南山堂

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RP+

臨床現場で注目されている薬剤や疾患を取り上げ、新人薬剤師には「やさしく」、先輩薬剤師には「くわしく・強くなる」をコンセプトに解説します。薬剤業務の悩みを解消、臨床力も磨けます。

年4回刊:1/4/7/10月の1日発行 B5判オールカラー 定価:1,320円(本体1,200円+税10%)

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年4回刊:1/4/7/10月の1日発行 B5判オールカラー 定価:1,320円(本体1,200円+税10%)

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2016年夏号 Vol. 15 No.3

まるごとスッキリ

抗精神病薬を整理する

統合失調症患者の対応をシミュレーション

ISBN 978-4-525-92163-7

定価

1,320(本体 1,200円+税10%)

三輪高市/中村友喜/浜田康次/浅井考介/柴田奈央/佐々木典子/青島周一/桑原秀徳/山本雅洋

  • 目次
  • はじめに
目次
抗精神病薬を使う代表的疾患「統合失調症」
1 統合失調症では,いつ,どのような症状が認められる?
 ・人生で統合失調症を発生しやすい時期・年齢は?
 ・発症の原因を作りやすい時期が生涯で2回ある
 ・発症後の特徴的な経過は?
 ・統合失調症の患者さんの脳では何が起こっている?
 ・薬物治療の開始は早ければ早いほど予後がよい
 ・3つのタイプに分けられる症状
2 統合失調症が発症する原因は? メカニズムは?
 ・発症の原因は,患者さんがもともと持っている「脆弱性」と患者さんを取り巻く「環境」の相互作用
 ・統合失調症にかかわる神経伝達物質
3 病気の状態と副作用をチェックする
 ・精神症状の評価尺度
 ・副作用の評価尺度
 ・服薬に関する評価尺度
 ・病識に関する評価尺度

基本まるわかり「抗精神病薬」
1 抗精神病薬の「かたち」と「はたらき」
 ・抗精神病薬の知識と情報は理論的な理解を
 ・抗精神病薬のドパミンD2受容体遮断作用
 ・ドパミン受容体部分作動薬は何モノ!?
 ・セロトニン受容体遮断作用も化学構造から理解できる!
 ・なぜ多元受容体標的化抗精神病薬の薬理作用は多様なのか?
 ・フェノチアジン系薬剤はMARTAのプロトタイプ!?
 ・抗精神病薬の薬理作用を理解する分類はコレだ!
 ・抗精神病薬の副作用
2 抗精神病薬のプロファイル
 ・第一世代と第二世代の抗精神病薬の違いとは?
 ・第二世代抗精神病薬のプロファイル
 ・錐体外路症状のしくみ
 ・高プロラクチン血症とは?
3 抗精神病薬による統合失調症治療の基本
 ・統合失調症への推奨処方は抗精神病薬のシンプル処方
 ・抗精神病薬の多剤大量療法は何がよくないのでしょうか?
 ・推奨される抗精神病薬の使い方
 ・多剤併用すると薬剤の特性を失う!?
 ・急性期は激しい精神症状を速やかに消退させ,維持療法を考慮した処方設計をする
 ・回復期における日常生活・社会生活への復帰には薬による過剰な鎮静を取り除く
  ことが大切?
4 抗精神病薬処方の単純化と最適化
 ・日本ではなぜ抗精神病薬の多剤大量療法が多いのか?
 ・多剤併用処方のデメリット
 ・処方の単純化・最適化のススメ
 ・SCAP法による薬剤の減量
 ・抗精神病薬のスイッチング
 ・抗精神病薬のスイッチングのツール「クロルプロマジン換算」
5 統合失調症以外の精神疾患への抗精神病薬の使用
 ・精神科における薬物療法の位置づけ
 ・抗精神病薬が処方される患者の病態
6 再発・再燃防止と服薬管理の関係
 ・「疾患が原因」で困る
 ・「薬剤師の経験やスキル不足が原因」で困る
 ・「患者−治療者関係が原因」で困る

step up seminar
・構造をみるだけでどこの製薬会社のくすりかわかる!?
・ブチロフェノン系薬剤の不思議
・オランザピンとクエチアピンの投与量が60倍の理由は!?
・抗コリン作用の強弱を考える
・主作用以外の受容体に作用する理由は?
・血液脳関門を通過する薬の構造式はどんなもの?
・新規MARTAのアセナピン(シクレスト®)はなぜ舌下錠なの?

コラム
・「精神分裂病」と呼ばれていた時代の統合失調症のイメージ
・注意力の低下とフィルター理論
・知っておくと理解が深まる用語
・統合失調症の2つの診断基準「ICD-10」と「DSM-5」
・クロザピン(クロザリル®)はどんな薬?
・抗精神病薬とよく併用される精神科の薬剤は?

処方例から学ぶ! 統合失調症薬物療法
統合失調症 薬物治療のカギ
case 1 錐体外路症状により処方変更した30代男性
case 2 高プロラクチン血症により処方変更した30代女性
case 3 薬剤性の過鎮静により薬剤を減量・変更した30代男性
case 4 アドヒアランスを考慮し,持効性注射剤が処方された40代男性

Series
・ハマゾン.co.jp 妻を帽子とまちがえた男
・エビデンスと実臨床の架け橋〜臨床疑問のゆくえ〜
 認知症の周辺症状(BPSD)に対する薬物治療薬はいつまで続ける?

book review
・高齢者のポリファーマシー(南山堂)
・危険なサインの謎を解く(南山堂)

巻末付録
・医薬品集 カスタマイズツール
 抗精神病薬
はじめに
 近年,精神科疾患に対する治療環境は大きく変化しています.今回取り上げた抗精神病薬は主に統合失調症に使用される医薬品群ですが,双極性障害やうつ病,認知症の行動・心理症状やせん妄の改善のために使用される機会も増えてきました.
 このようななか,2015 年9 月に日本神経精神薬理学会から「統合失調症薬物治療ガイドライン」が公表されました.これは,エビデンスに基づいた統合失調症の薬物療法に関する国内初のガイドラインで,2 年もの長期にわたり,多くの専門家がかかわって作成されました.エビデンスに基づいて作成されているため,新しい抗精神病薬については今後のデータ蓄積を待たれる部分もありますが,幅広い事例に対して,より適正な道を示してくれるものであることに間違いありません.
 『統合失調症』は,原因が不明で回復が不可能とされていた『精神分裂病』の別名ではなく,神経伝達物質のアンバランスによる回復可能な状態という新たな疾病概念です.今日では治療環境が整えられ,多くの患者さんが社会に復帰できるようになってきました.また,昨今,処方箋やお薬手帳などを介した情報提供が進み,病院のみならず,保険薬局でも積極的に患者情報を収集し,薬学的な管理を実践できる方向に向かっています.しかし,精神科の処方は難解なうえに患者さんへの対応には特別なスキルが必要で,患者さん本人からの情報収集は難しいと感じている薬剤師は少なくないと思います.
 本号が,精神科薬物療法や精神科疾患を有する患者さんへの理解をより深めていただく一助となれば幸いです.そして,読者の方々の薬学的な介入により,患者さんの日常生活や社会復帰に障害となる副作用をできる限り回避し,“その人らしい社会生活”を送るための薬物療法の実践につながることを切望いたします.

鈴鹿医療科学大学大学院薬学研究科 教授
三輪高市
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