ブックタイトル臨床現場で実践する薬学研究のススメ

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概要

臨床現場で実践する薬学研究のススメ

40研究のポイント 肥満度を考慮した体重設定の導入が重要である.また,アルゴリズムを導入することで,投与量設定の基準を明らかにするとともに,経口1.0 mg/kgと静脈内投与0.8 mg/kgでほぼ同等のAUCが得られることが明らかとなった.研究方法そのものは非常にシンプルであり,両剤形の血中濃度測定値があれば,同様な検討が可能となる.2 少ない採血点でAUC を予測する視点Proposal of a new limited sampling strategy to predict CYP3A activityusing a partial AUC of midazolam2)研究の目的 チトクロームP450(CYP)3Aは肝臓や腸管に発現するCYPの中で最も高発現する代謝酵素であり,医薬品の約50 %の代謝に関与する.さらに,多岐に渡る医薬品がCYP3Aの誘導剤,基質,阻害剤となることから,その個別適正化使用を考える上で最も重要な代謝酵素といえる.ミダゾラム(MDZ)は1’位水酸化がCYP3Aで触媒されることから,MDZの経口投与は,個々の肝臓と腸管を合わせたCYP3A活性を推定する際に利用される.CYP3A活性は,MDZから1’位水酸化への代謝クリアランスを求めることで知ることができるが,そのためには,AUC 0-∞,1’位水酸化体やグルクロン酸抱合体の尿中排泄率が必要となることから,非常に煩雑となっている.そこでKatzenmaierらは,限られた採血ポイントで,蓄尿することなく,MDZの代謝クリアランスを求められないかと考えた.方法 12人の被検者を対象に,3 mgのMDZ(5 mg/5 mLの注射用製剤)を100 mL の水とともに投与し,投与後0 ~ 10時間までの間で,13点の採血(0,0.25,0.5,0.75,1,1.5,2,2.5,3,4,6,8,10時間)と24時間の蓄尿を実施した.MDZの代謝クリアランス(CLmet)は,1’位水酸化体(抱合体+非抱合体)の24時間尿中排泄量を血中濃度から算出したMDZ AUC0-24hで除することで求めた.次に,投与後1時間から2時間といったように採血点を区切り,各採血点間の部分的AUC を算出した(partal AUC).採血点は1時間~ 2時間,1 ~ 3時間,1 ~ 4時間,1 ~ 6時間,2 ~ 4時間に分割した.さらに,2 ~ 4時間については,2・4時間での2つの測定値,2・3・4時間での3測定値,