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「薬局」2017年3月 Vol.68 No.3

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2017年3月 Vol.68 No.3
痤瘡と痤瘡様皮疹のマネジメント
薬物治療の最前線と実践のポイント

定価:2,160円(本体2,000円+税8%)

特集の目次

■特集にあたって(宮地 良樹)
■押さえておきたい痤瘡のキホン!
・痤瘡の種類とその発症機序(常深 祐一郎)
・痤瘡の臨床像と類似する皮膚疾患のみかた(乃木田 俊辰)
■尋常性痤瘡治療の最前線!薬剤の選び方と使い方のポイント!
・尋常性痤瘡治療の変遷と最新のガイドラインのみかた(林 伸和)
・痤瘡の新薬の使い方と使い分け(谷岡 未樹)
■がん化学療法中の痤瘡様皮疹!いかに考え対応するか?!
・なぜ抗がん薬で痤瘡様皮疹が発生するか:基礎的研究の最前線(佐藤 隆)
・分子標的薬による痤瘡様皮疹の特徴と治療(松村 由美)
・痤瘡様皮疹を考慮したがん化学療法における薬学的管理の実践(藤井 宏典 ほか)
■痤瘡をめぐるトピックス
・酒さと痤瘡の相違点と類似点(山﨑 研志)
・月経異常・男性化徴候と思春期後痤瘡(長濱 通子)
・HIV感染症と痤瘡様皮疹(斎藤 万寿吉)
・ステロイド痤瘡(大日 輝記)
・特殊な痤瘡(黒川 一郎)
・痤瘡治療における耐性菌の問題と回避(野口 雅久)
■痤瘡治療薬の薬学的管理における実践ポイント(大谷 道輝)
■痤瘡患者さんへのスキンケアとメイク指導の“ノウハウ”と“コツ”
・洗顔料・保湿剤の選び方と使い方(菊地 克子)
・痤瘡改善を狙ったスキンケア製品によるホームケアの考え方(上中 智香子 ほか)
・痤瘡に悩む患者さんへのメイクアップ指導のポイント(小林 美和)

シリーズ

■子どもの皮膚トラブル -薬局・薬店でのアドバイスのコツ-
(山本 一哉)
■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
薬学的アセスメントをしよう
(寺沢 匡史)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
虹は本当に七色に見えますか? “Yellow”と“黄色”は同じですか?
~コミュニケーションギャップとその克服の仕方について考える ~
(中野 重行)
■緩和ケアでの問題解決力を磨く!薬剤師のための5ステップ実践ガイド
なかなかうまくいかない肺癌患者さんの難治性疼痛,どうすればいいの?
(伊勢 雄也/片山 志郎/鈴木 規仁/岡村 由美子)
■「治療」「薬局」合同連載 ポリファーマシー “処方整理力”を鍛える!
スタチンを始めるか否か?!
(矢吹 拓)
■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
経口抗がん薬のアドヒアランスを評価せよ!
(川上 和宜)

Report

■すべての薬剤で適切な投与設計を構築する時代がやってきている
日常業務に役立つクリニカルファーマコメトリクス・セミナー
(辻 泰弘)

巻頭言

 わが国では長らく痤瘡は「青春のシンボル」とされ,病気の範疇に入れられなかったために,自己流治療や放置が行われ,結果的に瘢痕を残すことで皮膚と心に大きなトラウマを残すことになっていた.実際,先行研究でも痤瘡は,喘息,てんかん,糖尿病と同等以上のQOLの障害があることが報告されている.皮膚科医も「たかがニキビ」という固定観念があり,治療にも前向きでなかったことも否めない.このような背景もあり,わが国の痤瘡治療は世界標準から大きく遅れていた.アジア諸国の皮膚科医と話していると,「そんな治療もないのか」とあきれられることもしばしばで,痤瘡治療の“Evidence-practice gap”“Medical drug lag”に悲哀を感じていたのは私だけではない.
 その閉塞状況に風穴を開けたのが,2008年のアダパレンの承認であった.それまで,抗菌薬の外用・内服とイオウ・カンフルローション程度しかなかった痤瘡治療後進国が一気に先進国の仲間入りをした瞬間でもあった.その臨床的意義は,単にレチノイド製剤が上市されただけではなく,痤瘡に面皰主体の非炎症期と丘疹や膿疱を主体とする炎症期があり,それぞれに対応すべき薬物治療が異なることを医師も患者も明確に認識させたことにある.同時に痤瘡治療ガイドラインも策定され,エビデンスに基づく痤瘡薬物治療が定着した.その後2014年になって耐性菌への懸念から過酸化ベンゾイル(BPO)製剤が承認されたことから,2016年には痤瘡治療を急性炎症期と維持期に分けるコンセプトを導入したガイドラインの改訂も行われた.同年にはアダパレンとBPOの配合剤も上市され,2017年にはガイドラインのマイナー改訂も予定されており,名実共にわが国の痤瘡治療はほぼ世界標準に追いついたと言えよう.
 これらの痤瘡薬物治療の進歩は,レチノイドの面皰への薬理作用解明,抗菌薬の抗炎症作用研究,耐性菌への危惧から抗菌薬の単剤使用の自重とBPO製剤との併用推奨などを背景としており,薬剤師にとっても痤瘡新薬の薬物動態とポジショニングを理解した上で合理的な服薬指導をすることが求められている.その意味で痤瘡薬物治療,とりわけこの数年に上市された新薬の適正使用や使い分けをめぐる薬剤師の専門職としての指導的役割は極めて大きい.
 さらに今回の特集では,尋常性痤瘡のみでなく,近年,分子標的薬や抗がん薬でしばしば問題となる痤瘡様皮疹の発症機序,特徴と対策についても取り上げた.また,痤瘡をめぐるトピックスとして,最近患者数が増え,また病態研究も進んだ酒さ,男性ホルモン過剰やステロイドによる痤瘡,HIV感染でみられる痤瘡様皮疹,マラセチア毛包炎など特殊な痤瘡や類縁疾患についても解説を加えていただいた.
本特集を一読すれば,まさにタイトル通り痤瘡と痤瘡様皮疹のマネジメントにおける薬物治療の最前線と実践のポイントを効率よく通覧でき,日常診療に大いに役立つと思われる.本特集を通して「たかがニキビ,されどニキビ」という重みと実感を共有していただければ,編者としてこれに勝る喜びはない.

宮地 良樹
滋賀県立成人病センター 病院長 / 京都大学 名誉教授