ブックタイトル臨床現場で実践する薬学研究のススメ

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概要

臨床現場で実践する薬学研究のススメ

38 日常業務の中でわからない問題に遭遇すると,まずは,文献検索などを通して,解決を試みる.しかし,多くの場合は,満足のいく解答が得られないことから,自分が困った問題は,実は皆に共通の問題点であることが多い.この問題点の解決が研究であり,その成果が論文となる.医薬品の投与法やTDMにおいても,状況は同じで,研究を遂行するためには,いかに関連の論文を読み込み,研究方法(著者の工夫)を自分のものにするかが大きな決め手となる.本項目では,だれもが興味を持ちそうな課題に取り組んだ研究論文を紹介するとともに,この領域で汎用される解析方法(メタ・アナリシスと母集団動態解析)について述べる.1 生物学的同等性により剤形別用量調整する視点Exposure equivalence between IV(0.8 mg/kg)and oral(1 mg/kg)busulfanin adult patients1)研究の目的 造血幹細胞移植(HSCT)の前処置として使用されるブスルファン(Bu)は,経口投与の場合,その吸収率(F)や全身クリアランス(CL/F)は個人間,さらには個人内でも大きく変動するため,静脈内投与による安定した投与が望まれる.Buの薬効や副作用はその体内動態と密接に関連するが,例えば,肝静脈閉塞症などの前処置由来の副作用や拒絶反応や再発といった効果不足は,Buの血中濃度時間曲線下面積(AUC)と良好に相関することが知られている.そこでLegerらは,バイオアベイラビリティー(BA)やCL/Fを指標として,同等のAUCが得られる経口投与(po)と静脈内投与(iv)の投与量換算を確立できないかと考えた.5 医薬品の投与法・TDMA. 優秀論文に学ぶ研究デザインの組み立て方