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「薬局」2019年6月 Vol.70 No.7

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2019年6月 Vol.70 No.7
がん治療と薬物相互作用
ピットフォールに陥らないための基礎と実践

定価:2,160円(本体2,000円+税8%)

特集の目次

■特集にあたって(三浦 昌朋)

■抗がん薬の薬物動態学的/薬力学的相互作用
薬物動態学的機序による抗がん薬の薬物相互作用(山口 浩明)
薬力学的機序による抗がん薬の薬物相互作用(富岡 佳久)

■がん患者の支持療法における薬物相互作用マネジメント
悪心・嘔吐(大野 能之)
皮疹・アレルギー(三浦 昌朋)
発熱性好中球減少症(新岡 丈典)

■併存疾患のあるがん患者における薬物相互作用のピットフォール
非弁膜症性心房細動・静脈血栓塞栓症(寺田 智祐,野田 哲史)
消化性潰瘍(大神 正宏)
うつ病(赤嶺 由美子)
てんかん(矢野 育子,丹田 雅明)
HIV/AIDs(石原 正志)
がん性疼痛(内藤 隆文)

シリーズ

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「ストレスマネジメント」をめぐって
~意味を見いだせるとストレスは軽減する! 個人的な体験から~
(中野 重行)

■薬理BOOT CAMP
抗ムスカリンなの,抗ニコチンなの?―⑤
抗コリン性パーキンソン病治療薬と抗コリン性過活動膀胱治療薬:重症筋無力症禁忌はなぜ?
(小野 秀樹)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
抗精神病薬による耐糖能異常を見逃さない!
(坪内 清貴)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:ベイズ推定の活用方法
~分布容積を意識したテイコプラニンの投与設計~
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
褥瘡が発生! 薬が原因?―②
服薬アドヒアランス低下と褥瘡
(溝神 文博)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第3回
生きることと投資することはとても似ている
(桑原 秀徳)

巻頭言

 抗がん薬による副作用予防・対策など支持療法として使用される薬剤が,治療の中心となる抗がん薬や,日常生活で摂取する嗜好品などと薬物相互作用を起こすことがあり,臨床現場ではその回避に向けてさまざまな工夫が施されている.一方で,これらの併用が回避できない場合は,論文や症例報告などを参考に,薬物相互作用の程度を少しでも軽減させる薬剤選択や処方設計がなされている.しかし,こうしたがん治療を進める上での重要な取り組みに対して,今回の特集のように情報を共有する企画はこれまでなされてこなかった.
 抗がん薬治療の中止・中断を可能な限り回避し治療を継続的に進めていくために,われわれは薬物相互作用の機序をADMEのエリアごとに,ある程度理解しておく必要があり,各自のもつ知識・情報を頼りに,個々の患者に適した投与タイミング・投与量,投与回数の変更など,試行錯誤を重ねなければならない.薬学的介入の見せどころは,こうした薬物相互作用に正面から向き合い,1つの抗がん薬を継続的に使用させることで,より速く寛解に到達させられるところにあると考える.
 一方で,がん患者は高齢であることが多く,がん治療と同時に循環器疾患,精神的疾患,消化器疾患などに対する治療も行われている.これらの併存疾患に対する治療薬と抗がん薬との間にも薬物相互作用が認められるため,がん治療を開始する前に,服薬内容を十分確認し,必要であればがん治療を優先させた処方変更を促す.処方変更は薬剤師の仲介というアクションと提案(プラン)によって,よりスムーズに実施されることから,相互作用回避に向けたチェックから始まるPDCAサイクルには個々の薬剤師の力量が問われる.さらにピットフォールの回避に向けて,治療開始後も継続的に併存疾患に対する治療内容をチェックしなければならない.こうした薬物相互作用のチェックや今後のプランにも,個々の薬剤師の相互作用に関する知識や情報が必要不可欠となる.
 今回の特集は「がん治療と薬物相互作用」というテーマで,薬物動態学的・薬力学的相互作用についての総論の後,支持療法時における薬物相互作用,併存疾患治療時の薬物相互作用について各論の中で解説していただいている.この一冊でがん治療時において注意していただきたい薬物相互作用に関する情報が集約されており,がん専門薬剤師を目指す薬剤師はもちろんのこと,抗がん薬を扱う保険薬局薬剤師の先生方にもぜひ読んでいただきたい内容となっている.各先生方の日常臨床の中でご活用していただければ幸いである.

三浦 昌朋
秋田大学医学部附属病院 教授・薬剤部長