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「薬局」2020年10月 Vol.71 No.11

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2020年10月 Vol.71 No.11
骨粗鬆症
最新の知見に基づいた治療薬の考え方・使い方

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

特集の目次

■特集にあたって(田中 良哉)

■骨粗鬆症治療の過去・現在・未来(福本 誠二)

■骨粗鬆症治療の長期戦略と各種治療薬の位置づけ(竹内 靖博)

■徹底解説! 治療薬を使いこなす“知識”と“ノウハウ”
・カルシウム・活性型ビタミンD3(窪田 拓生 ほか)
・選択的エストロゲン受容体モジュレーター(寺内 公一)
・ビスホスホネート(井上 玲子 ほか)
・抗RANKL抗体(デノスマブ)(山内 美香 ほか)
・副甲状腺ホルモン・PTHrPアナログ(テリパラチド,abaloparatide)(田中 健一 ほか)
・抗スクレロスチン抗体(ロモソズマブ)(松本 俊夫)

■薬剤性骨粗鬆症に対するマネジメントの勘所
・ステロイド性骨粗鬆症(田中 郁子)
・がん治療に伴う骨粗鬆症(中村 信元 ほか)

■合併症・併存症をもつ骨粗鬆症患者における予防・治療の実践ポイント
・関節リウマチ×骨粗鬆症(中野 和久)
・慢性腎臓病×骨粗鬆症(中川 洋佑 ほか)
・糖尿病×骨粗鬆症(稲葉 雅章)
・慢性閉塞性肺疾患×骨粗鬆症(巽 浩一郎)
・サルコペニア×骨粗鬆症(小川 純人)

■骨粗鬆症治療の継続性とアドヒアランス不良患者への対応(鈴木 敦詞 ほか)

■骨粗鬆症治療における医療経済評価(森脇 健介)

シリーズ

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
肝代謝型薬剤は用量調節不要で使いやすく安全なのか?
(門村 将太)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
新型コロナウイルス感染症(COVID―19)で
促進された「遠隔コミュニケーション」
~手紙・電話・電子メール・Web会議の特徴について考える~
(中野 重行)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
経静脈栄養組成の立案に必要な情報
―糖質(アミノ酸)その①―
(東 敬一朗)

■フォーミュラリー道場 ―医薬品の適正使用を目指して―
薬剤別フォーミュラリー①
レニン―アンジオテンシン系阻害薬
(永瀨 真理子/金井 紀仁/安藤 正純)

Report

がん治療の有効性と安全性の評価基準
(内田 まやこ)

巻頭言

 骨粗鬆症は骨代謝異常症である.かつて加齢に伴う退行期変化と捉えられていたが,現在では脂質や糖代謝の異常症と同様に,骨代謝異常症として理解されている.骨格は体を支持する重要な構造体であるが,骨・ミネラル代謝を司る重要な臓器でもあり,その異常が骨代謝異常症をもたらす.閉経や加齢に伴うエストロゲン欠乏などによって骨代謝平衡が破綻すると,骨量と骨質が変化して骨脆弱性が亢進した骨代謝異常症,すなわち骨粗鬆症を生じる.骨粗鬆症には,閉経などに伴う原発性骨粗鬆症に加え,合成グルココルチコイドの内服など原因が明らかな続発性骨粗鬆症,癌の骨転移などその他の骨粗鬆症に分類される.
 骨粗鬆症は,他の代謝疾患と同様に最も高頻度の疾患である.超高齢社会のわが国では増加の一途を辿り,約1,500万人の患者数が推定される.骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の新患者発生数は年間20万人とされ,OECD諸国の中で唯一増え続けている.脆弱性骨折は,生活の質(QOL)を著しく低下させると共に,寝たきりを招く主因でもある.骨折と死亡率の高い関連性も示され,骨折に伴う循環不全などにより死亡率を上昇させる.よって,骨粗鬆症は発症早期に診断し,骨折が生じる前に治療介入する必要があり,診断や管理の基準が整備されてきた.
 骨粗鬆症の治療は,骨代謝平衡の破綻による骨代謝異常を是正することにより,骨量や骨質を改善し,脆弱性骨折を抑制することを目標としている.ビスホスホネート製剤,活性型ビタミンD製剤,選択的エストロゲン受容体モジュレーター,副甲状腺ホルモン(PTH)はいずれも骨代謝異常の改善を作用機点とする骨粗鬆症治療薬である.また,RANKLは破骨細胞の成熟を誘導,スクレロスチンは骨芽細胞の成熟を制御する骨代謝調節の最も重要な分子であるが,これらに対する分子標的薬は,それぞれの標的を抑制することによる画期的な効果により治療に新展開をもたらそうとしている.
 骨粗鬆症治療薬は骨代謝異常症治療薬として脆弱性骨折を予防することを目的として開発された薬剤である.骨折が発生する前に適正に使用されれば,超高齢社会にも高く貢献するはずである.本特集ではこのような観点から,骨粗鬆症治療の最近の考え方,治療薬を使いこなすための知識とノウハウ,マネジメントの勘所,多様な内科疾患を有する患者に対する予防と治療の実践のポイントなどの最新情報について,わが国の第一線の先生方にご執筆いただいた.特筆すべきは,新規薬剤の開発にはRANKLやカテプシンKの発見をはじめとする日本の研究者の基礎研究が基盤となっており,骨代謝学の分野の先生方は国際的にも第一線である.実際,骨粗鬆症治療薬のバイブルと
も言えるすばらしい特集にまとまった.診療や研究に役立てていただけるとともに,動き始めた新たな潮流を実感していただけるものと期待する.

田中 良哉
産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授

次号予告

2020年11月 Vol.71 No.12
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― 押さえておきたい知識とスキル ―