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「薬局」2021年3月 Vol.72 No.3

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2021年3月 Vol.72 No.3
抗菌薬供給トラブル
もし入手困難になったら、そのときどうする

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

特集の目次

■特集にあたって(浦上 宗治)

■抗菌薬供給不足のインパクト−セファゾリンショックの教訓−(浦上 宗治)

■抗菌薬供給不足が発生したとき,現場で何を考え,どう動くか(門村 将太)

■主要な抗菌薬が供給不足になったときに考慮する代替薬
・ベンジルペニシリン,アンピシリン,アモキシシリン(倉田 武徳 ほか)
・スルバクタム/アンピシリン,クラブラン酸/アモキシシリン(丹羽 隆)
・タゾバクタム/ピペラシリン(尾田 一貴)
・セファゾリン,セファレキシン(岡田 直人 ほか)
・セフトリアキソン,セフォタキシム(望月 敬浩)
・セフェピム,セフォゾプラン(酒井 義朗)
・セフメタゾール,フロモキセフ(枦 秀樹)
・メロペネム(塚本 仁)
・ミノサイクリン(片山 歳也)
・クラリスロマイシン,アジスロマイシン(茂見 茜里)
・レボフロキサシン(木村 丈司)
・ST合剤(橋口 亮)
・バンコマイシン(注射)(植田 貴史)
・ゲンタマイシン,トブラマイシン,アミカシン(藤居 賢)

シリーズ

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
処方を読み解き,薬剤師の視点をがん薬物療法に活かす!
(中島 寿久/川上 和宜)

■毒舌妻と統計家 —臨床試験論文を読んでみる— 第④回
介入と曝露,ピコとペコ
(今井 匠/井出 和希)

■フォーミュラリー道場 —医薬品の適正使用を目指して—
薬剤別フォーミュラリー④
尿酸生成抑制薬
(宮本 拓也/金井 紀仁/安藤 正純)

■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
「プラセボ反応(効果)」からみえてくる「治療学の本質」
〜なぜ,「プラセボ学」の道に心魅かれるようになったのか〜
(中野 重行)

巻頭言

 1928年,イギリス人医師のアレクサンダー・フレミングによって世界初の抗生物質・ペニシリンが発見された.黄色ブドウ球菌の培養で青カビをコンタミネーションしたことがきっかけとなったエピソードは有名な話である.ペニシリンは1942年になってベンジルペニシリン(ペニシリンG)として実用化され,今日も肺炎球菌やレンサ球菌感染症の第一選択薬であり続けている.
 製品寿命という点で抗菌薬は他の薬剤と本質的に異なっている.一般的には医薬品は優れた新薬によって淘汰されるが,抗菌薬は耐性菌の拡大によって臨床の位置づけを失う.これまでわれわれは耐性菌抑制に成功しさえすれば,抗菌薬は使用し続けることができると信じてきた.しかし,その思惑は見直す時が来ている.2019年2月のセファゾリン供給停止に端を発したセファゾリンショックは,耐性菌以外で初めてわれわれから理想の抗菌化学療法を困難にした.おそらくセファゾリンショックは偶然の産物ではない.エッセンシャルな抗菌薬の多くは,販売から何十年も経っている長期収載品ばかりで,資本主義経済にとって魅力的な市場ではないのかもしれない.事実,最も頻用されている抗菌薬の一つであるセファゾリン注射用1gの薬価は180.0円/瓶で,販売は先発品と後発品を合わせて6社しかない(令和3年2月1日時点).本来であれば,セファゾリンショックを教訓としてサステナブルな医薬品供給の仕組みが再構築されることが理想だが,これにはまだ時間が必要である.今や抗菌薬の安定供給は当たり前ではない.臨床の最前線で抗菌薬適正使用を実践するわれわれにとって,抗菌薬はいつ供給停止になっても不思議でないものであり,そして来るべき次の供給停止に備えるべきものである.抗菌薬は感染症治療だけでなく,外科手術,がん化学療法,免疫抑制薬を使用する治療などあらゆる医療を支えている.たとえ供給トラブルが起ころうとも抗菌化学療法の質を一定に維持し続けることは,感染症治療のみならずあらゆる医療にとって必要なことである.そして,教科書に記載されている第一選択薬が使えない時こそ真の抗菌薬適正使用の実力が試されるのである.
 本特集は抗菌薬供給停止の対応について臨床でエッセンシャルな薬剤を網羅した内容となっており,最前線で抗菌薬適正使用を実践しているオール薬剤師で執筆した.本特集が来るべき時の備えとなり,そして有事の際の拠り所となれば幸いである.

佐賀大学医学部附属病院 感染制御部 病院助教
浦上 宗治

次号予告

2021年4月 Vol.72 No.5
感染症とステロイド
― 感染リスクと感染症への効果を理解して使いこなす ―