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「薬局」2019年5月 Vol.70 No.6

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2019年5月 Vol.70 No.6
オピオイド誘発性便秘症
QOLを向上させるための対応力を身につける

定価:2,160円(本体2,000円+税8%)

特集の目次

■特集にあたって(森田 達也)

■オピオイド誘発性便秘症の診断と治療(大坂 巌)

■オピオイド誘発性便秘症の発症と便秘治療薬の薬理作用のメカニズム(鈴木 勉)

■オピオイド誘発性便秘症における治療薬の選び方と使い方
・経口便秘治療薬(余宮 きのみ)
・外用便秘治療薬(鈴木 直人 ほか)
・漢方薬(大前 隆仁)

■オピオイド誘発性便秘症における非薬物療法の実践ポイント(清水 正樹 ほか)

■コントロール不良な便秘に対する予防/対応の“ワザ”と“知恵”
・オピオイド・鎮痛補助薬(今井 堅吾)
・抗がん薬・制吐薬(西 智弘)
・抗うつ薬・抗精神病薬(小川 朝生)

■オピオイド誘発性便秘症における薬学的管理の実践ポイント
・便秘治療薬の副作用と薬物相互作用マネジメント(百 賢二)
・オピオイド誘発性便秘症における患者指導・支援の勘所(沖﨑 歩)

シリーズ

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「ストレスマネジメント」をめぐって
~「体」「心」「行動」の面からのアプローチ~
(中野 重行)

■薬理BOOT CAMP
抗コリン作用による疾患禁忌~抗ムスカリンなの,抗ニコチンなの?
ベンゾジアゼピン受容体刺激薬:重症筋無力症禁忌はなぜ?
(小野 秀樹)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
抗がん薬による副作用重篤化リスク因子を明らかにして,薬学的ケアに生かす!
(川上 和宜)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの応用的使い方:ベイズ推定の活用方法
~生理機能が変化した場合のシミュレーションの活用~
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
褥瘡が発生! 薬が原因?
薬剤誘発性褥瘡
(溝神 文博)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座
投資と消費の違い,投資とギャンブルの違い
(桑原 秀徳)

巻頭言

 便秘の治療薬が次々登場している.便秘が患者のQOLを低下させていることが多領域のエビデンスから明らかとなった.緩和治療領域においては,もともと,オピオイドを鎮痛で使った場合の副作用対策として,便秘,吐き気,眠気(精神症状)の対策が重視されてきた.
 オピオイドを処方するたびに「吐き気,眠気,便秘」とくり返して20年,常にアセスメントするべき副作用である.新しい対処法はあまり出現していないが,便秘には新しい方法が生まれている.
 オピオイドによる便秘はオピオイド誘発性便秘症(opioid-induced constipation : OIC)と呼ぶようになった.OICはがん緩和治療から出た概念ではなく,慢性疼痛にオピオイドが多く用いられるようになったことから頻度が増えて疾患として独立したものである.過敏性腸症候群の診断基準を作成する消化器内科系の専門グループが作成した.診断基準だけをみても,患者がどのような状態かややわかりにくいので,評価尺度を眺めてみると,便をするときにおなかが痛い,張る,お尻が痛い,血が出る,便が出きらない,硬い,力まないと出ない,といったことが患者の表現になることがわかる.実臨床上,毎回OICの調査票や診断基準を眺めるのは通常の臨床家には現実的ではないので,「便通の方は何か困ってます?」に対して「困っている」場合は大ざっぱに言えば(通常臨床では)OICの主観的な診断基準には相当すると考えていいだろう.
 現在,便秘に使用する薬剤は,浸透圧性下剤,大腸刺激性下剤,分泌促進剤,末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(PAMORA)に分類される.PAMORAは腸管に分布しているμオピオイド受容体を遮断することで「オピオイドによる」便秘を防ぐ.当然のことながら,一般的な下剤としての効果はないため,オピオイドが関与していない便秘に対しては効果がない.諸外国においてはかなり高額な薬価がつけられていたが,わが国では「新薬」扱いではなく,分泌促進剤の類似薬としての薬価となったため比較的気軽に処方できる状態となった.
 本特集では,PAMORAの販売を受けて緩和ケアにおける便秘の治療がどのように変わっていくのか,最前線にいる先生方に執筆いただいた.多様な武器を駆使して,便秘の改善につながれば幸いである.

森田 達也
聖隷三方原病院 副院長/緩和支持治療科 部長