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「薬局」2017年5月 Vol.68 No.6

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2017年5月 Vol.68 No.6
薬剤性腎障害
発症を疑ったときの実践的アプローチ

定価:2,160円(本体2,000円+税8%)

特集の目次

■特集にあたって(成田 一衛)

■この患者では薬剤性腎障害に要注意!関連する要因を探る!
・薬剤性腎障害を引き起こしやすい患者背景(山谷 秀喜 ほか)
・薬剤性腎障害の原因となる薬剤と発症メカニズム(齋藤 秀之)
・中毒性薬剤性腎障害の原因薬剤で注意すべき薬物相互作用(大野 能之)

■どのようなときに薬剤性腎障害を疑うか?!疑ったらどうすればよいか?!
・薬剤性腎障害における臨床検査値の評価とピットフォール(成田 一衛)
・薬剤性腎障害の鑑別とその評価(坂井 宣彦 ほか)
・薬剤性腎障害の被疑薬を絞り込む際のポイント(中野 淳子 ほか)
・薬剤性腎障害の治療戦略(臼井 俊明 ほか)

■いかに考え対応するか!薬剤性腎障害が疑われる各種患者への実践アプローチ!
・CKDを合併している関節リウマチ患者(宮本 彩子 ほか)
・関節リウマチに骨粗鬆症と腰椎圧迫骨折を合併した患者(伊藤 聡)
・カルシニューリン阻害薬と抗ウイルス薬を投与中の腎移植後患者(山田 祐介 ほか)
・プラチナ製剤を投与中の肺癌患者(酒井 瞳 ほか)
・ベバシズマブを投与中の大腸癌患者(山田 英晴 ほか)
・リツキシマブを投与中の悪性リンパ腫患者(茂木 愛 ほか)
・バンコマイシンを投与中のMRSA感染患者(青木 信将 ほか)
・降圧薬と血糖降下薬を投与中の高齢患者(宮本 大資 ほか)
・鎮痛薬と抗凝固薬を投与中の関節・腰痛症のある心房細動患者(湯澤 ひとみ ほか)
・画像診断のために造影剤を使用した患者―造影剤腎症―(谷口 義典 ほか)

シリーズ

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
心房細動とステント留置を要する冠動脈疾患の合併例は抗凝固薬と抗血小板薬2剤を併用すべきなのか?
(門村 将太)
■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 ~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~
こう言い換えたら,快感かい~Note 2. 「寛解」を言い換える~
(市原 真)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
中島みゆきの『時代』はなぜ名曲なのか?~悩みや心配事があると,視野狭窄の状態になる!では,視野を広げるためには?~
(中野 重行)
■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
問題点の解決に向けて
(寺沢 匡史)
■「治療」「薬局」合同連載 ポリファーマシー “処方整理力”を鍛える!
一生モノのお薬ですか?
(矢吹 拓)
■緩和ケアでの問題解決力を磨く! 薬剤師のための5ステップ実践ガイド
終末期がん患者さんの倦怠感,食欲不振,呼吸困難,
どうすればいいの?
(伊勢 雄也/片山 志郎/鈴木 規仁/岡村 由美子)
■医療従事者のギモンや困ったに答える! 特許のキホン
(服部 誠)

巻頭言

 私たち医療関係者が日常的に使用する薬剤は,薬理作用後に代謝され体外に排泄される必要があり,その多くは肝代謝・胆汁排泄性か腎排泄性に分類される.当然,代謝・排泄を担う臓器の機能が低下している患者に対しては,投与量や投与間隔を考慮する必要がある.また薬剤の多くは生体にとっては異物である.細心の注意を払っていても,患者のためを思って使用した薬剤が,肝障害,腎障害,皮膚障害などを起こし,苦い経験をしたことがまったくないという方は,むしろ少ないのではないだろうか. 
 特に今回特集する薬剤性腎障害については,日本人の成人8人に1人が慢性腎臓病(CKD)であり,人口高齢化に伴い今後さらに増加することを考えると,その重要性が理解できると思う.高齢者では特定の腎疾患がなくても,生理的な腎機能低下がみられる.当然,腎機能が低下した症例では腎機能に応じた投与量や投与間隔の調節,時には中止が必要である.CKD患者や高齢者は,心血管疾患の高リスク群であるばかりでなく,悪性腫瘍,炎症性疾患,感染症などの疾患も,一般人口と同様かそれ以上の頻度で発症する.CKD症例で薬剤性腎障害が腎不全への進行を早めることは,腎不全の原疾患として統計の表面上に現れてはこないが,日常臨床上,高頻度に経験される.
 したがってCKD患者や高齢者は,腎機能低下に加えて,複数の併発症,合併症をもつことが多いにもかかわらず,必ずしも十分な治療が行われないことが多い.特に,抗菌薬や抗腫瘍薬は,薬効を得るために十分量を使用する必要があるが,それが困難となることが多い.
 薬剤性腎障害をより早期に診断し,適切な予防・治療を行うことは,CKDの進行を抑制し腎不全の発生を減らすという観点でも重要であり,また多様な合併症を有する高齢患者に有効かつ安全な医療を提供するために,重要喫緊の課題であり,その観点から今回の特集を企画した.
 本特集が薬剤性腎障害の診療現場で多少なりとも役立つことを願っている.

成田 一衛
新潟大学腎研究センター 腎・膠原病内科 教授