啓発や,日本や世界で広がる加熱式タバコや電子タバコといった代替品へのコメントといった形で,プライマリ・ケア医の皆様は日常的に禁煙に対するあり方を問われていると思います.
 このたびは,プライマリ・ケアのもつ,社会,地域,個人の各座から論点を導き出し,禁煙という最も効果のある予防的治療の価値と実践に収束させていく特集にできればと思い,各章を第一級の実践家,専門家の先生方に執筆いただきました.最後までお楽しみいただけければ幸いです.

[編集幹事]飯塚病院 総合診療科/飯塚・頴田家庭医療プログラム 吉田 伸

特集の目次

■Update
新型タバコの特徴と健康影響 ─電子タバコ,加熱式タバコなど─(欅田尚樹)
受動喫煙・サードハンドスモーキング(松崎道幸)
世界の禁煙政策 ─FCTC とアジア各国の対策状況─(郷間 厳)

■総 論
ニコチン依存症とは(髙野義久)
喫煙と疾病(吉田 伸,他)
喫煙防止の政策と法律 ─最新の状況─(小田清一)
禁煙外来の保険診療と薬物治療(吉田 伸)
認知行動療法(松本朋樹)

■対象者ごとの禁煙マネジメント
メンタルイルネスのある患者への禁煙指導(井出広幸)
禁煙ドロップアウター(田原正夫)
禁煙外来だけじゃない ─禁煙外来非適応者へのセルフケア(OTC,喫煙衝動ケア)─(門田耕一郎)
若年者に対する禁煙外来の実践(中山明子)

■禁煙地域ヘルスケアプロモーション
病棟および敷地内の禁煙化 ─単科精神科病院における病棟,敷地内禁煙化の経緯から─(佐藤英明)
職場における禁煙指導の産業保健的アプローチ(柴田喜幸)
家庭 ─家族志向のケア,家庭内での喫煙の影響─(山内優輔)
学校 ─喫煙しないように先手を打つ啓発活動やピアサポート─(大澤 亮,他)
職域から始める地域全体への啓発活動(堤 円香)

■まとめ
患者中心の依存症ケア(吉本 尚,他)

連載

今月のお薬ランキング(37)
高尿酸血症・痛風治療薬(浜田康次)

プライマリ・ケア診療の幅を広げる飯塚☆漢方カンファレンス(6)
こじれた風邪には…… (吉永 亮)

映画で読み解く医療─シネメデュケーション(映画医療教育)─(4)
マイノリティに対するアプローチを考える(宇井千穂)