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「治療」2016年6月 Vol.98 No.6

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2016年6月 Vol.98 No.6
多職種で取り組む摂食嚥下障害
僕なら私なら「こう食べさせる!」

定価:2,700円(本体2,500円+税8%)

今月の視点

医師は「食べさせる」ことは不得手である
「誰」に相談すればよいのか

 2016年4月14日から発生した熊本地震でいたましくも犠牲になられた方々にお悔やみ申し上げます.また,被害に遭われた方すべてにお見舞いを申し上げます.
 地震の引き起こす二次災害である「肺炎や肺梗塞による災害関連死」の防止に本特集は少しでも役立てるはずでした.残念ながらこのたびの地震の発生に間に合いませんでしたが,本特集は疾病の急性期にも慢性期にも,そして災害の急性期にも亜
急性期以降のフェーズでも有用な多くの知見や取り組みが示されています.熊本・大分のみなさま,そして全国のみなさまに安定と安心がもたらされることに,本特集が少しでも貢献できましたら幸いです.

 医師は「摂食嚥下障害」を疑うとき,またその相談を受けたとき,どんな行動をとるか? 基礎疾患を探し,診断して,なんとかその障害を克服すべき作戦を考えるだろう.われわれ医師は,「診断」はできるかもしれないが,「実際に食べさせる」ことは不得手である(ちなみに摂食嚥下障害の正確な「診断」もしばしば苦手である).
 毎日の課題であり,楽しみである「食事」,これが身体に必要なエネルギーや必要成分を満たすためには,ご本人,ご家族,介護者,そして多くの職種のさまざまな力が必要である.「摂食嚥下障害」について自分の知識やスキルをアップするととも
に,自分の身の回りの多くの職種の「誰に」その相談をもっていったらよいか? そしてどのように経口摂取を実現していったらよいか? その適切な解決方法を知りたい! この特集はそういう医師のために企画された.
 整形外科系プライマリ・ケア医である筆者は,2000年頃に出会った摂食嚥下障害により胃ろう造設されていた患者について,歯科衛生士の牛山京子さん(山梨県在住)に相談,その指導やケアを受けて,経口摂取を再獲得できた.その経験が在宅医としての現在の自分に圧倒的影響を及ぼしている.
 全国には「この人が自分の地域にいれば!」というすぐれた実践者がおられる.たとえば新宿の歯科医師・五島朋幸先生,たとえば厚木の管理栄養士・江頭文江さん,彼らは,自らのスキルと,周りの多くの人を巻き込みコラボする力をもって,現実
の「摂食嚥下障害患者」をよくしていく.読者の先生方の近くにも現在たいへん注目されているこの領域のすぐれた実践者がいると思う.どんな職種がどんな力を発揮することができるか,この特集でぜひご覧いただきたい.
 なおこの特集では,「摂食嚥下障害」に取り組もうとする医師にぜひ知ってほしい医学的知見と,多職種連携のための新しいツール「KTバランスチャート」について,冒頭にご教示いただき,エコーや嚥下内視鏡(VE)のお話や,京都や金沢での先駆的
取り組みについても,ご紹介いただいている.

[編集幹事]  山梨市立牧丘病院 古屋 聡

特集の目次

■今,困っている患者がいなくても読んでおくべき!
プライマリ・ケア医にこそ必要なリハ栄養の知識 ─リハなくして総合診療なし!─(若林秀隆)
早期経口摂取にこそエビデンスあり! ─盲目的禁食・絶食の危険を知れ!─(前田圭介)
当事者主権にもとづく多職種連携のツール“KTバランスチャート”のススメ(小山珠美)

■あなたの患者が困っていたら,誰に相談する?
看護師①(病棟看護師/摂食・嚥下障害看護認定看護師)(甲斐明美)
看護師②(病院・NST 専従看護師)(佐藤さと子)
看護師③(訪問看護師)(小津美智子)
言語聴覚士(黄金井 裕)
理学療法士(常勤言語聴覚士のいない小病院勤務) ─小病院での理学療法士の取り組み─(生田善之)
作業療法士(訪問リハビリステーション) ─嚥下障害を地域で支える:支えてみてわかったこと・知ってほしいこと─(寺本千秋)
管理栄養士①(病院勤務)(伊藤清世)
管理栄養士②(在宅訪問) ─地域の摂食嚥下サポーターをみつけてつながる!─(塩野崎淳子)
歯科医師①(病棟勤務) ─病棟に歯科医師 !? 歯科がない病院での「食べる」ことへの取り組み─(一瀬浩隆)
歯科医師②(開業) ─「人」を「良」くする食支援─(横山雄士)
歯科医師③(ホスピス嘱託医) ─多職種で取り組む経口摂取:胃ろう・終末期の患者が再び食べ始めた─(宇都仁恵)
歯科衛生士①(歯科医院勤務) ─両親の看取り支援から学んだこと─(山下ゆかり)
歯科衛生士②(地域活動)(篠原弓月)
ケアマネジャー(奥村圭子)
介護現場から(特別養護老人ホーム勤務)─多職種連携で繋ぐ「食べる幸せ」─(小山竜也,他)

■これもぜひ知っておきたい!
摂食嚥下,サルコペニアにもエコーの時代,みんなが現場で使いこなせ!(小林 只)
急性期から在宅までにおける歯科の活用法(太田博見)
食は腹におさめるだけにあらず,生活と文化とこころである ─京滋摂食嚥下を考える会の取り組み─(荒金英樹)
駆け込み寺的地域摂食嚥下相談チーム ─金沢在宅 NST 経口摂取相談会の取り組み─(小川滋彦)
強制栄養や手術,看取りを含めて,人生に寄り添う食支援を考える(古屋 聡)

連載

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