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「薬局」2017年9月 Vol.68 No.10

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2017年9月 Vol.68 No.10
再考!服薬アドヒアランス

定価:2,160円(本体2,000円+税8%)

特集の目次

■特集にあたって(大井 一弥)

■服薬アドヒアランスのキホン! 考え方と評価・対処法!
・服薬アドヒアランスの考え方と評価方法(櫻井 秀彦)
・服薬アドヒアランスに影響する要因とその対応(恩田 光子)

■なぜ服薬アドヒアランスは向上・維持しなければならないのか?!
・残薬が及ぼす医療保険財政への影響と薬剤師の貢献(益山 光一)
・服薬アドヒアランスと患者アウトカム(青島 周一)

■こんなときどうすればいいの? 服薬アドヒアランスQ&A!
・大量の残薬があるとき,“きちんと服薬してもらう”のか“Deprescribingの提案”かの判断のポイントは?(木村 丈司)
・認知症・食欲不振・嚥下機能低下があるとき,それぞれどのように対応すればいい?(溝神 文博)
・服薬アドヒアランス不良例,向上が見込めない場合のアプローチとは?―行動科学の諸理論の視点を活かして―(後藤 惠子)

■ハイリスク薬の服薬ノンアドヒアランス! 薬剤師介入の具体的な道筋!
・抗がん薬(平池 美香子 ほか)
・血糖降下薬(岡田 浩)
・抗凝固薬(前田 朱香 ほか)
・抗不整脈薬・ジギタリス製剤(高井 靖)
・抗てんかん薬(山本 吉章)
・抗うつ薬(桑原 秀徳 ほか)

■薬を飲み過ぎ? コントロール不良?“過剰なアドヒアランス”の考え方と対応!
・ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(髙橋 結花)
・鎮痛薬(山室 蕗子)
・下剤(奥野 昌宏)

■これからの医療を大きく変えるICT(情報通信技術)の最前線!
・薬剤師によるICTを活用した服薬支援(菅野 洋 ほか)
・モバイルヘルスの最前線と今後の課題―モバイルヘルスで臨めるこれからの保険薬局の展望―(佐竹 晃太)
・ICTを活用した治療継続率・服薬遵守率向上に向けた取り組み(杉浦 一輝)

シリーズ

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
人はたやすく騙される! ではどうすればよいのか?~事実の切り取り方によってフェイクニュースが生まれる!~
(中野 重行)

■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 ~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~
サイコロで旅路を語るということ ~Note 6. 「予後」を言い換える~
(市原 真)

■医療従事者のギモンや困ったに答える! 特許のキホン
(服部 誠)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
薬剤師が行う抗がん薬による末梢神経障害のマネジメント
(川上 和宜)

■「治療」「薬局」合同連載 ポリファーマシー “処方整理力”を鍛える!
終わりなき加齢との戦い……
(矢吹 拓)

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
ハイリスク薬の指導記録
(寺沢 匡史/田中 佐季)

■緩和ケアでの問題解決力を磨く! 薬剤師のための5ステップ実践ガイド
患者さんに感情を表出されたときのコミュニケーション
(伊勢 雄也/片山 志郎/鈴木 規仁/岡村 由美子)


■Report

・「第44回 日本小児臨床薬理学会 学術集会」が開催
(田中 敏博)

・抗がん薬の晩期毒性とフォローアップ
(南山堂『薬局』編集部)

巻頭言

 アドヒアランスとは,患者が診断やそれに基づく薬物治療,さらには服薬意義を十分に理解し,医療従事者などに強制されることなく自らの意思をもって治療に参加し,治療目的を達成させるために能動的姿勢を貫く概念をいう.患者が医療従事者に対して不満を態度で示すことがないにもかかわらず,服薬遵守されない例はいつの時代においても存在し,解決できない問題として継続的に議論がなされてきた.アドヒアランスに影響する要因は,患者,医療従事者,疾患,治療,社会・経済的側面など多様であることが知られており,これらが複合的に絡み合いながら患者のアウトカムに影響をもたらしている.
 わが国では,高齢社会が急速に進展し,医療システムの高度化が進む中で,患者の治療の場が病院から在宅へシフトしていく医療環境の変化に対応しながら時代のニーズを捉えたアドヒアランスの維持・向上をプロダクトしていかなければならない.
 近年,医療における専門性の細分化が著しく進み,それに伴うガイドラインの進展,さらに医療従事者の質の向上が必然的に図られている.一方で患者は,病気に対する理解力の差が大きいことも知られており,疾患によっては,社会的・経済的な分け隔てを受ける可能性もあり,そのような観点からアドヒアランスが維持できないことも医療従事者は認識しておく必要がある.つまり,アドヒアランス向上が望めない患者にある阻害因子の評価が確立された上で,将来性の高い情報通信技術(ICT)やモバイルヘルスが模索されていくことが期待される.
 本特集は,服薬アドヒアランスを再考することで,ノンアドヒアランスや過剰なアドヒアランスを是正することを目的とした.アドヒアランス向上による薬物有害事象の減少や治療効果の向上につながる,新しい医療貢献の拡がりに期待がもてる内容に仕上がったものと確信する.

大井 一弥
鈴鹿医療科学大学薬学部 病態・治療学分野 臨床薬理学研究室 教授