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「治療」2016年1月 Vol.98 No.1

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2016年1月 Vol.98 No.1
在宅医療の質を高める

定価:2,750円(本体2,500円+税10%)

今月の視点

在宅医療の考え方は,今後の医療の道しるべとなる

 2015年には,日本の高齢化率は26.7%となり,80歳以上人口が1,000万人を超えました.世界一である日本の超高齢社会は,今後もさらに進行していきます.
 これまで「治すこと」を主眼に発展してきた日本の医療ですが,ますます高齢化が進み,治せない病いや老化で亡くなる人が増えていくなかで,治せない病いや障害,老化に向き合ってきた在宅医療そのものや,その考え方が日本の医療のなかでも重要となっていくでしょう.
 団塊の世代の方が後期高齢者になる2025年には,死亡者が今より毎年50万人以上増える多死社会が訪れると予想されています.とくに大都市部を中心に,入院できず,自宅や施設でも療養できない介護難民があふれ,死ぬ場所すらないといった医療クライシスが起こると危惧されています.
 その問題を解決するのは,在宅医療です.国もそのことを認め,数年前から在宅医療を強力に推進しています.
 そして,この在宅医療の推進は,当事者利益のためではありません.各種調査でも明らかになっているように,住み慣れた場所で最期まですごし,亡くなりたいと望む国民の声を実現するためのものです.在宅医療は国民が望むべき方向性であり,あくまで国民の利益のために,選択肢の1つとしての在宅医療と療養の場所の整備が求められているのです.
 日本の医療は,今や世界トップレベルです.しかし,2025年問題を目前にした今,医療そのものが転換期を迎えているといえます.最期まで治し続けるだけではなく,治せなくても,しっかりと老化や死に向き合い,亡くなるまでよりよく生きることを支える医療への転換が求められているのです.その実現に向けて,在宅医療の手法や考え方は,今後の日本の医療の道しるべとなることでしょう.
 本特集では,筆者がそのテーマについて聞きたいと思う先生方に執筆をお願いいたしました.最先端の取り組みや考えが要所に詰め込まれた珠玉の1冊です.
 末文ながら,執筆にご協力くださいました先生方には,心より感謝申し上げます.

[編集幹事]
医療法人ゆうの森 理事長/たんぽぽクリニック
永井康徳

特集の目次

■総 論
在宅医療の質を高める方法 ─患者本位の在宅医療を実現するために─(永井康徳)
ICF(国際生活機能分類)で在宅医療の質を高める(川島孝一郎)

■看取り
在宅患者の意思決定に向き合う(長尾和宏)
意思決定支援の質を高める(小澤竹俊)
在宅看取りの質を高める(鈴木 央)
非がんの看取り─家族の揺れる気持ちに寄り添う─(永井康徳)
自宅での自然な看取りのために必要な「終末期は輸液をしない」という選択肢(永井康徳)
患者さんのものがたりで質を高める(佐藤伸彦)

■多職種連携とチーム医療
多職種連携で質を高める(荒井康之,他)
食支援の質を高める(古屋 聡)
退院支援の質を高める(宇都宮宏子)
認知症のひとの生き方に寄り添う支援 ─地域ネットワーク構築と多職種連携による実践─(山内勇人)
小児在宅医療の質を高める(梶原厚子)
在宅医療の引き出しを増やす①─音楽療法・食楽支援・旅行支援・大学生インターンシップの活用─(市橋亮一)
在宅医療の引き出しを増やす②─プロデューサー,地域づくり,街の保健室,臨床宗教師,キッズケアラボ─(紅谷浩之)

■システムと知識
在宅医療システムの質を高める ─情報の粘着性からみたシステム構築デザイン─(山口高秀)
在宅クリニックの経営の質を高める(木原信吾)
在宅クリニックの連携の質を高める(一井美哉子)
制度の知識で質を高める(江篭平紀子)

連載

すんなりわかる
実践!在宅医療の質を高める(吉田 伸)

在宅医療をはじめよう! 在宅医療の質=理念×システム×制度の知識 (13)
【理念編】楽なように,やりたいように,後悔しないように(永井康徳,他)

心楽しく働くにはどうしたらよいか?? 信念対立解明アプローチ入門(15)
カルトの人(京極 真)

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