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とびだせ、薬剤師!
臨床現場で活躍する薬剤師の知識やスキルのおさらい&アップデートをサポートする雑誌

月刊:毎月5日発行 B5判 定価:2,200円(本体2,000円+税10%)※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035

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※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035

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2021年6月 Vol. 72 No.7

下部尿路症状

定価

2,200(本体 2,000円+税10%)

  • 巻頭言
  • 目次
巻頭言
 男女ともに加齢によりさまざまな下部尿路症状(lower urinary tract symptoms ; LUTS)が出現する.例えば尿意切迫感のために頻尿,切迫性尿失禁を認める病態を過活動膀胱といい,40歳以上の男女の12.4%に認められる.しかし下部尿路の解剖学的性差は大きく,男性では過活動膀胱に加えて前立腺肥大症による排尿症状(尿の出の悪さ)も多い.前立腺肥大症とは本来,組織学的な状態を示すものである.しかし実際は「50歳以上の男性の下部尿路症状(male LUTS)を呈する状態であり,その病因として神経疾患などの明らかな他の原因を認めない状態を大まかに指すもの」と考えられる.第一選択薬であるα1遮断薬とホスホジエステラーゼ5阻害薬は排尿症状のみならず,過活動膀胱のような蓄尿症状にも有効である.さらにこれらの薬剤とβ3作動薬または抗コリン薬の併用で排尿症状の増悪を回避しながら,より積極的に過活動膀胱を治療できる.一方,前立腺体積が大きい症例は肥大の進行につれて将来尿閉や手術が必要になるリスクが高いが,5α還元酵素阻害薬によりそのリスクが約1/3に減少する.また2019年に夜間多尿による夜間頻尿の男性患者に対してデスモプレシンが保険適用となった.副作用の低ナトリウム血症に注意を要するが,夜間頻尿は男女ともに最も有症状率が高い下部尿路症状であり,新しい薬物療法への期待は大きい.
 一方,女性では過活動膀胱に加えて骨盤底の緩みによる腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱に伴う排尿障害も多い.また子宮がん手術後の神経因性膀胱も少なくない.過活動膀胱の第一選択薬は抗コリン薬またはβ3作動薬であり,後者は口内乾燥などの副作用が少なく,高齢者における認知機能への影響の懸念がない長所を有する.難治性過活動膀胱にはボトックス®(A型ボツリヌス毒素)膀胱壁内注入療法が行われる.一方現在,腹圧性尿失禁に対する有効な薬剤は少なく,行動療法が無効な症例ではプロリン製テープを使用した尿道スリング手術が推奨される.
 超高齢社会となったわが国では,脳血管障害や腰部脊柱管狭窄による神経因性膀胱が増加しており,薬物療法は症状に応じて上記薬剤を選択して行うが,より有効性の高い新薬の開発が期待される.また高齢者では,高血圧・心不全,脳血管障害・認知症,フレイル・サルコペニア,糖尿病などの合併症・併存疾患を有することが多く,下部尿路症状あるいはその治療と密接に関連するので注意が必要である.
 今回ご執筆いただいた先生方は,これらの下部尿路症状の診療・研究における精鋭揃いである.この場をお借りして厚くお礼申し上げる.本特集が少しでもみなさまのお役に立ち,一人でも多くの患者が快適な生活を送れるようになれたなら,望外の喜びである.

髙橋 悟
日本大学医学部 泌尿器科学系 主任教授/
日本大学医学部附属板橋病院 院長
目次
(特集)

■特集にあたって(髙橋 悟)

■下部尿路症状の「基礎」を徹底理解!
❶ わが国における下部尿路症状診療の現状と課題(横山 修)
❷ 排尿機能の解剖生理と薬の作用メカニズム (大城琢磨 ほか)
❸ 下部尿路症状の評価と診断手順(髙橋 悟)

■下部尿路症状の原因疾患に対する治療戦略!
 治療薬の選び方と使い方
❶ 過活動膀胱(山西友典 ほか)
❷ 前立腺肥大症(後藤百万)
❸ 尿失禁(三井貴彦)
❹ 神経因性膀胱/神経因性下部尿路機能障害(関戸哲利)
❺ 夜間頻尿(赤井畑秀則 ほか)
❻ 夜尿症(権田裕亮 ほか)

■合併症・併存症をもつ下部尿路症状患者のマネジメント
❶ 高血圧・心不全(大石 充)
❷ 脳血管障害・認知症(三木さやか ほか)
❸ フレイル・サルコペニア(吉田正貴 ほか)
❹ 糖尿病(市原浩司 ほか)

■下部尿路症状における薬学的管理の実践ポイント(川地雄基 ほか)

■Exercise

(シリーズ)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
 経静脈栄養に用いる輸液製剤―電解質輸液―
(東 敬一朗)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~プラセボ反応に関与する要因〜受容と共感を伴う傾聴〜
(中野重行)

■フォーミュラリー道場 ―医薬品の適正使用を目指して―薬剤別フォーミュラリー⑦
 腎性貧血治療薬(腎不全保存期)
(澤田雄太/佐藤 光/金井紀仁/安藤正純)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
 CKD患者へのST合剤を極めろ!
(森住 誠)

■毒舌妻と統計家 ―臨床試験論文を読んでみる― 第❼回
 新型コロナウイルス感染症のワクチンができるまで(後編)
(今井 匠/井出和希)

■臨床薬物動態のPITFALL ―その常識,ウソ? ホント?―
 消失半減期と投与間隔にかかわらず,5回投与すると定常状態に達するので,5回目の投与直前のトラフ濃度を採血する
(浜田幸宏/丸山拓実/長谷川千尋)

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