バックナンバー

「薬局」2015年10月 Vol.66 No.11

在庫状況:在庫あり

2015年10月 Vol.66 No.11
急性薬物中毒
精神疾患を持つ患者の自殺企図へのアプローチ

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

特集の目次

■特集にあたって(上條 吉人)
■急性薬物中毒の実態と精神医学的および心理社会的アプローチの重要性
・急性薬物中毒の実態  ―精神科治療薬の過量服薬を中心に―(上條 吉人)
・急性薬物中毒の精神医学的要因とそのアプローチ(伊吹 龍 ほか)
・急性薬物中毒の心理社会的要因と患者へのアプローチ
 ―自殺企図者の実状と再企図防止のための介入研究を中心に―(井上 佳祐 ほか)
■この患者ではどう対応する?エキスパートが教えるココがポイント!
・自殺念慮・希死念慮の強い患者(金井 緑 ほか)
・うつ病治療中で賦活症候群が疑われる患者(木村 敦 ほか)
・ベンゾジアゼピン類やバルビツール酸類などの依存・乱用が疑われる患者(成瀬 暢也)
・ドクターショッピングや複数の医療機関からの処方がある患者(池下 克実)
・自殺未遂を繰り返している患者(髙木 俊輔 ほか)
・酩酊・脱抑制やせん妄による不穏・興奮のある患者(日野 耕介)
・経済的問題や家族問題などが背景にある患者(山田 素朋子)
■自殺に関連する薬剤に要注意!
・副腎皮質ステロイド(鈴木 映二)
・インターフェロン(大坪 天平)
・抗うつ薬・抗精神病薬(宮本 浩司 ほか)
■これは何の中毒!? 中毒起因物質の同定と評価
・臨床症状・検査値とその経時変化による中毒起因物質の推定(北元 健)
・中毒起因物質の分析戦略と薬物動態学的アセスメント(藤田 友嗣)
・尿中薬物簡易スクリーニングキットの位置づけと限界(斉藤 剛)
・中毒起因物質を同定できなかったときの考え方と対処法(堀 寧)
■急性薬物中毒の患者が救急搬送!求められる情報提供内容はコレだ!
・急性薬毒物中毒の診療における薬剤師による情報提供のポイント(森 博美)
・急性薬物中毒治療についての日欧米との違いと今後の展望(近藤 留美子)

TOPICS

・バンコマイシンのローディングドーズ ―システマティックレビュー―
・ダビガトランの中和薬idarucizumabの第Ⅰ相および第Ⅲ相臨床試験
・フロセミドの吸入は急性気管支喘息発作の症状を緩和する?
・コンパニオン診断薬で治療対象を見極める―遺伝子変異を有する悪性黒色腫に対する新しい選択肢―

シリーズ

■子どもの皮膚トラブル -薬局・薬店でのアドバイスのコツ-
(山本 一哉)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「有害事象」という“adverse event”の日本語訳が「有害」なのではないのか?
~創薬育薬医療の領域には,もう少し考えて作った方がよかったのではないかと思われる訳語が多い!~
(中野 重行)
■目指せ感染症マスター! 副作用・相互作用マネジメントの超実践アプローチ
心臓手術後の発熱
(久保 悠/山田 和範/岸田 直樹)
■がん治療への薬学的介入と症例サマリ
腫瘍崩壊症候群の対策を行った乳がん症例への薬学的介入
(黒田 純子/遠山 竜也)
■医療従事者のギモンや困ったに答える! トラブルに巻き込まれない著作権のキホン
(服部 誠)
■Pharm.D.を取り巻く医療環境レポート
ASHPガイドライン:外来治療の薬剤業務のための最低限必要な基準
(木村 利美 ほか)
■薬剤師よ,心電図を読もう!
副伝導路って?
(大八木 秀和)

 バブル経済が破綻したとされる1998年をさかいとして自殺既遂者は急増し,毎年3万人を上回っていた.しかし,さまざまな自殺対策が功を奏したのか,2012年以降はそれを下回っている.それでも,世界的にみると高い水準が続いている.自殺企図者は自殺既遂者の10~20倍存在するとされているが,自殺企図の既往はその後の自殺既遂の最大のリスク因子であることが知られている.したがって,自殺企図者の再企図の予防が自殺対策にとって非常に重要である.自殺企図の手段として最も多いのは,過量服薬による急性薬物中毒である.過量服薬のほとんどは精神科治療薬であることもあって,急性薬物中毒で救急搬送される患者の多くは精神疾患の既往がある.したがって,急性薬物中毒患者の自殺の再企図を減らすためには,背景にある精神疾患へのアプローチが肝要となる.
 薬剤師は,これまで“急性薬物中毒の原因薬物の同定”,および“中毒症状や解毒薬・拮抗薬を含めた治療法などの情報提供”において救急医療現場で重要な役割を担ってきたが,厚生労働省「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」からは,新たに“過量服薬のリスクの高い患者のゲートキーパー”としての役割も求められている.そこで,今回,急性薬物中毒,自殺企図,精神疾患にスポットを当て,これらの関連性と,急性薬物中毒の予防とケアについて,第一線でご活躍されている先生方にご解説いただいた.

上條 吉人
埼玉医科大学病院 救急科 教授