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「治療」2019年6月 Vol.101 No.6

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2019年6月 Vol.101 No.6
災害と地域医療
明日への備え

定価:2,700円(本体2,500円+税8%)

今月の視点

 2018年末に発表されたその年を締めくくる「今年の漢字®」はたいへんうれしくないことに「災」であった.
 2018年6月の大阪府北部地震から7月の西日本豪雨災害,9月の北海道胆振東部地震と災害は連鎖し,これまで災害に縁が薄いと思われた地域も被災して,日本のなかでどこが安全といえない状況も改めて浮き彫りになった.1995年の阪神淡路大震災,2011年東日本大震災,2016年熊本地震をみても,もっとローカルで起こった災害をみても,被災した地域では,現在もその影響が人びとの生活に大きく残っている.災害大国日本において,災害が現地の生活と医療にもたらす危機に私たちはどう対応したらよいのか?私たちのかかわる患者たちはしばしば高齢者であり子どもであり妊産婦であり,病者であり障害をもつ方であって,つまりは「災害弱者」である.災害弱者の安全が守られ,どの人も生き生きと生活できるシステムの実現,これこそが「地域包括ケア」であるはずだ.
 一方で,実は私たちも地域の一住民であり,実際の災害時には1)自らと家族の安全確保,2)自らの職場(医院)での安全確保と可能な限りの診療体制の確保,3)自らの関係する患者さんの安全確保,4)圏域の避難所の医療救護への協力,5)他機関への医療支援,と振る舞いをきちんと考えていく必要がある.これがつまり事業継続計画(business continuity plan:BCP)である.
 災害時,自らを含めて,災害弱者に最大限に配慮して,地域全体の安全が保たれるための仕組みとして「地域包括BCP」という言葉も改めて提唱されている.
 本特集は,近年はからずも蓄積された「災害への備え」につき保健医療にたずさわるものたちで共有し,明日への確実な地域医療の基盤を各自で作り上げるための企画である.全編において「この次にはどうしたらよいか?」に重点が置かれている.ぜひ手にとっていただき,たった今から明日への備えをともに実践していこうではありませんか.

[編集幹事]
山梨市立牧丘病院 古屋 聡

特集の目次

■災害に備えて何を準備すればいいのか?
まずはBCPを(小早川義貴)
災害に対応できる人材の育成とは?(市橋亮一)
重度医療を必要とする患者への準備(川島孝一郎)
平素から避難所について考える(原田奈穂子)
災害に強い地域づくり(長 純一)
地域をあげた災害弱者対応(古屋 聡)

■それぞれの立場で用意できることは何か?
診療所で(松田 諭)
熊本地震 その時,阿蘇は! ─事業継続計画(BCP)とリスクマネジメント─(甲斐 豊)
地域医師会で(寺田尚弘)
「つなぐ」で備える地域保健福祉活動(能勢佳子)
歯科の災害に対する準備活動(中久木康一)
災害時の公衆衛生活動(近藤尚己)
影響を受けた人々と支援者のメンタルヘルスサポート(原田奈穂子,他)

■災害のパターンに応じた備え
地域の医療機関が地震に備える(永田晃平)
水害への備え(中村幸伸)
停 電(會川周作)
豪 雪(紅谷浩之)

■サポートシステム
ボランティアコーディネートを遠隔地から行う ─被災地に在宅医療を継続的に提供する支援─(永井康徳)
地域ネットワークシステムの備え(田島和周)
災害時の個人情報と空間地理情報を利活用した健康管理(神原咲子)
災害時の地域ニーズについて知るために ─倉敷市災害ボランティアセンターでの活動から─(十時奈々)
生活再建フェイズにおける医療・ケア提供体制支援プラットホームの意義 ─倉敷市連合医師会・日本在宅医学会の協働によるKuraRAの運営─(山岸暁美)

連載

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