最新号

「薬局」2018年9月 Vol.69 No.10

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2018年9月 Vol.69 No.10
生活機能低下高齢者のマネジメント
リハビリテーション薬剤管理のススメ

定価:2,160円(本体2,000円+税8%)

特集の目次

■特集にあたって(若林 秀隆)

■リハビリテーションと栄養管理・薬剤管理併用の重要性(若林 秀隆)

■ココがポイント! 生活機能低下の気づきとアセスメント
・生活機能低下を見逃さない“気づき”のポイント(藤原 大)
・高齢者における生活機能の評価法とその活用(前田 圭介)

■薬物有害事象・処方カスケードに気づき・対応するための勘所!
・フレイル高齢者の薬物動態/薬力学変動と注意すべき薬物有害事象(林 宏行)
・老年症候群と処方カスケード:Deprescribingの実践ポイント(樋島 学)

■この症状・症候は薬剤性? 何を考え,どう対応するか?!
・摂食嚥下障害(藤本 篤士)
・排尿障害(鈴木 康之 ほか)
・排便障害(髙野 正太)
・サルコペニア(吉村 芳弘)
・関節痛・関節炎(髙橋 良)
・高次脳機能障害(高畠 英昭)
・末梢神経障害(上田 昌美)
・パーキンソン症候群(野﨑 園子)
・心不全(鈴木 規雄 ほか)

シリーズ

■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 ~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~
 ゴーゴージャパン いけいけ検索 ~Note 18. 「幕間」検索誘導~
(市原 真)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
 薬剤師による手足症候群のマネジメント!
Hand-foot syndromeとhand-foot skin reactionの違いを理解する!
(川上 和宜)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
 現代の日本人の特性はどこから生じたのだろうか?
 ~生命の進化の視座から見ると……~
(中野 重行)

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
 薬剤師間での情報共有 ~中止薬の再開漏れをなくす取り組み~
(寺沢 匡史/渡辺 真穂/島本 沙代)

Report

■第二世代抗てんかん薬の副作用②
(小野寺 憲治/桑原 弘行/松田 佳和/溝口 広一/若林 広行/神田 循吉/大槻 泰介/曽我 孝志)

巻頭言

 超高齢社会の日本では,フレイル・サルコペニアなどにより生活機能が低下した高齢者の増加が重要な課題の一つとなっている.健康寿命の延伸には,フレイル・サルコペニア対策が必要である.特にフレイル高齢者や障害者には,リハビリテーション,栄養療法,薬物療法の適切な実施が,生活機能の維持・改善のために重要である.
 広義のリハビリテーションには,栄養療法も薬物療法も含まれるため,リハビリテーション栄養やリハビリテーション薬剤という言葉に違和感を覚える薬剤師もいるかもしれない.しかし,2010年以前のリハビリテーションと栄養管理は,ほぼ別々に実施されていたと言っても過言ではない.リハビリテーション栄養という概念ができて初めて,徐々に両者を関連させながら実施されるようになってきた.
 一方,リハビリテーションと薬剤管理は,現在でもほぼ別々に実施されていると考える.ごく一部の医師・薬剤師は,リハビリテーションと薬剤管理を関連させながら生活機能を最大限高める実践を,臨床現場で行っているかもしれない.しかし,ほとんどの医師・薬剤師はリハビリテーションもしくは薬剤管理を別々に考えるか,どちらか一方しか考えていないのが現状であろう.薬剤の有害事象のために,生活機能が低下しているフレイル高齢者や障害者の数は少なくない.そのため,薬剤師がリハビリテーションに関心をもち,生活機能低下に気づき,その原因として薬物有害事象の可能性を考慮することは,極めて重要である.
 本特集では,リハビリテーション栄養,リハビリテーション薬剤の考え方の紹介,生活機能低下,薬物有害事象・処方カスケードに気づき行動するための基礎知識を解説した.その上で薬剤性に生じる可能性のある症状・症候として,摂食嚥下障害,排尿障害,排便障害,サルコペニア,関節痛・関節炎,高次脳機能障害,末梢神経障害,パーキンソン症候群,心不全を取り上げた.これらの多くは原疾患によって生じるが,薬剤性に生じている場合や,薬剤が原疾患をより悪化させている場合がある.薬剤師がこれらの症状・症候に早期に気づくことで,フレイル高齢者や障害者の生活機能の維持・向上に貢献できると考える.
 超高齢社会の日本では,キュアからケアへのパラダイムシフトが起こりつつある.薬剤管理で言えば,疾患治療のための薬物療法と共に,生活機能維持・向上のための薬物療法が重要となりつつある.それには,リハビリテーション薬剤の考え方が有用と考える.本特集で,生活機能低下高齢者のマネジメントを,他人事(薬剤師以外の職種の仕事)ではなく自分事(薬剤師の仕事)と考える薬剤師が増えれば幸いである.

若林 秀隆
横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科 講師

次号予告

2018年10月 Vol.69 No.11
CKD-MBDのリン管理
― 栄養・薬物療法の実践力を身につける ―